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2013年11月17日 (日)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その35の(1) (2013年7月、8月、9月、10月)---幻の日本船舶に武装護衛とは?(1)

インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、CTF-151部隊、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)

109ariake_320

(写真左、現在活動中の第16次派遣部隊の109「ありあけ」と156「せとぎり」。
海上自衛隊のホームページより転載しました)

156setogiri_320













*平成25年7月の海賊対処法による船舶護衛実績(472回護衛~481回護衛の10回)
   
   護衛艦(第15次派遣部隊)  あけぼの   はまぎり     
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    3隻
                   合計3隻  1回平均0.3隻
           
             外国籍船 21隻  1回平均2.1隻


*平成25年8月の海賊対処法による船舶護衛実績(482回護衛~492回護衛の11回)
   
   護衛艦(第15次派遣部隊)  あけぼの   はまぎり(第489回まで)
   護衛艦(第16次派遣部隊)  ありあけ    せとぎり(第490回以降)
  
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    
                   合計7隻  1回平均0.63隻
           
             外国籍船 38隻  1回平均3.45隻


*平成25年9月の海賊対処法による船舶護衛実績(493回護衛~500回護衛の8回)
   
   護衛艦(第16次派遣部隊)  ありあけ    せとぎり
  
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    
                   合計6隻  1回平均0.75隻
           
             外国籍船 22隻  1回平均2.75隻


*平成25年10月の海賊対処法による船舶護衛実績(501回護衛~508回護衛の8回)

   海護衛艦(第16次派遣部隊)  ありあけ    せとぎり
  
 
 護衛した船舶  日本籍船 0隻 
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    
                   合計2隻  1回平均0.25隻
           
             外国籍船 38隻  1回平均4.75隻

海上自衛隊によるソマリア沖船舶護衛のこの報告に、毎回のように書いていますが、護衛される船舶数の少なさは相変わらずです。
今回、7月、8月、9月、10月の4ヶ月分をまとめましたが、この間の37回の護衛船団に加わったのは、合計137隻、平均3.7隻でした。
僅か1隻の商船が、2隻の海上自衛隊護衛艦に前後を守られて4日間航行する状況が6回もありました。
護衛する船舶数は問題ではない、海上自衛隊の護衛艦が存在することに意義があるとの説を唱える評論家の方もいますが、それは間違っています。
ことわっておきますが当ブログでは、ソマリア沖の海賊対処活動にすべて非を唱えているわけではありません。

自衛隊の活動だけに限りませんが、決められた法の実施が、国会での法案審議での当初の説明や、理由付けと大きく異なる状況になろうとも、説明責任や状況判断の是非を逃れ、隠し、なし崩し的な拡大解釈と、開き直ったような理由付けによる既成事実の積み上げをして、なんら省みる事の無い、この国の施策を危ぶんでいるのです。
これが今、安倍政権が推し進めようとしている集団的自衛権、秘密保護法案、教育改革などにもすべて当てはまることになると危惧しています。
インド洋給油活動陸自イラク派遣、また国民説明と異なり、米軍の武力行使と一体化した活動により、後に憲法違反の判決までなされた空自イラク空輸なども根は同じです。

海賊対処に限っても、「飛行機を雨露から守り、隊員たちにせめて安眠できる寝床と暖かい食事を提供する場」などと言われたジプチ基地が、いまや海賊対処の拠点から、中東への戦略的恒久基地へと変化を遂げようとしています。
海賊対処の為の護衛艦派遣時に、海賊から守らねばならない日本貿易関係船舶が年間2000隻、一回の護衛に10隻は参加する。
ゆえに護衛艦2隻の派遣では船団編成が難しいから4隻にしろ、いや、それは哨戒機2機の派遣で補おうなどと議論されたことなど、忘れ去られた護衛の実状があります。
空港や高速道路建設で、出来てみたら想定の半分にも満たない利用者しかなかったなどは、そう珍しいことではありません。
しかし、護衛される商船が想定の護衛船舶数の1割程度というのは、いくらなんでも検証されるべきでしょう。

そしてまた、ソマリア沖海賊対処は新たな展開を見せています。
ひとつは護衛部隊として派遣されている護衛艦2隻のうち1隻を12月から米海軍第五艦隊(司令部バーレーン)の統合任務部隊CTF-151へ参加させることが決まっています。
民間船舶の護衛から、海賊船の取締を含む海域監視活動に大きく舵を切ったのです。
護衛艦2隻による船舶護衛が、日本関係船舶だけでなく、中国、韓国、シンガポールなどの船舶を含めても、当初予想の3割にも満たない実状もあります。
しかし、一番の理由は、日米共同の軍事行動を目指す、米国からの強い要請とそれに協調したい日本政府の思惑がそこにあると思われます。
多分、11月13日に呉港を出港した第17次派遣部隊の「106さみだれ」「113さざなみ」がその任に当たることになるでしょう。
海賊対処法が議論された2009年当時に、こんな状況になる事も視野に入っていたら多分海賊対処法の成立は難しかったことでしょう。
それが、今や集団的自衛権とも関連するこんな大事な事もあっさりと閣議決定され、ほとんど国民に知られることなく実行されました。
船舶護衛ではなく、CTF151の海賊監視活動に参加することについて防衛省統合幕僚監部は「指揮、統制を受けるのではなく、連絡、調整にとどまる」ので集団的自衛権の行使には当たらない」としていますが、いつまでこんな建前が通るか疑問です。

この海上自衛隊艦艇のCTF-151の参加については、書き出すと長くなりますので別の機会に譲ります。

さて、二つ目は、ソマリア沖、アラビア海などで、日本の船舶に民間武装警備員の乗船を認める特別措置法が11月13日午前の参議院本会議で可決成立したことです。
この日本船舶警備特措法は原油タンカーのような被害を受けやすいハイリスクな日本船舶に限定して、小銃を用いて実施される特定警備の実施を行えるようになったのです。
それでは、日本船舶とは何を指すか、また国土交通省、防衛省、日本船主協会、経団連などの係わり、その意図するところなどは、明日の当ブログのソマリア沖船舶護衛その35の(2)に続きます。

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