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2013年11月18日 (月)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その35の(2)---幻の日本船舶に武装護衛とは?(2)

今日は、海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その35の(1)---幻の日本船舶に武装護衛とは?(1)の続きです

ソマリア沖、アラビア海などで、日本の船舶」に民間武装警備員の乗船を認める特別措置法が11月13日午前の参議院本会議で可決成立しました。
この「日本船舶警備特措法」は原油タンカーのような被害を受けやすいハイリスクな日本船舶に限定して、小銃を用いて実施される特定警備の実施を行えるようにしました。
この法案については、以前にも何度か書いていますが、新聞記事などを参照した2013年4月6日の記事を参照してください。
http://yanasegawa.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-8118.html  (4月6日ブログ)

この法律による「日本船舶」とは、「船舶法第一条に規定する日本船舶をいう」とされています。
船舶法第一条とは次のような条文です。

第一条  左ノ船舶ヲ以テ日本船舶トス
一   日本ノ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶
二   日本国民ノ所有ニ属スル船舶
三   日本ノ法令ニ依リ設立シタル会社ニシテ其代表者ノ全員及ビ業務ヲ執行スル役員ノ     三分ノ二以上ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属スル船舶
四   前号ニ掲ゲタル法人以外ノ法人ニシテ日本ノ法令ニ依リ設立シ其代表者ノ全員ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属スル船舶

防衛省発表の「海賊対処のために派遣された水上部隊の護衛実績」に書かれている「日本籍船」がこれに該当します。
しかし、この特別措置法では、民間武装警備員が乗船できる船舶として、その趣旨に原油その他の国民生活に不可欠な物資であって輸入に依存するものの輸送の用に供する日本船舶とされています。
すなわち輸出品や、国民に不可欠な物資で無い輸入品を運ぶ船舶は該当しないようです。
それでは、実際にソマリア沖での、特別措置法でいう「日本船舶」を見てみましょう。

海賊対処法による船舶護衛開始以来の日本籍船の護衛の実情。
1.  2009年07月 1隻 LNG船
2.  2009年10月 1隻 専用貨物船
3.  2009年12月 1隻 専用貨物船
4.  2010年01月 1隻 自動車専用船
5.  2010年03月 1隻 自動車専用船
6.  2010年04月 1隻 自動車専用船
   2010年04月 2隻 客船
7.  2010年07月 1隻 タンカー
8.  2011年01月 1隻 タンカー
9.  2011年03月 1隻 タンカー
10.  2011年06月 1隻 タンカー
11.  2011年08月 1隻 タンカー
12.  2011年12月 1隻 タンカー
13.  2012年06月 1隻 自動車専用船

     合計   15隻
えっ、たったの15隻!。
2009年7月、海賊対処法に基づく船舶護衛が開始されて以来、2013年10月現在までの467回(海上警備による41回の護衛を含めると508回)の護衛活動において、護衛された船舶は合計3,135隻です。
内訳は日本籍船15隻、日本の運航事業者が運航する外国籍船578隻、その他の外国籍船2,542隻です。

そうなのです。護衛された船舶全体の81%は中国、ギリシャ、トルコ、韓国、シンガポールなどの船舶運航会社が運航するものです。
残りの18.5%が日本の運航会社が運航する外国籍船、そして僅か0.5%、15隻の日本籍船がこの4年3か月の実績なのです。
事実上、「日本船舶」なるものは無いに等しいわけで「幻の日本船舶」と書いた所以です。。
しかも、特措法では「国民生活に不可欠な物資であって輸入に依存せざるを得ないものの輸送に従事する日本船舶」とされていますので、自動車専用運搬船などは入りません。タンカーもご覧のとおりです

従って、ソマリア沖で民間警備員を乗せる日本の運航事業者はまず無いと思ってよいでしょう。乗せるべき日本船舶など存在しないのですから。
始めから、日本の船舶運航事業者は煩雑な手続きや経費の掛かる民間武装会社と契約することまで考えていません。
それでなくとも、船舶の放水装置や鉄条網、シタデル(避難所)などの自衛措置への取り組みには消極的でしたから。
日本船主協会、経団連が強く要望し、国土交通省、防衛省も一体になってこの法を成立にもっていったのは、なぜでしょう。
日本船主協会、経団連などが、国土交通省、防衛省に要望書を提出すると、しかる後、それに対応した法案なり対策案が出てくる。
今までもこの図式が出来上がっていました。
だいたい護衛艦や哨戒機の数を増やせとか、現状では必要も無い、海上給油の為の補給艦出動、自衛官の船舶同乗などの公的警備の充実など、どの要望も国土交通省との連携以外ありえません。
要望書の文案は、実は「国土交通省海事局」で作られているとまで言われていました。

さて、差しあたってこの「日本船舶警備特措法」は、ソアリア沖、アデン湾を航行する船舶に急いで適用するためではなく、海賊対処への危機感を利用して、民間武装警備員を乗船できる法を作りたかった
まさに「法の為の法作り」、この法があるから、また次の関連法が出来やすいというわけです。いつの間にやら、こんな法が出来ていたということです。
良く、官僚は頭が良く狡猾に物事を進めるように言われますが、そんなことはありません。
ひとつの目的に向って策を練ることなど、民間でも誰にでも出来ます。ただ、それをおかしいと思ったり、危機意識をもって感じ取る国民の意識の無さが、怪しげなプロセスを踏む官僚たちの策を許してしまうのだと思っています。
国民の権利意識の無さが、間違いなく成立してしまうであろう、悪法「秘密保護法」に如実に現れています。
すみません、海賊対処から脱線しましたが、最近は経済政策など口先だけで、衣の下に隠していた鎧をむき出しにし始めた安倍自民党政権を危惧すること大なのです。みんなの党、維新の会など、政権に擦り寄る馬鹿者どもは論外ですが、もう少し自民党内に、安倍首相の暴走を危険視し、冷静な判断が出来る議員はいないのですか。

さて、海賊対処に話しを戻しますが、ことによると米国からも自国の民間軍事会社が活動できる場の提供も要請されていたのでしょう。
将来的には日本の軍事の民間委託への道筋をつける一歩としたかったとみております。

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コメント

背筋が寒くなります。
日本はなぜそのような方向に進むのでしょう・・・。
特権階級の人間たちがこぞって国民を欺き勝手に国を導いているようにしかみえませんね。。。

投稿: トックリヤシ | 2013年11月19日 (火) 08時30分

>トックリヤシさま
秘密保護法、道徳教育教科化。安倍政権の日銀総裁、法制局長官、NHK委員、会長、最高裁判事などの露骨な人事支配。そして集団的自衛権などなど、専制と隷属への道。米国とともに、戦争できる国への一歩、一歩です。本当になぜ?と問いかけたい、トックリヤシさまと同じ気持ちです。

投稿: Souroku | 2013年11月19日 (火) 11時08分

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