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2016年1月 6日 (水)

「財源1兆円の確保策」云々と騒がれると、公的年金運用損の8兆円の巨額さがよくわかる---追記編

平成28年(2016年)を迎えての株式市況は、1月4日の日経平均が582.73円、昨日5日も-76.98円(18,3740円)と下落しました。今日(6日)の終値も182.68円(18,191円)と下げています。この状況を見ると、公的年金運用の第4四半期(1月~3月)も楽観を許さない状況です。
7兆8899億円もの過去最大の大幅な運用損を出した平成27年度第2四半期に続き、第3四半期(10月~12月)の運用実績はどうなったのか、まもなく発表されるでしょう。
黒字と予想されていますが、それほどの運用益は出ていないのではないかと思います。

「ここからは、書きかけであった、昨年12月16日のブログを再掲し、続きを書きます。」

昨日(平成26年12月15日)に続き、今日の日経平均も大幅下落で、先週の月曜日から7日間で1132.25円も下がっています。
昨年10月から株式運用の比率を大幅に引き上げた「年金積立金管理運用独立行政法人」(以下GPIFと書く)の、運用資産である公的年金がまた確実に目減りしていると思われます。
11月に発表された平成27年度第2四半期の運用損は、7兆8899億円。
この運用損金は四半期で見れば、リーマン・ショック直後の2008年10月〜12月の5兆6千億円を上回る最大の損失です。
約8兆円と発表されましたが、実際には外国株式の評価損の操作があって、実際はあと
-1兆円位上積みされて9兆円の損失としてもおかしくないと思っています。
連日の軽減税率をめぐるドタバタで、税収の目減り1兆円の財源確保と騒げば騒ぐほど、
わずか
3ヶ月(平成27年7月1日~9月末)の公的年金運用実績のマイナス額8兆円の巨額さが浮き彫りになります。
今年も残すところ半月、第3四半期(10月1日~12月末)の運用実績を
2.7兆円から3.6兆円の黒字と見込んでいる年金積立金ですが、このところの世界的株価下落で、黒字どころか、またしても数兆円の運用損の可能性も有りうる話となってきました。

金運用は長期的に見てくれ、去年は15兆円の黒字ではないか、四半期ごとの実績など、本当は発表したくないと云う「年金積立金管理運用独立行政法人」。
この組織の問題点、運用へ危惧を書き始めると、とても長くなりますので、わかりやすく箇条書きで指摘します。それにしてもこの組織、
-8兆円という金額の大きさに、危機感が全くありません。
「これより追記」

①先ず厚生年金と国民年金の積立金の管理運用をしているこの組織の正式名称
年金積立金管理運用独立行政法人
(ねんきんつみたてきんかんりうんようどくりつぎょうせいほうじん)

英語では( Government Pension Investment Fund)略称( GPIF)
厚生労働省所管の独立行政法人である。
 ホームページ http://www.gpif.go.jp/
組織についてはウィキペディアにかなり詳しく書かれている
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B4%E9%87%91%E7%A9%8D%E7%AB%8B%E9%87%91%E7%AE%A1%E7%90%86%E9%81%8B%E7%94%A8%E7%8B%AC%E7%AB%8B%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%B3%95%E4%BA%BA

②職員数は約80名で、職員は運用の専門家ではなく、資産運用の全ては外部の金融機関に委託されている。
資金運用の判断、決定、責任の所在などについては、調べた限り、はっきりしなかった。
「以下運用先についてWikipediaより転載」

具体的な委託先は公表されており、2014年4月現在の委託先は、国内株式投資について、野村グループとゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント、
スマートベータ型の他、伝統的アクティブ運用では、インベスコ・アセット、キャピタル・インターナショナル、ナティクシス・アセット、日興アセットマネジメント、フィディリティ、みずほ投信投資顧問、ラッセル・インベストメント、JPモルガン、DIAMアセットマネジメント、他2社に委任している。
また、国内パッシブ運用のTOPIX担当では、先のみずほとDIAMの他、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、ブラックロックが運用している。  
「転載終わり」

③2014年11月の安倍政権により運用資産の構成割合(後述)が変えられた事に伴い、ガバナンスの強化や組織の専門人材の強化なる下記の発表されたが、
専門的能力のある職員の移動、新規採用など具体的にどう強化されたかは、わからない。
【専門人材の強化】
●専門人材の確保を図るため、外部コンサルタントを活用しつつ給与体系の見直しを進めており、できるだけ早期に結論を得て、採用に着手したいと考えています。
● 専門人材の強化・育成については、適宜、運用委員会にその状況を報告し、その意見も踏まえて、積極的に推進していきます。

ただ、後日GPIFのホームページには、専門職員の採用広告が出され、それを見る限り、3年の任期付職員募集のようで、採用条件は厳しいが、この条件で応募できる人、する人がいるだろうかと思ってしまうし、これが強化策だとすればお粗末である。

職員の募集

投資戦略を担当する運用専門職員及び市場分析・資産配分戦略を担当する運用専門職員を募集します。

応募要件及び募集人員

<投資戦略を担当する運用専門職員(注)>
1.応募資格
以下に掲げるいずれの条件も満たしていること。
(1) 運用機関、金融機関において投資・資産運用に係る3年以上の経験を有すること。
(2) 最新の投資・運用動向に精通していること。
(3) 海外の関係機関等と口頭及び書面で連絡して情報収集できるレベルの英語力を有すること。

2.募集人員 2名程度

<市場分析・資産配分戦略を担当する運用専門職員(注)>
1.応募資格
以下に掲げるいずれの条件も満たしていること。
(1) 次の①から③の業務について、合わせて3年以上の実務経験を有すること。 ①中長期の内外経済動向や金融政策に関する分析。(エコノミスト)
②市場動向等を踏まえた、株式又は債券に関する投資戦略の策定。(ストラテジスト)
③内外の景気や企業業績、金融政策の動向を踏まえ、また市場のバリュエーション、 需要の分析を行った上での資産配分戦略の立案。

(2) 海外の関係機関等と口頭及び書面で連絡して情報収集できるレベルの英語力を有 すること。
2.募集人員 2名程度

④運用資産の構成
2014年6月末における運用資産の構成割合は国内債権が53.36%、外国債券は11.06%、日本株式が17.26%、外国株式が15.98%だった。

2014年11月、第2次安倍改造内閣の下、デフレ脱却後の経済への対応として2014年10月31日から構成割合の目標値を国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%に変更すると発表した。

平成27年(2015年)度第2四半期末現在の運用資産額とその構成割合は次のとおり。」
運用資産額 135兆1,087億円
国内債券 38.95%
外国債券 13.60%

国内株式 21.35%
外国株式 21.64%
短期資産   4.40%

合計すると42.99%にもなる国内株式、外国株式に年金資産がシフトされたことが、よくわかる。

⑤資産運用益の推移
平成13年(2001年)から平成27年第2四半期末までの運用益の推移は、GPIFのHPに詳しいので省略しますが、平成19年(2007年)、20年(2008年)にかけてのリーマンショックによる運用損は15兆1848億円にも及び、2001年からの運用益を全て帳消しにしてしまいました。
平成27年(2015年)度第2四半期(3ヶ月)の損失は7兆8899億円ですが、もし今、安倍首相が云う消費税10パーセントへの値上げを見送る事になる事態、すなわちリーマンショックのようなことが起こると、公的年金の運用損失は25兆円から35兆円になるだろうと想定されます。
最初に書いたように、平成27年度第3四半期(10月~12月)の運用実績も、まもなく発表されるでしょうが、どれほどの結果が出るのか注目されます。
平成28年(2016年)を迎えての株式市況は、4日の日経平均が-582.73円、昨日5日も-76.98円(18,3740円)と下落し、今日(6日)も終値が-182.68円と下げています。
この状況が続けば、第4四半期も厳しくなり。ことによると2008年の年間運用損9兆6670億円を上回る過去最大の運用損を出すことになります。

⑥もし、株価下落に歯止めがかからず、低迷し続ければ、公的年金の積立金が目減りし続ける事にもなりかねません。
GPIFは2001年から2015年までの運用益は45兆4927億円にもなると発表していますが、15年間の平均で見れば、年に3兆2495億円ほどです。
しかし、年間の運用益を増やしたいと実績を焦れば、取り返しのつかない事態を招くことにもなりかねません。
四半期、すなわち3ヶ月で8兆円もの損をするような公的年金積立金の運用は、危険過ぎます。130兆円の積立金は国民のものです。年金支給の目減りにも危険な及ぶ株式での運用は、国民が認めたことではありません。

⑦政府は年金運用のガバナンス強化と言っていますが、これを本当に実施し、運用の独立性、透明性を高めると、現在のような日経平均に一喜一憂する、官製相場とも言われる国のコントロールが弱められ、国の意向で株式を買うことが難しくなります。口で言うほど、安倍政権が前向きにならない理由がここにあります。首相官邸がブレーキをかけているのです。
考え抜かれた真の投資戦略でない、政府の意向に沿った株価操作の為の売買では、運用益を出すことは難しく、政府の介入に運用担当者も音を上げている現実もあるのです。

⑧安部総理は以前、得意そうに株価上昇の実績を謳っていましたが、最近あまり株価に触れたがりません。公的年金投入の官製相場の失敗が現実のものとなってきた現状に、日経平均を上げるだけの資金投入は、傷口を広げるだけと、自制したか、もはやそれだけの資金の余裕が無くなった報告を受けたのかと疑いたくなります。

⑨それでは、大きな運用損が発生した場合、もし最悪、厚生年金保険料の値上げで対応せざるを得なくなる事態まで生じたときに、厚労相だけの責任すませられるのか。
運用損拡大に焦ったか、GPIFは高リスクの海外の低格付け(ジャンク)債の投資にも手を出そうとしていると報じられています。米国やカナダなども年金で株式運用をしていますが、それは日本の厚生年金に当たる部分だけで、年金資産をこれほど株式運用につぎ込んでいるのは日本だけであると、東京新聞が報じています。
今こそ、年金資産の株式運用の是非を議論すべきでしょう。そして国民にほとんど知らされていないGPIFの組織の透明性、独立性などの根本的改革が求められます。

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コメント

 素晴らしく詳細な調査、ありがとうございます。結局証券会社のファンドマネージャー頼りということですね。135兆円のうち、約43%を株式につぎ込んでいるのは驚きです。
 グローバル経済では株もグローバルに売買され、不確定要素が多く、プロでもこういう相場を扱いきれないので、リーマンショックの時には、ファンドを買っていた私の知人の多くが大損したようです。今の株式市場はギャンブルです。たとえプロがやっても大損するのです。プロは運用に責任を持ちますが、結果に関しては責任を負いません。
  私も株をやりますが、ファンドは使わず、自己責任で運用します。優良株なら、たとえ大きく下げても必ず日を経ずして戻ります。そういう株を見つけて保持することが大切です。今は投資という姿勢ではなく、多くの人たちが投機的姿勢なので、乱高下がたびたび起こります。
 今回も上海市場から売りが続き、毎回この人たちは心理的に動くので大変迷惑です。共産圏で株式市場があることに私は驚いています。でも株を持っていると、経済に敏感になるので勉強になりますね。
 年末、年始のお忙しい時に、詳細に調べ教えてくださってありがとうございます。とても参考になります。

投稿: トントン | 2016年1月 7日 (木) 20時54分

>トントンさま
この公的年金運用損の件、1月10日のブログにも書きましたが、今国会でも質問された事で、問題が広く知られるようになって良かったと思っています。事によると、安倍政権を揺るがす事態にもなりかねない爆弾を、自ら抱え込んでしまって、どう言い逃れしようかと厚労省の官僚は頭を抱えていることでしょう。これからも追及したいと思っています。

投稿: Souroku | 2016年1月11日 (月) 12時47分

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