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2011年1月13日 (木)

ホルムズ海峡での大型原油タンカー「M.STAR」損傷の原因調査発表される---これで終結? その2(昨日の続き)

国土交通省海事局がタンカー事故原因調査報告を発表 (昨日の続き)

柳瀬川通信:報道部 担当作山記者

お訪ね頂き、ありがとうございます。この記事は、今後、修正、加筆をします。

では、昨日の記事の続きとして、このタンカー事故の調査推移をみてきた「柳瀬川通信:報道部」として原因調査報告書にもう少し詳細に説明して欲しかった事、この点が抜けているのではないかと思われる疑問点を幾つか挙げてみたいと思います。

デスク「皆でひとつずつ、疑問点などを挙げていこうか。
俺は、爆発があったと思われる「場所」と、「爆発音」だ。
7月28日に国土交通省海事局から、「(株)商船三井が運航する大型原油タンカーのホルムズ海峡での爆発事故について」(PDFファイル000120763.pdf)が発表され、そこには爆発があったとされる箇所はこう記載されている。

「事故発生海域は、ホルムズ海峡西方海域(オマーン領海内)。
ダスアイランド港(アラブ首長国連邦)から千葉港向けに原油を満載して航行中、
船体後部右舷側の救命艇設置部付近で爆発が発生し、船体に損傷を受けた。負傷者1名が発生。」

デスク「タンカーからの最初の連絡で救命艇設置部付近とされているのに、その後の調査では救命艇並びに設置部分については何も触れられていない。
最終調査報告では、爆発は船の右舷方向の水面とアッパーデッキの間の高さで発生したとされている。
水面なら小型船による至近距離での爆発も考えられるが、水面より上というのは、どんな状態を指すのか。
空中爆発のような表現だな。
ただし、爆発物の痕跡は無いというし、至近距離に小型船はいなかったというのだから、こんがらかってくる。」

男川記者「救命艇は爆風で吹き飛んで海中に脱落し喪失したとされていますが、どのような状態で船体外に落下したのか。その取り付け状態と支柱から外れた様子がわからない。当初、船体外側の損傷と救命艇との関連も伝えられたが、その後全く救命艇の話は出ないのです。」

農園寺記者「私は船腹の損傷は、写真(昨日のブログのトップ写真参照)を拡大して詳細に見てみましたが、報告書に書かれた船体に生じた変形の解析の結果から、船体に生じた凹損部には、高い圧力が短時間に作用し変形を生じさせた。
この爆風が居住区のある上部構造物にも損傷を生じさせたものと推定さ
れるなる説明には、納得できないのです。
専門家からは、素人が何を言うかと笑われそうですが、あの傷、爆風でなく、上から何かが落ちた打撃傷のように見えませんか。」

超美仁記者「救命艇の脱落が船腹に損傷を与えたのではないかという疑問は、マスコミも取り上げていたのに、その検証が全くされなかったのは何故なのでしょうか」

作山記者「最終報告にあったように、何らかの爆発が船体外側の海上であったなら、船室の内部の被害などから考えると、救命艇は爆発のあった方向に、即ち海中に飛ばされずに、船体中央方向にかなり吹き飛ばされるはずなのに、このことが一切説明されていない。

超美仁記者「8月10日の海事局発表では、海上で発見された救命艇の残骸を日本にむけて輸送中とありましたが、その後、その残骸をどう検証したのか、調査結果の発表はありませんでした。
なにか、救命艇には触れたがらない感じです。本当に救命艇の残骸なのかしら。怪しいのは、救命艇?」

作山記者「当報道部の事故原因推理では、救命艇内の燃料タンク付近に仕掛けられた時限手製爆弾の爆発と、炎上しながら落下した宙吊り状態の救命艇による船体損傷説をとったからね。
船体水中部の損傷が小さいのは、衝撃圧が水面で反射したからという報告書の説明には、こう反論できる。
落下した救命艇は、水面にたたきつけられて、短時間ながら浮いた状態になって衝撃がやわらげられ、その後時速24kmで走行している船体に引き込まれるように水中で船腹にぶつかりながら沈んだ。
救命艇の設置場所が、損傷部分より船首側にあった事、水中の損傷が水面より上の損傷部分より後方に流れるように見られるのは、船の走行と関連付けて考えられる」

男川記者「船腹に付着した煤は、燃料油の炎上が原因だと。」

作山記者「手製爆弾に使われる燃焼性火薬も考えられるが、その場合調べて爆発物の痕跡が出ない事は無いそうだ。」

農園寺記者「そういえば、調査では煤を丁寧に採取していましたが、煤の分析報告が無かったですね。
損傷部から採取した付着物から爆発物が検出されなかったというなら、あの煤は何かぐらい発表しても良いのに。」

超美仁記者「発表では、船体損傷部付近から採集した25サンプルについて、爆発物の検知分析を警視庁科学警察研究所において行ったが、爆発物に関連する物質は検出されなかったとの簡単な報告で終わっています。当然、煤も含まれていたわけですが」

作山記者「事故原因の結論として、船体外側での爆発の衝撃及び爆風による損傷と発表されながら、爆発物の痕跡なし、爆発物が存在しうる状況もなしというのでは、なんだか判じ物のようだね」

超美仁記者「この報告書は、リサーチ会社のリサーチレポートで、よく次々と条件をあげて、その状況を解説するけど、実際役に立つ情報がほとんど無いというのがありますが、それに似ていますね。
事故状況には随分ページを割いているけど、肝心の原因追求は穴だらけで、結論はなんだか分からない」

デスク「まあ、実際にはここまでが事故原因のの核心部分だったようだね。さて、話を戻して俺の気になる二点目の爆発音の事だが。

1.事故当時操舵室で当直を行っていた二等航海士は、いきなり右舷から「ズウーン」という
大きな爆発音と言っている。
2.甲板員は、左舷2番ボラード付近を歩いていた際、突然、右舷後方から
大きな衝撃音と船体の振動を感じ、咄嗟に膝を曲げて身構えた。
3.船長は、自室8操舵室の1フロアー下の右舷側にある船長ベッドルーム)において、就寝中、突然「ズウーン」という
激しい爆発音と船体の振動を感じ、ベッドから飛び起きた。
4.操機員は、Cデッキの左舷側にある自室内のベッドで寛いでいたところ、右舷側から
大きな衝撃音と船体の振動を感じた。

乗組員の2人は、「ズウーン」という爆発音、2人は大きな衝撃音と語っている。
この衝撃音というのが引っかかるんだ。日本で普通爆発といえばドカンかドカーンが爆発音の表現だ。
衝撃音とは、何かが突き当たって激しい打撃があった時の音だ。
爆発音とは違うような気がするんだが。ともかくどえらい爆発が起きたとは思えないんだ。」

超美仁記者「乗組員は、船腹に魚雷のような爆発衝撃を受けたのか、いや船腹以外の場所なのかの体感判断はできなかったのかしら。あまりに船が巨大だから?」

男川記者「そうですね。報告11ページの船橋内の音声記録でも、衝撃音が3秒間記録されたと書かれています。ただし、この記録された衝撃音は同16ページに、爆風が吹き抜けた際の音であると考えられるとされています。
そうすると爆発音はどう記録されたのかが書かれていない。」

作山記者「爆発音から、なにか探ろうとした感じの無い報告ですね。一体どんな音だったんでしょう。」

農園寺記者
「事故後、船橋で3秒間ぐらい聞きなれない高周波音が続くのを聞いたと報道されましたが、爆風の吹き抜け音で説明がつくのでしょうか。」

作山記者「僕は報告書で当直の二等航海士が、事故当時、貨物油のタンク圧が高くなっていることに気づき、同直の甲板員に対し、前部甲板にある装置により、タンク圧を下げてくるよう指示した点に注目している。
その指示を受けた甲板員は爆発音の証言2の人物だが、タンク圧を下げるべく歩いて向かっている途中で衝撃音を聞き、戻っている。
原油タンカーの貨物タンクの通気管は航海時は閉じられており、タンク内の圧力が一定値に達した場合に圧力弁を通じて自動的に又は主動操作により気体を放出する機構となっている。
事故当時、二等航海士がタンク圧を下げるよう指示を出す状態に圧が上昇していたわけだが、もし、事故後に圧がさがっていたなら、自動的に可燃性気体が放出されていたわけで、爆発との関連はわからないが、それにしても事故後このタンク圧がどうなっていたかの記述がない。」

超美仁記者「私は甲板員の発言の中の、衝撃音を感じた際、光や飛翔物、至近距離での他船の存在、水柱は視認しなかったが、右舷側、昇降式のラダーの昇降口付近に何か赤い物体が上から下によぎるのを感じたというところが気になります。
赤い物体というのが、赤色をした物体なのか、赤く燃えている物体なのかで状況はだいぶ違います。
大きさだって、サッカーボールくらいか、乗用車の大きさだったとかなんとか表現のしようがあると思うのですが、それ以上の聞き取りが書いてないのです。」

作山記者「赤い物体というと、何を想像する。」

超美仁記者「当報道部の事故原因推理に当てはめて、爆発しながら燃えて落ちる救命艇。」

農園寺記者「僕は消えたレーダー画像の謎ですね。事故直後から6分間の記録が無くなっているという
記録が無くなっただけで、その間レーダー画像は見えていたのか、記述がない。大事なことだと思うのです。
僕はこれは単なる故障ではなく、なにか意図的なものを感じるのです。
もし画像が消えていなければ、タンカーに最接近し、また離れていく小型船などの存在の有無が明らかになる筈でしたから。報告書はこの点にも触れていない。
実際には船員の聞き取り調査で、事故直前のレーダー画像にも目視でも、船体の至近距離に接近してきた小型船はいなかったと証言されている。小型船が船体に何か仕掛けた事はありえないという状況なんです。報告書はこのあたりを解明せずに、損傷した船体近くで爆発があったと思える表現で終わらせている。
この意味でも失われた6分間のレーダー画像が惜しまれます」

デスク「疑わしいと言えば、レーダー画像消失と、救命艇の消失か。」

美仁記者「それと調査報告書には一切触れられていませんが、平成22年8月10日の国土交通省海事局発表の「ホルムズ海峡タンカー事故の原因調査の進捗状況について」(PDFファイル000121531.pdf)には、情報の収集として、「在外公館を通じて情報を収集している。本船の調査を行った外国機関に外交ルートを通じて情報の提供を要請している」と書かれています。
ところが、この情報収集の結果が全く反映されていないのです。

実際に原因を調査するために寄港したUAEのフジャイラ港での当局による調査で、爆発物の専門家が、船体右舷の損傷部分から採集したサンプルから、手製爆弾の残骸が見つかったと発表しています。
同じように米国海軍第5艦隊のスポークスマンが、海軍所属のダイバーがUAEの調査に協力したことを認めています。
せめて、これらの報告にも、日本側の何らかの検証が欲しかったです。隠したとは思いたくないけど、残念です。」

男川記者「最後になりますが、私は事故後に、救命艇が置かれていたアッパーデッキ上で発見したとされる青色の塗料を施された焼け焦げたFRP片
タンカーにはこの青色に塗装したFRPを用いた設備、器具が存在していなかったとして、本船の外部から飛来したと断定しているが、船長、乗組員のコメントからの情報によるもので、そこまで断定するのはどうかと思うのです。(本船船長及び乗組員は「青いFRP製の本船上のItemsを特定する事は出来なかった。」とコメントしている。)
これほど、重要な証拠物なのに、乗組員に聞いただけのような報告ではなく、日本側の船内調査はどうだったのかが全く欠落している。僕だったら、こんな報告は差し戻しで、再調査を指示しますよ。海上で発見され、日本に輸送されたという救命艇の残骸についても、報告書から消えてしまったのが不満です。
このFRP片、いったい何処から飛来したのか、想像できない。
飛来先については、その存在すら解明できない、もっと厳しく言うとタンカーの周りは海しかないのに、飛来した物体と説明されても途方にくれる

デスク「なんだと推理する?」

男川記者「超美仁くんと同じで、普段乗組員の目に付き難い、燃えて落下した救命艇のどこかの部材か、手製爆弾の運搬具だと思います。」

作山記者「まだまだ、議論が続きそうですが、今日のところはそろそろ締めましょうか。皆の疑問を僕がまとめて書き起して見ます。少し時間をもらいます。」

デスク「議論が続くのは、この最終報告書には、説明不足、指摘不足がまだ多くて分かりにくい点が多いという事だよ。作山くん、よろしく頼むよ。」

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コメント

日本のタンカーがテロ攻撃を受けたという情報を流す事が目的だったような、後味の悪い事件でしたね。裏で何があったのでしょう。

投稿: sibuya | 2011年1月15日 (土) 22時42分

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