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2011年1月12日 (水)

ホルムズ海峡での大型原油タンカー「M.STAR」損傷の原因調査発表される---これで終結?

Sonsyou
国土交通省海事局がタンカー事故原因調査報告を発表

柳瀬川通信:報道部 担当作山記者

 暮れも押し詰まった、昨年12月28日に、国土交通省海事局より「ホルムズ海峡タンカー事故原因調査報告」が発表されました。事故当初のマスコミ報道の大きさに比べると、年末の一年間を纏める多くのニュースに埋没してほとんど報道されず、知らなかった方も多いのではないでしょうか。
発表された報告書は表紙を含めて全17ページの次のファイルです。
「ホルムズ海峡タンカー事故原因調査報告」  http://www.mlit.go.jp/common/000132803.pdf

平成22年7月28日に起こったこのタンカー損傷事故については、当ブログでも何度か取り上げました。
国土交通省の事故原因調査発表があまりに遅いので、それでは、事故原因を推理してみるかと、それまでに入手できた僅かな資料から、事故を推定したのが次の記事です。
http://yanasegawa.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/----e0c2.html 2010年10月 9日 (土)

さて、国土交通省海事局では事故原因をどう解明したでしょうか。詳細は報告書を読んでいただくとして、柳瀬川通信:報道部でも報告書を読んで幾つかの疑問点を洗い出してみました。

先ず、報告書の最後の2ページに、あっけないほど簡単にまとめられた「7.事故の検討」、「8.爆発物の爆発に関する分析結果」、「9.結論」を転載してみます。

以下転載
7.事故原因の検討
 本船の損傷は右舷後部の広範囲に及んでおり、広範囲に及ぶ外力によってもたらされたものであることがわかる。海上において想定される外力として、「波浪」、「衝突」、「爆発」について検討を行った。

(1)波浪

3.(注:報告書4ページ 事故当時の気象・海象)に示したように、事故当時の本船周辺の海域は、晴れ、風速3~8m/s、波浪静穏、視界良好であったと推定されており、また、事故の約1 時間40 分前に事故現場から北東に約210km のイラン内陸でマグニチュード3 強の地震が観測されているが、津波は観測されていない。
このような気象・海象下にあって、荒天下での航行に耐えうる構造を有する本船に損傷を生じさせるほどの波浪は発生し得ない。
また、居住区の損傷部に海水の打ち込みがなかったこと、レーダー画像にも巨大な波と考えられる映像がなかったことから、波浪が原因である可能性はない。


(2)衝突
 本船は事故当時約14 ノット(時速約26km)で航行しており、航行中の船舶や海面に浮遊する物体が衝突した場合に発生する擦過傷(鋼構造物がこすれあうことによる表面上の傷や裂け)が見られない。
また、乗組員の証言から、事故前後に本船の至近距離で船舶等は視認されていない。
損傷は船体外板のみならず、居住区の構造物の広範囲にわたり発生しており、このような損傷は衝突によっては生じえない。
これらのことから、船舶等の剛体との衝突が原因である可能性はない。

(3)爆発

広範囲にわたって外部から圧力が作用していること、居住区内部の壁面等の通路側への変形に示される負圧による損傷を伴っていることは、爆発により大気中を伝搬した衝撃圧よる損傷の特徴と合致している。
想定される爆発源として、「積荷から発生した可燃性ガス」及び「爆発物」がある。
原油タンカーの貨物タンクの通気管は航海時は閉じられており、タンク内の圧力が一定値に達した場合に圧力弁を通じて自動的に又は手動操作により気体を放出する機構となっている。

船員からの聞取り調査では、事故当時タンク内のガスは大気に放出されていないことが判明している。
また、事故当時、本船は約14 ノットの速力で航行しており、貨物タンクから仮に大量の気体が放出されたとしても、その気体が大量に一定箇所に滞留する環境ではない。
これらのことから、積み荷から発生した可燃性ガスが爆発した可能性は無い。
従って、残された唯一の原因である「爆発物」の爆発が原因であったと推定される。
以下の損傷の特徴から、爆発は、本船の右舷方向の水面とアッパーデッキの間の高さで発生し、その衝撃圧が球状に伝搬したものと考えられる。
・ 水面上の船体外板の損傷が最も大きく、この部分に作用した力が最も大きい。船内へ向かうほぼ水平の方向から作用したものと見られる。
・ 船体外板損傷部上方のアッパーデッキの手すりが上方に変形していること、船橋ウィングの防撓材の脚部が座屈していること、居住区右舷の外部に通じる扉は船内側に変形していることから、居住区がある上部構造物には上方向の成分と外部から船内方向へ向かう水平方向の成分を有する力が作用している。
また、居住区内部の壁面等が通路側に変形しているのは、衝撃圧の後に発生する負圧の作用によるものと考えられる。
6.(1)①で述べた衝撃音は、爆風が吹き抜けた際の音であると考えられる。
衝撃圧は水面で反射したため、水中部の損傷は比較的小さいものとなったと考えられる。
なお、水中部の損傷が水上の損傷と比較して小さいことから、機雷の爆発であった可能性はな
いものと考えられる。


8.爆発物の爆発に関する分析結果
(1)船体損傷部から採取した付着物の分析結果
船体損傷部付近から採集した25 サンプルについて、爆発物の検知の分析を警察庁科学警察研究所において行ったが、爆発物に関連する物質は検出されなかった。

(2)船体変形をもたらした外力の解析結果
船体外板の変形量の計測結果に基づき、損傷部に作用した外力の推定を行った。かなりの高い圧力が極めて短時間に作用したことにより、損傷部の変形が生じたことが確認された。


9.結論
M.STAR に生じた損傷の特徴から、この事故の原因は、右舷後部側方の水面と上甲板の間の高さで生じた爆発物の爆発であると推定された。

ただし、損傷部から採取した付着物からは爆発物は検出されなかった。

船体に生じた変形の解析の結果から、船体に生じた凹損部には、高い圧力が短時間に作用し変形を生じさせ、この爆風が居住区のある上部構造物にも損傷を生じさせたものと推定された。

また、航海データ記録装置のレーダー画像の解析から、本船の進路付近で不自然な動きを示す小型船の航跡が確認されたが、本事故との関係を特定する証拠は得られなかった。

転載終わり

5ヶ月にわたる調査を続けたにしては、あまりにあっけない簡単な結論でこのタンカー事故は終結されてしまいました。
最後の2行の不審小型船の記述などは、テロ行為に結び付けたかった思いが残る記述で締めくくられています。事実、タンカー事故の調査報告の報道で、このことだけを報道したマスコミもあったくらいです。


それでは、このタンカー事故の調査推移をみてきた柳瀬川通信:報道部として報告書にもう少し詳細に説明して欲しかった事、この点が抜けているのではないかと思われる疑問点を幾つか挙げてみたいと思います。

書きかけ---続く

  

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