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2017年8月15日 (火)

終戦記念日 安倍首相の式辞に思う

今日の終戦記念日、テレビから流れる全国戦没者追悼式での安倍首相の式辞を聞きながら、ここ5年間変わることのなかった、「反省」の言葉が消えた式辞の文脈の繋がりに、納得できない思いがまたこみ上げてきます。
私は、先の大戦に於いて、戦場に斃れた兵士、戦禍に遭われた人たちの尊い犠牲の上に今の日本の平和と繁栄があると結ぶのは間違っていると思います。
310万人もの国民が、なぜ戦争の犠牲者になったのか、
戦争当事国の日本国の反省と国民への謝罪なくして、ただ、命を捧げた戦没者の御霊安らかにと言われても浮かばれないことでしょう。
最近の2年では、先の大戦に「苛烈を極めた大戦、戦場」との言葉が加わり、より受身で、やむを得ず対戦したのだと、戦争の当事者感が曖昧にされていると感じます。
平和を重んじ、繁栄する今の日本は、戦争を遂行した国家体制が敗戦により崩壊し、その反省から出発した戦後の国民の平和への思いと、努力により成されたものと思います。
戦争当事国、そして敗戦国とは思えない、責任感の欠落した言葉の羅列に、私は虚しさを覚えるのです。
参照が長くなるので、平成25年からの5年間の安倍首相の式辞のうち、最近3年間分を写しておきます。なに、それ以前の2年間も、ほとんど同じですから。

○平成27年
天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、戦没者の御遺族、各界代表多数の御列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行致します。

遠い戦場に、斃れられた御霊、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遥かな異郷に命を落とされた御霊の御前に、政府を代表し、慎んで式辞を申し述べます。

皆様の子、孫たちは、皆様の祖国を、自由で民主的な国に造り上げ、平和と繁栄を享受しています。それは、皆様の尊い犠牲の上に、その上にのみ、あり得たものだということを、わたくしたちは、片時も忘れません。

70年という月日は、短いものではありませんでした。平和を重んじ、戦争を憎んで、堅く身を持してまいりました。戦後間もない頃から、世界をより良い場に変えるため、各国・各地域の繁栄の、せめて一助たらんとして、孜々たる歩みを続けてまいりました。そのことを、皆様は見守ってきて下さったことでしょう。

同じ道を、歩んでまいります。歴史を直視し、常に謙抑を忘れません。わたくしたちの今日あるは、あまたなる人々の善意のゆえであることに、感謝の念を、日々新たにいたします。

戦後70年にあたり、戦争の惨禍を決して繰り返さない、そして、今を生きる世代、明日を生きる世代のために、国の未来を切り拓いていく、そのことをお誓いいたします。

終わりにいま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様には、末永いご健勝をお祈りし、式辞といたします。

平成27年8月15日 内閣総理大臣 安倍晋三

〇平成28年
本日ここに、天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式を挙行するにあたり、政府を代表し、慎んで式辞を申し述べます。
あの、苛烈を極めた先の大戦において、祖国を思い、家族を案じつつ、戦場に斃(たお)れられた御霊(みたま)、戦渦に遭われ、あるいは戦後、はるかな異郷に亡くなられた御霊、皆様の尊い犠牲の上に、私たちが享受する平和と繁栄があることを、片時たりとも忘れません。衷心より、哀悼の誠をささげるとともに、改めて、敬意と感謝の念を申し上げます。
いまだ、帰還を果たされていない多くのご遺骨のことも、脳裏から離れることはありません。おひとりでも多くの方々が、ふるさとに戻っていただけるよう、全力を尽くします。
わが国は、戦後一貫して、戦争を憎み、平和を重んじる国として、孜々として歩んでまいりました。世界をよりよい場とするため、惜しみない支援、平和への取り組みを、積み重ねてまいりました。
戦争の惨禍を決して繰り返さない。
これからも、この決然たる誓いを貫き、歴史と謙虚に向き合い、世界の平和と繁栄に貢献し、万人が心豊かに暮らせる世の中の実現に、全力を尽くしてまいります。明日を生きる世代のために、希望に満ちた国の未来を切り開いてまいります。そのことが、御霊に報いる途であると信じて疑いません。
 終わりに、いま一度、戦没者の御霊に永久の安らぎと、ご遺族の皆様には、ご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。

平成28年8月15日
内閣総理大臣 安倍晋三

〇平成29年
天皇皇后両陛下のご臨席を仰ぎ、全国戦没者追悼式を、ここに挙行致します。
先の大戦において、三百万余の方々が、祖国を想い、家族の行く末を案じながら、苛烈を極めた戦場に斃(たお)れ、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遠い異郷の地で命を落とされました。いま、その御霊(みたま)の御前にあって、御霊安かれと、心より、お祈り申し上げます。

 いま、私たちが享受している平和と繁栄は、かけがえのない命をささげられた皆様の尊い犠牲の上に築かれたものであります。私たちは、そのことを、ひとときも忘れることはありません。改めて、衷心より、敬意と感謝の念をささげます。

 戦争の惨禍を、二度と、繰り返してはならない。

 戦後、わが国は、一貫して、戦争を憎み、平和を重んずる国として、ただひたすらに、歩んでまいりました。そして、世界の平和と繁栄に力を尽くしてきました。私たちは、歴史と謙虚に向き合いながら、どのような時代であっても、この不動の方針を貫いてまいります。

 いまだ、争いが絶えることのない世界にあって、わが国は、争いの温床ともなる貧困の問題をはじめ、さまざまな課題に、真摯(しんし)に取り組むことにより、世界の平和と繁栄に貢献してまいります。そして、今を生きる世代、明日を生きる世代のため、希望に満ちた明るい未来を切り拓(ひら)いていく。そのことに、全力を尽くしてまいります。

 終わりに、いま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様には、ご多幸を、心よりお祈りし、式辞といたします。

平成29年8月15日

 内閣総理大臣 安倍晋三

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コメント

アベの式辞、どうせ誰かが作った文を読むだけなんだろうけど
まあ次々に出てくる耳触りのよい言葉の羅列・・・
聞いていて「嘘つけ! 真逆だろ!」って思いが次々に沸いてきましたよ。。。

投稿: トックリヤシ | 2017年8月16日 (水) 08時30分

>トックリヤシさま
本当にそう思います。安倍政権は、空疎な言葉で飾るのが大好きです。最近閣議決定された「政府基本方針」など、その最たるものですね。「世界の中心で輝く日本を目指す」には笑ってしまいました。

投稿: Souroku | 2017年8月16日 (水) 09時05分

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