2015年7月20日 (月)

汚いぞ!籾井NHKと安倍政権---海賊対処活動をテロ対策活動にまで拡大せんとする広報番組を放映

緊急に書きます。
案じていたことが現実のものになり始めました。
http://cgi2.nhk.or.jp/nw9/pickup/?date=150720_1
今晩(2015年7月20日)NHKの21時のニュースウオッチ9で、ソマリア沖に派遣されている海・空自衛隊の海賊対処部隊の活動を、かなりの時間を割いて報道しました。
それも今までなるべく触れないようにしていたCTF-151(第151合同任務部隊)の司令官に海上自衛隊(海将補 伊藤弘)が就任していた事、そして各国海軍との連携により、海賊対処のみならず、今後テロ対策活動にも活動の場を広げる可能性も見えるといった番組構成になっていました。
アデン湾やアラビア海には、対テロ戦争に関連して米国の指揮のもと、CTF-150(第150合同任務部隊)が展開されていて、そこから分離独立する形でソマリア沖の海賊対処の為に、CTF-151部隊が新設されました。

当初はCTF-151との共同行動は海賊対処法の枠外とされて、日本だけの単独行動をとっていました。
しかし米国の強い要請により、日本政府は参加を決断。CTF-151に参加しても、必ずしも命令、指揮下には入るものではないので法的問題は無いと説明し、先ず、船舶護衛活動中の1隻の護衛艦が参加しました。その後もうタガは外れたとばかりに航空自衛隊の哨戒機2機も参加するようになりました。
そして3か月前には交代制とはいえ、ついにはCTF-151司令官まで務めるようにまでなっていました。司令官と言っても、参加各国の連絡調整任務であり、指揮権や命令が出来るものではないので、海賊対処法や憲法には違反するものではないとの見解だと説明しています。海自、空自の派遣決定時には、とても認められるような案件では無かったことは確かです。
何度も書いてきましたが、僕は自衛隊の本来の海賊対処活動には、反対の立場ではありません。

ただ、その活動を度々批判してきたのは、国民に知らせないまま、実数とは思えない年間2000隻の日本貿易関係の船舶が、海賊不安の中で運行している状況だと宣伝し、護衛艦は2隻では少ない4隻必要だ、でなければ哨戒機を出せ、しかも海賊は重装備だ、日本船舶はEU軍頼みだと、マスコミを含めて散々あおった当初の状況があります。
このあたりの事は、当時の新聞、特に産経、読売などを読み返してみるとその異常な熱気が読み取れます。特に中国海軍艦艇が自国の船舶護衛の為に派遣されると決まると、政府の焦りは法整備も整わないうちに、海・空自衛隊の派遣へと加速します。
しかし実際にはなぜ、日本船舶がこれほど少ないのと、首をかしげる想定とかけ離れた船舶護衛活動実績(想定の2割)と、法の趣旨とは外れた米軍に協力する中国海軍監視活動、そして度重なる海賊対処法の拡大解釈などに警鐘を鳴らしてきたのです。いけいけどんどんだったマスコミの報道が、護衛艦派遣とともに、嘘のように消えてしまった事もいやな気持ちにさせられました。
自衛隊唯一の海外拠点(基地)である、ジブチ基地もそうです。
当初は評論家に哨戒機を雨露から守り、活動する自衛隊員に温かい食事の場を提供するだけの場などと書かせていましたが、今や、国民に今後のシーレーン防衛のための重要拠点とまで認識させようとしています。
基地を拠点と呼び変える姑息さもそうですが、基地施設建設、ジブチ政府への工作費に多額の予算を使いながら、国民には実情が説明されたとは言えません。問題多い日米間の地位協定に準ずるジプチ政府との交換公文なるものを知る人は少ないでしょう。

安全保障関連法案が衆議院で採決されるのを待っていたかのようなタイミングの良さで登場した、今晩のNHKニュースの海賊対処活動の映像と番組構成は、自衛隊の活動を当初の海賊対処活動から大きく転換させる方向性を暗示させるものです。
この番組は、テロ対処部隊への参加国の減少と、米軍事予算の縮小に伴う中東での活動の低下を防ぐため、日本国自衛隊にも加担させようとする米国の要請を受け入れるべく、姑息な策を練る安倍政権とNHK籾井会長の思惑が実現させたものと断定します。
10年以上、自衛隊のインド洋給油活動、海賊対処活動を追ってきた柳瀬川通信報道部なら、政府がNHKを通じてこの時期に合わせるように、何の目的で番組を作り、そしてこれからどんな方向に向かうつもりかが良くわかりますが、ほとんど知らされず、関心もなかった国民には、このニュース番組を見てもあまり重要なこととは理解されないでしょう。ハッキリ言ってこう言った番組作りは卑怯です。
7月9日のブログ、「ブッシュ帝国の野望」でも、安倍政権の次の手が見えていましたので次のように書きました。
「ホルムズ海峡の戦闘時の機雷除去などは、嘘八百の隠れ蓑で、実際は米軍が自軍の負担軽減を強く望む、テロ対策部隊CTF-150への海上自衛隊の参加、そして併せて見えてくるのはシーレーン確保の名を借りた南シナ海での集団的自衛権の行使です。」

安倍政権が具体的に動き出すのはもう少し先と考え、これについて分かり易く書きたいと思って油断していたのですが、今晩のニュースウオッチ9でやられたと思いました。

司令官の側近というイギリス海軍大佐とのやり取りなど、いかにもやらせっぽいと思わせる映像ですし、自衛隊を評価して、テロ対策も含めた幅広い活動と海域の範囲拡大を望むコメントなども、海賊対処法を逸脱する行動になるわけで、米軍の思惑が絡んだある方向に向かわせようとする意図を含んだ番組になっていると思います。
番組の最後に、従来であれば、当然カットされているであろう、米軍将校が「日本の自衛隊はテロ対処活動に間接的にはもう参加している」とまで発言した映像をどうどうと放映しています。
最後にまとめとして河野、鈴木両キャスターが次のように話しています。
河野「警察活動の範囲内として海賊対策に参加した自衛隊、この6年間その役割は増し続けています」
鈴木「現場の様子、初めてみるものばかりでしたが、自衛隊に対して各国からの期待が大きくなっていることに驚きました。」
(NHKのアナウンサーでも初めてですか。そうですか。安全保障関連法案が衆議院で採決されなければ、まだまだ隠さなければならなかった映像なのです)
河野「そうですね。まさに安全保障関連法案を巡って自衛隊の役割が議論されていますけれど、そうした国際社会の期待と日本の法的な役割の間で、自衛隊が何をどこまで担うのか現場の実情を踏まえて、議論してゆくことが必要であると感じました。」
(「現場の実情を踏まえて、議論してゆくことが必要」これはかなり問題のある発言です。米国が指揮権を握る現場の実情なるものを、正確に国民に伝えらるとは思いません。このニュース映像のような、NHKの制作した現場の実情で議論はできません)

  実際にはどうなのか。現在に至る海上自衛隊の船舶護衛状況、CTF-151の参加国とその活動状況、3カ月から6ヶ月の交代制である司令官任務、そして最近のテロ対処部隊CTF-150との関連、米軍との関わりなどについて、また書きたいと思います。
今、いろいろお知らせしたい事もあるのですが、書き出すときりがないので、先ずはこれからもこんな啓蒙番組が増えることになるぞと警鐘を鳴らしておきます。

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2014年8月12日 (火)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その39(2014年6月、7月)---シーレーン防衛の幻想

インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、CTF-151部隊、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)

*平成26年6月の海賊対処法による船舶護衛実績(569回護衛~578回護衛の10回)護衛艦(第18次派遣部隊) うみぎり  いなづま(ゾーンディフェンス艦)     
(6月4日~8日と、19日~22日の2回、ジブチ基地に停泊し補給、乗組員休養)
(6月10日~13日の行動発表なし)

護衛した船舶  日本籍船 0隻
   日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    7隻
  合計7隻 1回平均0.7隻                                    
                外国籍船 24隻  1回平均2.4隻

10回の護衛中、日本貿易関係船舶が0隻だったのは、571、572、573、574、576、578、回の6回です。
◎日本の船舶運航事業者の運航している外国籍船(日本の貿易関係船舶)7隻中、タンカーは3隻、LPG船1隻、コンテナ船1隻、一般貨物船2隻
◎外国籍船24隻のうち、タンカーは6隻
◎外国籍船の
船舶運航会社の国籍
1.中国 4隻(うちタンカーは2隻)
2.ギリシャ 1隻
3.トルコ 6隻
4.シンガポール 5隻
5.ドイツ 1隻
6.インド 3隻
その他 4隻

*平成26年7月の海賊対処法による船舶護衛実績(579回護衛~586回護衛の8回)護衛艦(第18次派遣部隊) うみぎり  いなづま(ゾーンディフェンス艦)     
(7月16日~21日の6日間、ジブチ基地に停泊し補給、乗組員休養)


護衛した船舶  日本籍船 0隻

   日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    7隻
  合計7隻 1回平均0.87隻                                    
                外国籍船 21隻  1回平均2.62隻

◎8
回の護衛中、日本貿易関係船舶が0隻だったのは、579、583、585、586回の4回です。
◎日本の船舶運航事業者の運航している外国籍船(日本の貿易関係船舶)7隻中、タンカーは2隻、LPG船3隻、コンテナ船2隻
◎外国籍船21隻のうち、タンカーは6隻
◎外国籍船の
船舶運航会社の国籍
1.中国 6隻(うちタンカーは2隻)
2.ギリシャ 4隻
3.トルコ 2隻
4.シンガポール 2隻
その他 7隻
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 上図は、現在海上自衛隊ホームページに掲載されている海賊対処活動の説明図です。
しかし、この図は現状の自衛隊活動から見ると誤りで、何故海上自衛隊が半年以上も訂正しないのかわかりません。
なぜなら、昨年(2013年)12月より、2隻の護衛艦のうち、1隻はエスコート方式と呼ばれる上図に示される船団護衛から離れて、CTF151に参加し、広範囲の海域を監視巡回し海賊が民間船舶に近づかないよう警備するゾーンディフェンス活動を行っているからです。
自衛隊がCTF151に参加する問題は、7月6日のブログに書きましたので今日は省略します。

ともかく、何度も書いていますが、海上自衛隊の護衛艦により護衛される、中国船籍を筆頭にする船舶数は平均で3隻程度であり、日本貿易関係船舶に至っては、平均すると1隻にもなりません。
6月、7月を見ても、18回の船舶護衛のうち、日本貿易関係船舶が0隻の回が10回もあります。
まあ、これほど、想定と実際とがかけ離れた作戦は珍しいが、それを誰も問題にしないし、国会での追及もありません。
米国に追従し中国に負けるなとばかり、ソマリア沖に護衛艦を派遣することが先で、護衛対象船舶数や船舶運行日程などの状況把握がなされていなかった。海賊に対応する法律も未整備で現場は混乱し、ただシーレーンを守るを大義名分にしたかのような作戦だったのです。
海上警備行動から始まり、「海賊対処法」の施行で他国籍の船舶も護衛できるようになり、国際協力の名のもと、船舶護衛活動は継続されてきましたが、今また米国の強い要請によりCTF151への参加、そしてその司令官にも就任するという展開を見せるに至り、はたして海賊対処活動の終わりがあるのか、そして「集団的自衛権」論議でも、たびたび話題に上りましたが、「シーレーン防衛」という戦略なき海上輸送路確保の難題とどう絡んでくるのでしょう。
シーレーン防衛は日本の生命線などと、声高に叫ばれますが、日本のシーレーン防衛なるものが、言葉だけが先行し、その戦略思考の無さが如何に危ういものか、次回の「海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その40」で書いてみたいと思います。


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2014年7月 6日 (日)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その38---海上自衛隊がCTF-151の司令官に!CTF-150への参加も現実味を帯びてきた(集団的自衛権の行使容認と無縁ではない)

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http://combinedmaritimeforces.com/   (合同海上部隊(CMF)のHP。日本政府は国内的には公にすることを避けたがるのですが、ここには日本国旗が掲載され日本国の参加を表しています)

防衛省は2009年の海賊対処法による海上自衛隊の護衛艦派遣当初から、米軍などが共同運用する多国籍部隊への参加は、憲法や自衛隊法からの制約から難しいと、その枠組みには入らず個別対応の立場で活動する方針を守ってきました。
 
多国籍部隊(海賊対処専任部隊としてはCTF151)の活動は「攻撃しても武力行使にならない」と日本政府が判断した海賊の制圧が中心とはいえ、武力行使とみなされる「国または国に準じる組織=一部のテロ組織」との交戦を否定していない。このため、CTF151への参加は困難と判断した経過があります。

従ってソマリア沖に派遣された海上自衛隊の活動は、当ブログで護衛活動開始以来の毎月の活動を掲載しているように「エスコート方式」と呼ばれる、護衛対象船舶の前後を2隻の護衛艦で守るオーソドックスな船団護衛方法でした。

しかし、日本政府は昨年(2013年<平成25年>)12月より、ソマリア沖で船舶護衛の海上自衛隊第17次派遣部隊の護衛艦2隻のうち、1隻を第151連合任務部隊(CTF-151)に参加させることに決定しました。
従来のエスコート方式の船団護衛を1隻の護衛艦(さざなみ)だけにして、他の一隻(さみだれ)を広範囲の海域を監視巡回し、海賊が民間船舶に近づかないよう警備する方式です。特定の船舶を護衛せず、航路が通る海域を他国(CTF151参加国)と区切って警戒する「ゾーンディフェンス」と呼ばれる方式に移行させることにしたわけです。
昨年12月以後の17次以降の派遣部隊もこれに続いています。尚、CTF151への参加はその経過から見て、米軍の強い要請によるものと思われます。

 あれ、自衛隊が多国籍部隊に参加して良いのとの疑問が生ずるわけですが、防衛省は「これまでの活動同様、海賊行為を取り締まる警察活動で、武力行使ではない」と説明しています。
しかし、このあたりが日本政府お定まりの、参加したの、それとも片足だけ入れたのと思わせる何とも歯がゆい説明に終始するのですが、参加したことはしたが、海域の割り振りなど連絡・調整のため、隊員を多国籍部隊の司令部に派遣するだけで、指揮下には入らないと説明しています。
(話はそれますが、その指揮下には入らないと説明したCTF-151の司令官は、護衛艦「さみだれ」が参加した昨年(2014年)12月当時はデンマーク海軍でしたが、今年の2月にパキスタン海軍に、そして6月から韓国海軍が指揮をとっています。
ですから現在、海上自衛隊の護衛艦1隻(第18次派遣部隊のいなづま)は好むと好まざると、韓国海軍の司令官の指揮下?にあるわけです。
実は護衛艦の1隻が参加といっても、同じソマリア沖で活動しているもう1隻の護衛艦はどうなのだと聞かれれば、これまた説明不足でよくわからないとお伝えするしかありません。)


この「指揮下には入らない」という言葉が如何にあいまいなものであるか、またしても驚くべき進展の中で浮かび上がります。

なんと、7月3日のNHKのニュースで、ソマリア海賊対策に自衛隊の司令官を派遣するとの放送が流れたのです。(この話、実はかなり前から出ていて、昨年12月のCTF-151参加時に事実上日本側も了承していたと断じてよいと思います。
しかし、安倍内閣が集団的自衛権の行使を閣議決定した直後に、政府広報NHKが流すとは、いつものことながら不快です)


おい、おい、遂に海上自衛隊が多国籍部隊の司令官になることを発表したのかと、ニュースを聞いていましたが、これまたなんとも要領を得ない報道で、政府広報といえどもNHKさん、もう少し自分の言葉で報道しろよと言いたくなる内容です。
まあ、わからないながら要約すると

〇自衛隊が参加している多国籍部隊に、初めて自衛隊から司令官を派遣する(司令官を派遣するなどと、わかり難いことを言わず、現在韓国海軍がその任についているCTF-151の司令官に、近いうちに海上自衛隊がつくことになったと言えば国民には理解しやすいのです。
政府発表は、原発事故などにも言えますが、なるべく隠そう隠そう、あいまいにしようとするので、こんな奥歯に物の挟まった文章になるのです。要は後ろめたいのです。
それをNHKは、政府の意を汲んでそのまま発表し、なおかつ妙なフォロー文を挟むからなおややこしくなるのです。まあ、他のマスコミ、特に読売、産経、日経なども似たようなものです。防衛省は各国からの要請と説明していますが、米軍の強い意向に沿った行動です)


〇海賊対策に主体的に関わることで、積極的平和主義のもと、国際社会に貢献する姿勢を打ち出す。(いかにもNHKらしいフォローです。)

〇多国籍部隊の司令官は4ヶ月から6ヶ月ごとに参加国の間で持ち回りで交代している。
(政府は「アメリカ、イギリスなどの多国籍部隊への貢献」という言葉が好きです。インド洋給油の時も、最後の頃パキスタン海軍だけにしか給油していない時期にも、しきりに多国籍部隊への給油をうたっていました。始めは多国籍部隊でも、いつの間にか参加国が少数になることも多いのです。実はCTF-151もその傾向があるのですが、これは別記事で)

〇多国籍部隊への参加による活動のなか、防衛省は各国からの要請などを踏まえて検討を進め、多国籍部隊の司令部と参加している部隊との関係は、指揮・命令の関係ではなく、あくまで連絡調整であり、法的にも問題はないなどとして自衛隊から司令官と司令部要員を派遣する方針を固めた。
多国籍部隊の司令部と参加している部隊との関係は、指揮・命令の関係ではなく、あくまで連絡調整であり、法的にも問題はない---国民からの反発もあって、最初は参加も躊躇っていたCTF-151の司令官に、指揮下にはない、いや司令官になっても指揮、命令は無いなど、何のかんのと言い回しだけで、結局就任してしまいそうです)

海上自衛隊がCTF-151の司令官の任に就くことは、「海賊対処法」による護衛艦派遣の範囲を越えてきているのではとの声も上がってよさそうなのですが、隠されているというか、報道もされずに、問題視される様子も無いことが不思議です。
米国の次なる狙いは、海上自衛隊と航空自衛隊を、米軍が掌握しているテロ対策部隊CTF-150(海上治安活動、海上阻止行動の実施が主任務)への参加を促すものと思っています。

ソマリア沖の海賊対処活動については、僕は原則反対ではありません。
しかし、海上警備行動から海賊対処法に至る成立過程、あまりにも虚偽にすぎた護衛船舶数想定、マスコミを利用した不正確な情報操作、船主組合、経団連側の一方的な過剰要求と国交省、防衛省との癒着、シーレーン防衛などとの結びつけ方、恒久基地化への道を進んでいる「ジブチ拠点」と称する我国初の海外基地の在り方、ジブチ共和国政府との交換公文にみられる不実、そして、CTF-151への参加、間をおかずして司令官への就任要請受諾に見られる歯止めなき拡大解釈と国民への説明を避けようとするる政府のあり方などなど、あまりにも不誠実な国民への対応は、このまま、見過ごすことはできないと思っています。
また、海賊対処法のもと、警察活動の名目で参加した多国籍軍参加が、防衛省内部では、今後の、本格的多国籍軍参加への足掛かり、突破口としての重要課題として検討されていることも見逃せません。
先ずは、集団的自衛権行使のための法整備で、海賊対処法の変更と、それに関連する自衛隊法の規定変更作業に力を注いでくるでしょう。
海賊対処法一つをとっても、自衛隊が海外で動くという事実が、かように複雑な展開を見せてくるのです。集団的自衛権行使容認の閣議決定から見えてくるその先の目的に収束させようとする大きな力が働いているからです。

見ていてください!

集団的自衛権の行使容認により、安倍政権のあいまいな説明とはかけ離れた、従来の専守防衛とはまったく異なる強大な軍事力保持の方向に向けて即、動き出すのを目の当たりにすることになりますから。

CTF-151とCTF-150、聞きなれないかもしれませんが、どちらも合同海上部隊の傘下にあり、密接な関係があります。今後、自衛隊との関連が、特定秘密保護法、集団的自衛権行使の容認と複雑に絡んでくることは必至です。このことについては、書き出すと途方もなく長くなりますので、後日別途書くことにします。

今後、この話題も出るかと思いますので、参考までに、CTF-151の歴代司令官を書いておきます。現在の韓国海軍が22代目となります。

1.米国海軍2009.1~
2.米国海軍(二度目)
3.トルコ海軍
4.米国海軍(三度目)
5.シンガポール海軍
6.韓国海軍
7.トルコ海軍(二度目)
8.パキスタン海軍
9.シンガポール海軍(二度目)
10.ニュージーランド海軍
11.パキスタン海軍(二度目)
12.デンマーク海軍
13.タイ海軍
14.韓国海軍(二度目)
15.トルコ海軍(三度目)
16.パキスタン海軍(三度目) 2012.12.13~
17.シンガポール海軍(三度目) 2013.3.7~
18.パキスタン海軍(四度目)2013.6.13~
19.イギリス海軍 2013.9.5~
20.デンマーク海軍(二度目) 2013.12.12~
21.パキスタン海軍(五度目)2014.2.27~
22.韓国海軍(三度目) 2014.6.12~
23.日本海上自衛隊の可能性あるも? 
24.日本海上自衛隊の可能性 2015.2か3頃か

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2014年6月13日 (金)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その37(2014年5月)

インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、CTF-151部隊、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)
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(写真左上、第18次派遣部隊の護衛艦105「いなづま」)
(写真左下、158「うみぎり」)
(海上自衛隊ホームページ、ギャラリーより転載しました)

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*平成26年5月の海賊対処法による船舶護衛実績(559回護衛~568回護衛の10回)

護衛艦(第18次派遣部隊) うみぎり  いなづま(ゾーンディフェンス艦)       
(5月9日より12日と22日より25日の2回、ジブチ基地に停泊し補給、乗組員休養)

     護衛した船舶  日本籍船 0隻
    日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    7隻
 合計7隻 1回平均0.7隻                                    
                外国籍船 32隻  1回平均3.2隻

10回の護衛中、日本貿易関係船舶が0隻だったのは6回(護衛艦は日本の船舶を護衛していると思われている方にはショックの数字です)
◎日本の船舶運航事業者の運航している外国籍船(日本の貿易関係船舶)7隻中、タンカーは3隻(タンカーが1ヶ月で3隻とは、シーレーン防衛などで誇張して報道されているより、実際の船舶数が少ないことに驚かれる方も多いと思います)
◎外国籍船32隻のうち、タンカーは12隻
◎外国籍船の
船舶運航会社の国籍
1.中国 8隻(うちタンカーは5ないし6隻ほど)
(日本貿易関係船舶より、中国の船舶運航会社の船舶数が多いのです)
2.ギリシャ 5隻
3.トルコ 4隻
4.シンガポール 4隻
5.インド 1隻
6.韓国 1隻
7.イタリア 3隻
8.UAE 4隻
9.タイ 1隻
10.パナマ 1隻

先日のTBSラジオ「荒川強啓Dキャッチ」に出演し、集団的自衛権について語った岡崎久彦氏が「CTF151部隊」微妙な立場で参加している海上自衛隊の護衛艦のゾーンディフェンス活動について、とぼけているのかと思ったら、どうやらほとんど無知なのだとわかり、
改めてこの人に驚かされています。「論客」?この人がと、その発言のひどさに暗澹たる思いです。

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2014年5月21日 (水)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その36(2013年11月~2014年4月)

インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、CTF-151部隊、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)

久しぶりに海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛の記事を書きます。
休載していたというより、サボっていた訳は、海上自衛隊護衛艦による日本貿易関係船舶を護衛する為の活動内容が、一回に10隻護衛(月間約90~100隻)を想定した当初の護衛艦派遣の理由付けとはかけ離れた状況が続いていたからです。
いちばん護衛対象になるはずの「我が国運行事業者が運行する外国籍船」が1ヶ月に数隻程度であり、ましてや「日本籍船」など皆無に近い状況で、僕が恥じる必要はないのですがデーターをお見せするのが気が引けるくらいです。

護衛する船舶の8割は日本以外の貿易関連船舶で、国際協力の趣旨は理解できるとしても、圧倒的に多いのが中国貿易関連で、最近の中国の原油輸入量の増大に伴うタンカーが目立ちます。
一部の方には、目を覆いたくなる光景でしょうが、中国国旗を掲げた超大型タンカーを、海上自衛隊の護衛艦「さみだれ」が粛々と護衛しているわけです。
それでも、書いてみようと思ったのは、最近の安部政権が目指す「集団的自衛権」行使容認に向けての論旨は、ソマリア沖海賊対処の経過を思い起こさせるからです。

ソマリア沖海賊対処の緊急性と称して「海上警備行動」の拡大解釈から護衛艦の派遣を急ぎ、それを追うように国会審議の必要のない恒久法である海賊対処法の成立。
武器使用条件の緩和、そしてジブチ基地(防衛省は基地ではなく拠点と言う)の恒久化。
派遣時当初の議論からはあり得なかった閣議決定でのCTF-151部隊への参加(ゾーンディフェンス)等々。
まず既成事実化、そしてその後の拡大解釈。自民党政権のお定まりの手法です。
*平成25年11月の海賊対処法による船舶護衛実績(509回護衛~516回護衛の8回)
 
 護衛艦(第16次派遣部隊)  ありあけ    せとぎり

      
護衛した船舶  日本籍船 0隻 
    日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船   
                  合計6隻 1回平均0.75隻 
 
               外国籍船 25隻  1回平均3.12隻

*平成25年12月の海賊対処法による船舶護衛実績(517回護衛~525回護衛の9回)

 
 護衛艦(第17次派遣部隊) さざなみ さみだれ(ゾーンディフェンス艦)

      
護衛した船舶  日本籍船 0隻 
    日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    2隻  
                 合計2隻  1回平均0.22隻
 
                外国籍船 21隻  1回平均3.12隻

*平成26年1月の海賊対処法による船舶護衛実績(526回護衛~534回護衛の9回)

 
 護衛艦(第17次派遣部隊) さざなみ さみだれ(ゾーンディフェンス艦)

      
護衛した船舶  日本籍船 0隻 
    日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船   
  合計7隻 1回平均0.77隻                                    
                外国籍船 22隻  1回平均2.44隻

*平成26年2月の海賊対処法による船舶護衛実績(535回護衛~542回護衛の8回)

護衛艦(第17次派遣部隊)  さざなみ  さみだれ(
ゾーンディフェンス艦)
      護衛した船舶  日本籍船 0隻
    日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    1隻
 合計1隻 1回平均0.12隻                                    
                外国籍船 25隻  1回平均3.12隻

*平成26年3月の海賊対処法による船舶護衛実績(543回護衛~550回護衛の8回)


護衛艦(第17次派遣部隊)  さざなみ  さみだれ(ゾーンディフェンス艦)
      護衛した船舶  日本籍船 0隻
    日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    6隻
 合計7隻 1回平均0.75隻                                    
                外国籍船 25隻  1回平均3.12隻

*平成26年4月の海賊対処法による船舶護衛実績(551回護衛~558回護衛の8回)

護衛艦(第17次派遣部隊) さざなみ  さみだれ(ゾーンディフェンス艦)
護衛艦(第18次派遣部隊) うみぎり  いなづま(ゾーンディフェンス艦)       第17次から第18次派遣部隊に555回護衛より交代(4月7日より4月13日まで、ジブチ基地に停泊し引継ぎ交代)

     護衛した船舶  日本籍船 0隻
    日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    5隻
 合計5隻 1回平均0.62隻                                    
                外国籍船 21隻  1回平均2.62隻

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2013年11月18日 (月)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その35の(2)---幻の日本船舶に武装護衛とは?(2)

今日は、海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その35の(1)---幻の日本船舶に武装護衛とは?(1)の続きです

ソマリア沖、アラビア海などで、日本の船舶」に民間武装警備員の乗船を認める特別措置法が11月13日午前の参議院本会議で可決成立しました。
この「日本船舶警備特措法」は原油タンカーのような被害を受けやすいハイリスクな日本船舶に限定して、小銃を用いて実施される特定警備の実施を行えるようにしました。
この法案については、以前にも何度か書いていますが、新聞記事などを参照した2013年4月6日の記事を参照してください。
http://yanasegawa.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-8118.html  (4月6日ブログ)

この法律による「日本船舶」とは、「船舶法第一条に規定する日本船舶をいう」とされています。
船舶法第一条とは次のような条文です。

第一条  左ノ船舶ヲ以テ日本船舶トス
一   日本ノ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶
二   日本国民ノ所有ニ属スル船舶
三   日本ノ法令ニ依リ設立シタル会社ニシテ其代表者ノ全員及ビ業務ヲ執行スル役員ノ     三分ノ二以上ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属スル船舶
四   前号ニ掲ゲタル法人以外ノ法人ニシテ日本ノ法令ニ依リ設立シ其代表者ノ全員ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属スル船舶

防衛省発表の「海賊対処のために派遣された水上部隊の護衛実績」に書かれている「日本籍船」がこれに該当します。
しかし、この特別措置法では、民間武装警備員が乗船できる船舶として、その趣旨に原油その他の国民生活に不可欠な物資であって輸入に依存するものの輸送の用に供する日本船舶とされています。
すなわち輸出品や、国民に不可欠な物資で無い輸入品を運ぶ船舶は該当しないようです。
それでは、実際にソマリア沖での、特別措置法でいう「日本船舶」を見てみましょう。

海賊対処法による船舶護衛開始以来の日本籍船の護衛の実情。
1.  2009年07月 1隻 LNG船
2.  2009年10月 1隻 専用貨物船
3.  2009年12月 1隻 専用貨物船
4.  2010年01月 1隻 自動車専用船
5.  2010年03月 1隻 自動車専用船
6.  2010年04月 1隻 自動車専用船
   2010年04月 2隻 客船
7.  2010年07月 1隻 タンカー
8.  2011年01月 1隻 タンカー
9.  2011年03月 1隻 タンカー
10.  2011年06月 1隻 タンカー
11.  2011年08月 1隻 タンカー
12.  2011年12月 1隻 タンカー
13.  2012年06月 1隻 自動車専用船

     合計   15隻
えっ、たったの15隻!。
2009年7月、海賊対処法に基づく船舶護衛が開始されて以来、2013年10月現在までの467回(海上警備による41回の護衛を含めると508回)の護衛活動において、護衛された船舶は合計3,135隻です。
内訳は日本籍船15隻、日本の運航事業者が運航する外国籍船578隻、その他の外国籍船2,542隻です。

そうなのです。護衛された船舶全体の81%は中国、ギリシャ、トルコ、韓国、シンガポールなどの船舶運航会社が運航するものです。
残りの18.5%が日本の運航会社が運航する外国籍船、そして僅か0.5%、15隻の日本籍船がこの4年3か月の実績なのです。
事実上、「日本船舶」なるものは無いに等しいわけで「幻の日本船舶」と書いた所以です。。
しかも、特措法では「国民生活に不可欠な物資であって輸入に依存せざるを得ないものの輸送に従事する日本船舶」とされていますので、自動車専用運搬船などは入りません。タンカーもご覧のとおりです

従って、ソマリア沖で民間警備員を乗せる日本の運航事業者はまず無いと思ってよいでしょう。乗せるべき日本船舶など存在しないのですから。
始めから、日本の船舶運航事業者は煩雑な手続きや経費の掛かる民間武装会社と契約することまで考えていません。
それでなくとも、船舶の放水装置や鉄条網、シタデル(避難所)などの自衛措置への取り組みには消極的でしたから。
日本船主協会、経団連が強く要望し、国土交通省、防衛省も一体になってこの法を成立にもっていったのは、なぜでしょう。
日本船主協会、経団連などが、国土交通省、防衛省に要望書を提出すると、しかる後、それに対応した法案なり対策案が出てくる。
今までもこの図式が出来上がっていました。
だいたい護衛艦や哨戒機の数を増やせとか、現状では必要も無い、海上給油の為の補給艦出動、自衛官の船舶同乗などの公的警備の充実など、どの要望も国土交通省との連携以外ありえません。
要望書の文案は、実は「国土交通省海事局」で作られているとまで言われていました。

さて、差しあたってこの「日本船舶警備特措法」は、ソアリア沖、アデン湾を航行する船舶に急いで適用するためではなく、海賊対処への危機感を利用して、民間武装警備員を乗船できる法を作りたかった
まさに「法の為の法作り」、この法があるから、また次の関連法が出来やすいというわけです。いつの間にやら、こんな法が出来ていたということです。
良く、官僚は頭が良く狡猾に物事を進めるように言われますが、そんなことはありません。
ひとつの目的に向って策を練ることなど、民間でも誰にでも出来ます。ただ、それをおかしいと思ったり、危機意識をもって感じ取る国民の意識の無さが、怪しげなプロセスを踏む官僚たちの策を許してしまうのだと思っています。
国民の権利意識の無さが、間違いなく成立してしまうであろう、悪法「秘密保護法」に如実に現れています。
すみません、海賊対処から脱線しましたが、最近は経済政策など口先だけで、衣の下に隠していた鎧をむき出しにし始めた安倍自民党政権を危惧すること大なのです。みんなの党、維新の会など、政権に擦り寄る馬鹿者どもは論外ですが、もう少し自民党内に、安倍首相の暴走を危険視し、冷静な判断が出来る議員はいないのですか。

さて、海賊対処に話しを戻しますが、ことによると米国からも自国の民間軍事会社が活動できる場の提供も要請されていたのでしょう。
将来的には日本の軍事の民間委託への道筋をつける一歩としたかったとみております。

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2013年11月17日 (日)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その35の(1) (2013年7月、8月、9月、10月)---幻の日本船舶に武装護衛とは?(1)

インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、CTF-151部隊、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)

109ariake_320

(写真左、現在活動中の第16次派遣部隊の109「ありあけ」と156「せとぎり」。
海上自衛隊のホームページより転載しました)

156setogiri_320













*平成25年7月の海賊対処法による船舶護衛実績(472回護衛~481回護衛の10回)
   
   護衛艦(第15次派遣部隊)  あけぼの   はまぎり     
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    3隻
                   合計3隻  1回平均0.3隻
           
             外国籍船 21隻  1回平均2.1隻


*平成25年8月の海賊対処法による船舶護衛実績(482回護衛~492回護衛の11回)
   
   護衛艦(第15次派遣部隊)  あけぼの   はまぎり(第489回まで)
   護衛艦(第16次派遣部隊)  ありあけ    せとぎり(第490回以降)
  
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    
                   合計7隻  1回平均0.63隻
           
             外国籍船 38隻  1回平均3.45隻


*平成25年9月の海賊対処法による船舶護衛実績(493回護衛~500回護衛の8回)
   
   護衛艦(第16次派遣部隊)  ありあけ    せとぎり
  
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    
                   合計6隻  1回平均0.75隻
           
             外国籍船 22隻  1回平均2.75隻


*平成25年10月の海賊対処法による船舶護衛実績(501回護衛~508回護衛の8回)

   海護衛艦(第16次派遣部隊)  ありあけ    せとぎり
  
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    
                   合計2隻  1回平均0.25隻
           
             外国籍船 38隻  1回平均4.75隻

海上自衛隊によるソマリア沖船舶護衛のこの報告に、毎回のように書いていますが、護衛される船舶数の少なさは相変わらずです。
今回、7月、8月、9月、10月の4ヶ月分をまとめましたが、この間の37回の護衛船団に加わったのは、合計137隻、平均3.7隻でした。
僅か1隻の商船が、2隻の海上自衛隊護衛艦に前後を守られて4日間航行する状況が6回もありました。
護衛する船舶数は問題ではない、海上自衛隊の護衛艦が存在することに意義があるとの説を唱える評論家の方もいますが、それは間違っています。
ことわっておきますが当ブログでは、ソマリア沖の海賊対処活動にすべて非を唱えているわけではありません。

自衛隊の活動だけに限りませんが、決められた法の実施が、国会での法案審議での当初の説明や、理由付けと大きく異なる状況になろうとも、説明責任や状況判断の是非を逃れ、隠し、なし崩し的な拡大解釈と、開き直ったような理由付けによる既成事実の積み上げをして、なんら省みる事の無い、この国の施策を危ぶんでいるのです。
これが今、安倍政権が推し進めようとしている集団的自衛権、秘密保護法案、教育改革などにもすべて当てはまることになると危惧しています。
インド洋給油活動陸自イラク派遣、また国民説明と異なり、米軍の武力行使と一体化した活動により、後に憲法違反の判決までなされた空自イラク空輸なども根は同じです。

海賊対処に限っても、「飛行機を雨露から守り、隊員たちにせめて安眠できる寝床と暖かい食事を提供する場」などと言われたジプチ基地が、いまや海賊対処の拠点から、中東への戦略的恒久基地へと変化を遂げようとしています。
海賊対処の為の護衛艦派遣時に、海賊から守らねばならない日本貿易関係船舶が年間2000隻、一回の護衛に10隻は参加する。
ゆえに護衛艦2隻の派遣では船団編成が難しいから4隻にしろ、いや、それは哨戒機2機の派遣で補おうなどと議論されたことなど、忘れ去られた護衛の実状があります。
空港や高速道路建設で、出来てみたら想定の半分にも満たない利用者しかなかったなどは、そう珍しいことではありません。
しかし、護衛される商船が想定の護衛船舶数の1割程度というのは、いくらなんでも検証されるべきでしょう。

そしてまた、ソマリア沖海賊対処は新たな展開を見せています。
ひとつは護衛部隊として派遣されている護衛艦2隻のうち1隻を12月から米海軍第五艦隊(司令部バーレーン)の統合任務部隊CTF-151へ参加させることが決まっています。
民間船舶の護衛から、海賊船の取締を含む海域監視活動に大きく舵を切ったのです。
護衛艦2隻による船舶護衛が、日本関係船舶だけでなく、中国、韓国、シンガポールなどの船舶を含めても、当初予想の3割にも満たない実状もあります。
しかし、一番の理由は、日米共同の軍事行動を目指す、米国からの強い要請とそれに協調したい日本政府の思惑がそこにあると思われます。
多分、11月13日に呉港を出港した第17次派遣部隊の「106さみだれ」「113さざなみ」がその任に当たることになるでしょう。
海賊対処法が議論された2009年当時に、こんな状況になる事も視野に入っていたら多分海賊対処法の成立は難しかったことでしょう。
それが、今や集団的自衛権とも関連するこんな大事な事もあっさりと閣議決定され、ほとんど国民に知られることなく実行されました。
船舶護衛ではなく、CTF151の海賊監視活動に参加することについて防衛省統合幕僚監部は「指揮、統制を受けるのではなく、連絡、調整にとどまる」ので集団的自衛権の行使には当たらない」としていますが、いつまでこんな建前が通るか疑問です。

この海上自衛隊艦艇のCTF-151の参加については、書き出すと長くなりますので別の機会に譲ります。

さて、二つ目は、ソマリア沖、アラビア海などで、日本の船舶に民間武装警備員の乗船を認める特別措置法が11月13日午前の参議院本会議で可決成立したことです。
この日本船舶警備特措法は原油タンカーのような被害を受けやすいハイリスクな日本船舶に限定して、小銃を用いて実施される特定警備の実施を行えるようになったのです。
それでは、日本船舶とは何を指すか、また国土交通省、防衛省、日本船主協会、経団連などの係わり、その意図するところなどは、明日の当ブログのソマリア沖船舶護衛その35の(2)に続きます。

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2013年7月16日 (火)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その34(2013年5月と6月)---護衛船舶少なく、米国の要請もあり遂に護衛方式を変更

インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)
20130519_00_320_2
(写真左、第15次派遣部隊の108あけぼのと155はまぎり。海上自衛隊ホームページより転載しました)


*平成25年5月の海賊対処法による船舶護衛実績(455回護衛~462回護衛の8回)
   
   護衛艦(第14次派遣部隊)  すずなみ   きりさめ (第455回まで)    
   護衛艦(第15次派遣部隊)  あけぼの   はまぎり (第456回以降)
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    3隻
                   合計3隻  1回平均0.375隻
           
              外国籍船 23隻  1回平均2.875隻

*平成25年6月の海賊対処法による船舶護衛実績(463回護衛~471回護衛の9回)
   
   護衛艦(第15次派遣部隊)  あけぼの   はまぎり     
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    3隻
                   合計3隻  1回平均0.33隻
           
             外国籍船 22隻  1回平均2.44隻

このところ毎月書いていますが、海上自衛隊護衛艦によるソマリア沖の船舶護衛は、護衛船団と呼ぶにはあまりにも護衛される船舶が少なくなっています。

5月、6月で見ても17回の護衛船団に参加した日本籍船は0隻、日本の船舶運航業者が運航している外国籍船も僅か6隻(平均0.3隻)といった状況です。
国際貢献の名のもとに、護衛船団に参加させている中国、シンガポールなどの外国籍船を加えても平均3隻です。
前後を2隻の護衛艦に守られて航行している船舶が護衛艦より少ない中国タンカー1隻という事態も何度も起きています。
防衛省が毎月発表している護衛実績の表も、だんだん省略されるようになり、遂に6月には表も発表されなくなりました。多分、日本貿易関係船舶より中国、シンガポールなどの貿易商船が多い事態をなるべく隠したいという意図なのでしょう。
参考までに、5月、6月の表を比べてみましょう。
Jy14002_1280_3

Jy14003_2

が5月まで発表されていた護衛実績の詳細別表。下が突然変更された別表とは名ばかりの簡単な報告書。

当ブログで、何度も指摘してきた事があります。
日本のエスコート方式の護衛船団は、最低でも10隻の日本関係船舶が加わった状況(派遣開始にあたり、自民党政権が根拠にしていた数字)を仮定したもので、外国籍船を加えても2、3隻の船舶の護衛に、2隻の護衛艦が伴走することへの疑問と問題提起です。

ところが、政府は7月9日の安全保障会議と閣議で海賊対処活動の1年延長と合わせて、2隻の護衛艦のうち1隻を米軍などが共同運用する海賊対処活動部隊CTF151に参加させることを決めてしまいました。米軍からの要請といわれています。
従来の護衛船団は、1隻の護衛艦で行い、もう1隻は外国部隊と共同作戦を取るというものです。
これは、報道も小さく、話題にもなっていませんが、実はCTF151部隊とのかなり複雑な問題を含んでいます。
ここに至る、日本船主協会、経団連、そして国土交通省、防衛省などの根回しの過程なども含めて、別途書くことにします。









                                                   

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2013年5月29日 (水)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その33(2013年3月と4月)---武装警備員同乗の法案成立か

インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)

3月、4月と海上自衛隊護衛艦による護衛船団に加わった日本籍船は0隻、日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船の数は、3月が僅か2隻(護衛回数7回中)、4月が4隻(護衛回数9回中)と、このところなぜか減少の一途をたどっています。
日本商船艦隊は壊滅かと思わせる状況に、それでは、外国籍船に乗る日本人船員はどうかとみると、これまた1人もおりません。

政府、官(国土交通省)、財(日本船主協会、経団連)などの根回しにより閣議決定にまで進み、今国会で審議中の「海賊多発地域における日本船舶の警備に関する特別措置法案」が成立しそうです。(この事は、前回の「その32」で書きました)
http://www.mlit.go.jp/policy/file000003.html     国土交通省国会提出法律案

しかし民間武装警備員の乗船が可能となっても、特定警備される船舶法第1条に規定された日本船籍の船が存在するのかと、そちらのほうが気になります。
日本船主協会の望んだ建前と、現実とのギャップは大きいようです。


*平成25年3月の海賊対処法による船舶護衛実績(439回護衛~445回護衛の7回)
   
   護衛艦(第14次派遣部隊)  すずなみ   きりさめ     
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    2隻
                   合計2隻  1回平均0.28隻
           
              外国籍船 17隻  1回平均2.42隻


*平成25年4 月の海賊対処法による船舶護衛実績(446回護衛~454回護衛の9回)
   
   護衛艦(第14次派遣部隊)  すずなみ   きりさめ     
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    
                   合計4隻  1回平均0.44隻
           
              外国籍船 31隻  1回平均3.44隻
  (今回も、護衛回数ごとの実績は、0隻ばかりが並びますので省略します)

上の表からもわかるように、外国籍船も含めても護衛艦に前後を守られて、ソマリア沖で長い船列を組むはずだった船舶が、毎回1~3隻程度であり、とても護衛船団とは呼びにくい状況になっています。
僅か1隻の外国籍船を2隻の護衛艦が護衛するという破格とも思える国際貢献さえも多いのです。
この事はマスコミもあまり報道しませんので、知らない方も多いと思います。
残念ながら、最近は護衛される船が日本関係船舶より、中国籍の船のほうが多いのが現実です。
今でも、日本の政官財、そしてマスコミは何かあるたびに輸入に頼る日本の生命線、ソマリア沖を航行する年間2000隻の日本関係船舶などと云いますが、この2000隻の数字は本当に正しいのか。今年の1月4隻、2月3隻、3月2隻、4月4隻という護衛実績からいくと、2013年度はいいところ50隻程度の護衛数にしかなりません。
中国を筆頭に、ギリシャ、シンガポール、トルコ、ドイツ、インド、韓国などの多数の外国籍船の護衛という国際貢献を果たしているといった評価はあっても、年間約200億円以上(調査中)もの経費が掛けられている海賊対処法による民間船舶護衛の再検証が必要ではないかと思います。

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2013年4月 6日 (土)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その32(2012年12月から13年2月)武装警備員同乗の法案と云うけれど日本船籍の舶は3ヶ月で0隻

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インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)

前回報告(船舶護衛その31)に続く、平成24年12月~25年2月までの3ヶ月の26回に及ぶ護衛実績ですが、日本籍船は0隻、日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船でさえも8隻と、護衛艦2隻による護衛船団に日本貿易関係の船舶が1隻も加わらない事が多い状況で推移しています。
26回の船団護衛で僅か8隻と云う数字は、海賊対処活動開始時の想定の1回の護衛船舶数にも及びません。(1回の護衛に日本関係船舶が10隻加わるとされた)。
26回ですよ、それでは何処の国の船舶を護衛しているかですって?。
いまや護衛の主力は、中国を筆頭に、ギリシャ、シンガポール、トルコ、ドイツなどの船舶運航会社の船なのです。中国貿易関係の積み荷が多いようです。
そんなわけで、従来発表していた毎回の護衛船団ごとの数字では、日本貿易関連の船舶の数字、
0隻が並ぶばかりなのでこれを省略して毎月の合計数だけを発表します。

*平成24年12月の海賊対処法による船舶護衛実績(413回護衛~419回護衛の7回)
   護衛艦(第13次派遣部隊)  まきなみ   ゆうぎり     
 
 護衛した船舶  
日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    

                   
合計1隻  1回平均0.14隻
           
              外国籍船 19隻  1回平均2.7隻

*平成25年1月の海賊対処法による船舶護衛実績(420回護衛~429回護衛の10回)
   護衛艦(第13次派遣部隊)  まきなみ   ゆうぎり(第424回まで)
   護衛艦(第14次派遣部隊)  すずなみ   きりさめ(第425回以降)     
 
 護衛した船舶  
日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    

                   
合計4隻  1回平均0.4隻
           
              外国籍船 32隻  1回平均3.2隻

*平成25年2月の海賊対処法による船舶護衛実績(430回護衛~438回護衛の9回)
   護衛艦(第14次派遣部隊)  すずなみ   きりさめ     
 
 護衛した船舶  
日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    

                   
合計3隻  1回平均0.33隻
           
              外国籍船 45隻  1回平均5隻

ここへ来て、国土交通省は、上に掲載した新聞記事にあるように、ソマリア沖などの海賊の対策として日本船籍の船に武装した外国の民間警備員が乗り込むことを認める
「日本船警備特別措置法案」を今国会に提出する意向だと報道されました。
詳しいことは、記事を読んでいただくとして
(クリックすると拡大します、この法案提出に至る下地は民主党政権時代からあったのですが、自民党政権になってより具体的に動き始めました。
過去、何度か日本船主協会、経団連は政府に対し、海賊対処の強化を求めてきました。新しいところでは、2011年10月に日本船主協会の要望書に続くように、経団連が下記のような提言を発表しています。

「経団連は14日(2011年10月)、近年被害が急増しているソマリア沖の海賊対策の強化を求める提言を発表した。
現在自衛隊が派遣している2隻の護衛艦と2機の哨戒機の拡大を要望。給油用の補給艦派遣や現在は認められていない外国船籍への給油が可能になるよう法的な整備も求めた。
日本船籍の船舶に武装した自衛隊員や海上保安庁職員を同乗させ警備を強化すべきだとしている。」

「船舶護衛その29」でも書きましたが、再度気になるところを抜粋しておきます。

「1.海上輸送に対する海賊の影響
日本は、トン数ベースで貿易量(輸出入合計)の99%を海上輸送に依存して
いる。このため、シーレーンの安全確保は、わが国のエネルギー安全保障や経
済にとって非常に重要である。
アデン湾においては、紅海、スエズ運河、地中海を経由して世界全体で年間
2 万隻の船舶が航行し、
そのうち約2,000 隻が日本関連船舶である。これに加
え、年間3,400 隻の日本関連船舶がペルシャ湾を航行し、原油タンカーなどが
活動範囲を拡大した海賊の脅威を受けている。

わが国は、原油総輸入量の88%を中東に依存しているが、原油タンカーは低
速かつ海面からデッキまでが低く、海賊に狙われやすい。

わが国の自動車の輸出台数の3 分の1 は、ソマリア沖・アデン湾およびイン
ド洋を通航する自動車専用船やコンテナ船によって運搬されている。海賊を避
けてソマリア沖・アデン湾を迂回し、アフリカ大陸最南端の南アフリカのケー
プタウンにある喜望峰を経由すると、6~10 日余計にかかるため、燃料代など
コストが大幅に増大する。自動車専用船やコンテナ船が航路を迂回することで
納期が遅れるとともに、生産計画にも変動が生じることが懸念されている。ま
た、海賊の脅威により、ソマリア沖・アデン湾およびインド洋への配船を取り
止める動きもあり、その経済的損失や商業的権利の喪失は看過できない。一方、
ソマリア沖・アデン湾を航行する場合でも、追加保険料や警備員の手配等が必
要になる。

4.強化すべき具体的な海賊対策
今後、強化すべき具体的な海賊対策として、以下の4つを求める。

(1) 自衛隊の派遣規模の拡大
自衛隊の派遣規模は、2009年からの護衛艦2隻とP-3C哨戒機2機に加え、人員が増強され現在は約580人である。
これまで海上自衛隊の海賊対処航空隊はソマリアの隣国であるジブチの米軍基地内に間借りしていたが、7月にジブチに自衛隊初の自前の海外拠点を開設した。

今後は派遣規模をさらに拡大し、護衛艦と哨戒機の数を増やす必要がある。あわせて海上給油により護衛艦の活動範囲や頻度の拡大を可能にするため、補給艦を派遣すべきである。

また、海賊対処法では、外国の艦船への給油が想定されていない。そこで、国際協力による護衛活動の強化の観点から、外国の艦船への給油も可能とするため、同法の改正もしくは新法の制定により海賊対策を強化する必要がある。

(2) 自衛隊員や海上保安庁職員の乗船による警備強化
海運会社としては、船舶の放水装置や鉄条網、citadel(シタデル:避難所)の充実など自衛に向けた取組みを着実に進めることが重要である。

一方、船舶の自衛措置には限界があり、乗組員の不安を軽減し安心して乗船できるよう、多くの国々が自国の軍隊あるいは民間の武装警備員を自国籍の船舶に乗船させる措置を講じている。

わが国では民間人による武器の所持が禁止されていることから日本船籍の船舶に武装した自衛隊員や海上保安庁の職員が同乗して公的な警備を強化すべきである
(以上、抜粋終わり)

海賊対処行動による護衛活動の開始以来の、参加船舶数の実績からみると、この護衛強化提言は首を傾げざるを得ないのですが、それはおくとして実際には提言の実現よりもこのような提言を、定期的にしておくことに意味があると考えているのだと思われます。
同じような提言が過去にもなされていますが、それと呼応するように政府の何らかの施策が実施されているからです。

日本船主協会、経団連だけの思惑だけでなく、根本には国土交通省、防衛省とも根回しがなされた総合的政策の一環と捉えてよいと思います。

しかし防衛省・自衛隊は、現状では護衛艦や哨戒機の増強は考えられないでしょう。一時言われた補給艦の派遣、外国の艦船も含む海上給油も、ジブチ基地の恒久化などと絡んで前向きな検討がされましたが、現実的でないと案件促進は後退しています。

最後に今回の国土交通省による日本船に武装警備員を乗船させる法案の提出ですが、経団連や船主協会が望んだ、
自衛隊員や海上保安庁の職員が同乗する提案にたいし、先ずは民間警備員の乗船から一歩前進しようと策を練ったのでしょう。
実は、船主協会の要望とは裏腹に、日本の船舶運航会社には、太平洋戦争中の徴用船に纏わる恨みともいえる忌まわしい記憶があり、防衛省制服組とはギクシャクした感情も根強いのだそうです。
しかし、実際的には今度の日本船籍の船に武装警備員を乗船させる法案は、法案のための法案といった感じです。
なぜなら冒頭に書いたように、ソマリア沖を運航する日本船籍の船など無いに等しいからです。
ちなみに過去6か月にさかのぼっても勿論0隻、いやもっと厳しくいうならば、平成21年7月28日から平成25年2月28日のまでの海賊対処法による護衛活動中に、護衛船団への参加を望んだ563隻の日本関係船舶中、日本籍船は15隻しかないのです。15隻と云っても、同じ船の西進、戻りの東進が含まれますから実数はもっと少ないのです。
おそらく日本の船舶運航会社は、経費のかかる民間警備会社の武装警備員同乗を実施しないでしょう。これが法案のための法案たるゆえんです。
もう一つ、経団連は船舶運航会社による自衛処置、すなわち放水銃や鉄条網の設置などをあげていますが、ヨーロッパの船舶には取り入れられているこの種の装置が日本のタンカーなどに設置されたことを知りません。この事は、以前詳しく書きましたので省略しますが、武装警備員の同乗を認める「海賊対策法案」と並行して、日本の船舶運航会社に対し、自衛処置の取り組みを促進させる強制力のある指導も必要でしょう。

Water

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(写真は、海賊対処活動に従事する「EU艦隊」が啓蒙する電流有刺鉄線と高圧シャワーなどの商船の自己防衛対策の例です。EU艦隊では詳細なマニュアルも作成され、船舶運航会社にその対応を強く求めています。米国海軍もまた、海軍は海賊対処の経費負担に堪えられないと、自己防衛の必要性を訴えています。日本では実施が遅れているというより、やろうとしません。)

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