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2013年4月 6日 (土)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その32(2012年12月から13年2月)武装警備員同乗の法案と云うけれど日本船籍の舶は3ヶ月で0隻

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インド洋給油活動の時と同じように、派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後の状況をまったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。(防衛省、国土交通省海事局発表資料、ソマリア沖EU部隊、NATO部隊資料、海上自衛隊情報、ジブチ情報その他資料による)

前回報告(船舶護衛その31)に続く、平成24年12月~25年2月までの3ヶ月の26回に及ぶ護衛実績ですが、日本籍船は0隻、日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船でさえも8隻と、護衛艦2隻による護衛船団に日本貿易関係の船舶が1隻も加わらない事が多い状況で推移しています。
26回の船団護衛で僅か8隻と云う数字は、海賊対処活動開始時の想定の1回の護衛船舶数にも及びません。(1回の護衛に日本関係船舶が10隻加わるとされた)。
26回ですよ、それでは何処の国の船舶を護衛しているかですって?。
いまや護衛の主力は、中国を筆頭に、ギリシャ、シンガポール、トルコ、ドイツなどの船舶運航会社の船なのです。中国貿易関係の積み荷が多いようです。
そんなわけで、従来発表していた毎回の護衛船団ごとの数字では、日本貿易関連の船舶の数字、
0隻が並ぶばかりなのでこれを省略して毎月の合計数だけを発表します。

*平成24年12月の海賊対処法による船舶護衛実績(413回護衛~419回護衛の7回)
   護衛艦(第13次派遣部隊)  まきなみ   ゆうぎり     
 
 護衛した船舶  
日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    

                   
合計1隻  1回平均0.14隻
           
              外国籍船 19隻  1回平均2.7隻

*平成25年1月の海賊対処法による船舶護衛実績(420回護衛~429回護衛の10回)
   護衛艦(第13次派遣部隊)  まきなみ   ゆうぎり(第424回まで)
   護衛艦(第14次派遣部隊)  すずなみ   きりさめ(第425回以降)     
 
 護衛した船舶  
日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    

                   
合計4隻  1回平均0.4隻
           
              外国籍船 32隻  1回平均3.2隻

*平成25年2月の海賊対処法による船舶護衛実績(430回護衛~438回護衛の9回)
   護衛艦(第14次派遣部隊)  すずなみ   きりさめ     
 
 護衛した船舶  
日本籍船 0隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船    

                   
合計3隻  1回平均0.33隻
           
              外国籍船 45隻  1回平均5隻

ここへ来て、国土交通省は、上に掲載した新聞記事にあるように、ソマリア沖などの海賊の対策として日本船籍の船に武装した外国の民間警備員が乗り込むことを認める
「日本船警備特別措置法案」を今国会に提出する意向だと報道されました。
詳しいことは、記事を読んでいただくとして
(クリックすると拡大します、この法案提出に至る下地は民主党政権時代からあったのですが、自民党政権になってより具体的に動き始めました。
過去、何度か日本船主協会、経団連は政府に対し、海賊対処の強化を求めてきました。新しいところでは、2011年10月に日本船主協会の要望書に続くように、経団連が下記のような提言を発表しています。

「経団連は14日(2011年10月)、近年被害が急増しているソマリア沖の海賊対策の強化を求める提言を発表した。
現在自衛隊が派遣している2隻の護衛艦と2機の哨戒機の拡大を要望。給油用の補給艦派遣や現在は認められていない外国船籍への給油が可能になるよう法的な整備も求めた。
日本船籍の船舶に武装した自衛隊員や海上保安庁職員を同乗させ警備を強化すべきだとしている。」

「船舶護衛その29」でも書きましたが、再度気になるところを抜粋しておきます。

「1.海上輸送に対する海賊の影響
日本は、トン数ベースで貿易量(輸出入合計)の99%を海上輸送に依存して
いる。このため、シーレーンの安全確保は、わが国のエネルギー安全保障や経
済にとって非常に重要である。
アデン湾においては、紅海、スエズ運河、地中海を経由して世界全体で年間
2 万隻の船舶が航行し、
そのうち約2,000 隻が日本関連船舶である。これに加
え、年間3,400 隻の日本関連船舶がペルシャ湾を航行し、原油タンカーなどが
活動範囲を拡大した海賊の脅威を受けている。

わが国は、原油総輸入量の88%を中東に依存しているが、原油タンカーは低
速かつ海面からデッキまでが低く、海賊に狙われやすい。

わが国の自動車の輸出台数の3 分の1 は、ソマリア沖・アデン湾およびイン
ド洋を通航する自動車専用船やコンテナ船によって運搬されている。海賊を避
けてソマリア沖・アデン湾を迂回し、アフリカ大陸最南端の南アフリカのケー
プタウンにある喜望峰を経由すると、6~10 日余計にかかるため、燃料代など
コストが大幅に増大する。自動車専用船やコンテナ船が航路を迂回することで
納期が遅れるとともに、生産計画にも変動が生じることが懸念されている。ま
た、海賊の脅威により、ソマリア沖・アデン湾およびインド洋への配船を取り
止める動きもあり、その経済的損失や商業的権利の喪失は看過できない。一方、
ソマリア沖・アデン湾を航行する場合でも、追加保険料や警備員の手配等が必
要になる。

4.強化すべき具体的な海賊対策
今後、強化すべき具体的な海賊対策として、以下の4つを求める。

(1) 自衛隊の派遣規模の拡大
自衛隊の派遣規模は、2009年からの護衛艦2隻とP-3C哨戒機2機に加え、人員が増強され現在は約580人である。
これまで海上自衛隊の海賊対処航空隊はソマリアの隣国であるジブチの米軍基地内に間借りしていたが、7月にジブチに自衛隊初の自前の海外拠点を開設した。

今後は派遣規模をさらに拡大し、護衛艦と哨戒機の数を増やす必要がある。あわせて海上給油により護衛艦の活動範囲や頻度の拡大を可能にするため、補給艦を派遣すべきである。

また、海賊対処法では、外国の艦船への給油が想定されていない。そこで、国際協力による護衛活動の強化の観点から、外国の艦船への給油も可能とするため、同法の改正もしくは新法の制定により海賊対策を強化する必要がある。

(2) 自衛隊員や海上保安庁職員の乗船による警備強化
海運会社としては、船舶の放水装置や鉄条網、citadel(シタデル:避難所)の充実など自衛に向けた取組みを着実に進めることが重要である。

一方、船舶の自衛措置には限界があり、乗組員の不安を軽減し安心して乗船できるよう、多くの国々が自国の軍隊あるいは民間の武装警備員を自国籍の船舶に乗船させる措置を講じている。

わが国では民間人による武器の所持が禁止されていることから日本船籍の船舶に武装した自衛隊員や海上保安庁の職員が同乗して公的な警備を強化すべきである
(以上、抜粋終わり)

海賊対処行動による護衛活動の開始以来の、参加船舶数の実績からみると、この護衛強化提言は首を傾げざるを得ないのですが、それはおくとして実際には提言の実現よりもこのような提言を、定期的にしておくことに意味があると考えているのだと思われます。
同じような提言が過去にもなされていますが、それと呼応するように政府の何らかの施策が実施されているからです。

日本船主協会、経団連だけの思惑だけでなく、根本には国土交通省、防衛省とも根回しがなされた総合的政策の一環と捉えてよいと思います。

しかし防衛省・自衛隊は、現状では護衛艦や哨戒機の増強は考えられないでしょう。一時言われた補給艦の派遣、外国の艦船も含む海上給油も、ジブチ基地の恒久化などと絡んで前向きな検討がされましたが、現実的でないと案件促進は後退しています。

最後に今回の国土交通省による日本船に武装警備員を乗船させる法案の提出ですが、経団連や船主協会が望んだ、
自衛隊員や海上保安庁の職員が同乗する提案にたいし、先ずは民間警備員の乗船から一歩前進しようと策を練ったのでしょう。
実は、船主協会の要望とは裏腹に、日本の船舶運航会社には、太平洋戦争中の徴用船に纏わる恨みともいえる忌まわしい記憶があり、防衛省制服組とはギクシャクした感情も根強いのだそうです。
しかし、実際的には今度の日本船籍の船に武装警備員を乗船させる法案は、法案のための法案といった感じです。
なぜなら冒頭に書いたように、ソマリア沖を運航する日本船籍の船など無いに等しいからです。
ちなみに過去6か月にさかのぼっても勿論0隻、いやもっと厳しくいうならば、平成21年7月28日から平成25年2月28日のまでの海賊対処法による護衛活動中に、護衛船団への参加を望んだ563隻の日本関係船舶中、日本籍船は15隻しかないのです。15隻と云っても、同じ船の西進、戻りの東進が含まれますから実数はもっと少ないのです。
おそらく日本の船舶運航会社は、経費のかかる民間警備会社の武装警備員同乗を実施しないでしょう。これが法案のための法案たるゆえんです。
もう一つ、経団連は船舶運航会社による自衛処置、すなわち放水銃や鉄条網の設置などをあげていますが、ヨーロッパの船舶には取り入れられているこの種の装置が日本のタンカーなどに設置されたことを知りません。この事は、以前詳しく書きましたので省略しますが、武装警備員の同乗を認める「海賊対策法案」と並行して、日本の船舶運航会社に対し、自衛処置の取り組みを促進させる強制力のある指導も必要でしょう。

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(写真は、海賊対処活動に従事する「EU艦隊」が啓蒙する電流有刺鉄線と高圧シャワーなどの商船の自己防衛対策の例です。EU艦隊では詳細なマニュアルも作成され、船舶運航会社にその対応を強く求めています。米国海軍もまた、海軍は海賊対処の経費負担に堪えられないと、自己防衛の必要性を訴えています。日本では実施が遅れているというより、やろうとしません。)

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