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2010年11月 6日 (土)

消えた貨物船「IZUMI」----なぜ、報道されないのか? 日之出郵船の対応は?

柳瀬川通信:報道部 担当作山記者
10月20日のブログに書きましたが、10月10日にケニア モンバサ沖で海賊に拉致されたと報じられた日之出郵船運航の貨物船「IZUMI」ですが、事件から1ヶ月近く経過しても何の進展も無く、忘れ去られたように何の報道も無く、状況が何もわかりません。
http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2765823/6316989 「IZUMI」の写真

 馬渕国交相が記者会見で「緊張した思いで推移見守る」とまで言ったのに、その後の推移をどう見守ったのでしょう。そして対策は?。
当の運航会社である日之出郵船(株)は、10月11日に次のようなニュースを発表した後、沈黙したままです。
http://www.nyk-hinode.com/20101011.pdf 消息不明を知らせる日本郵船ニュース

 今週はじめに、日之出郵船の「Eメールによる問い合わせ窓口」にその安否が気になるとメールしてみましたが、何の回答ももらえませんでした。
日之出郵船の発表で、腑に落ちないのが、「IZUMI」が在来船として消息不明になったとされている事です。
日之出郵船のホームページには、同社が運航している船舶が船隊一覧表になっており、この「在来船」区分には「IZUMI」は入っておらず
「RO/ROランプウェイ装備多目的重量物船」のなかに、その船名を見つけることが出来ます。
なぜ、公式発表で、船種を変える必要があったのでしょう。疑問です。
また、貨物船の消息不明を伝える発表の翌日、「海賊被害並びに今後の配船予定の件」なる発表がありましたが、何を伝えたいのか、なにか意図があるのかよくわからず、この点も注目しています。http://www.nyk-hinode.com/20101012.pdf

海賊に拉致されたのであれば、馬渕国交相が記者会見したように、同省の海事局が担当です。しかし、国交省のホームページの「海賊対処」欄には、この事件が起きた事さえ書かれていません。

 それでは、防衛省と海上自衛隊はどうでしょう。
不思議な事に、日本関係船舶が1隻拉致されたというのに、海上自衛隊の護衛艦2隻は、平常の船舶護衛を継続し、ジプチ基地のP3C哨戒機もまた、「IZUMI」の捜索活動すら行っていません。もちろん、海賊対処関連のホームページにも何の記載もありません。

 それでは、海上保安庁はと見ると、海賊情報に詳しいここのホームページの海賊情報にも何も書かれていません。
そうなのです。全く「IZUMI」の消息不明は無視されているのです。

 海賊対処のために、数百億円の経費をつぎ込みながら、拉致された船があるというのにその情報すら発表されないのが、実に不思議です。
今度の貨物船「IZUMI」の消息不明が捏造ではないと思います。
ただ、海賊に襲撃されたなどの、当初の報道が大きくても、その後消えてしまうのは以前にも例があるからです。

 海上警備行動による護衛開始時にも、海賊に襲われ船橋に銃弾による被害を受けた船舶の報道がありました。
海上警備行動から海賊対処法案に移った時も、その成立に合わせたように日本関係船舶が襲われ、事件を伝える報道の、2年前のコピーのような記事に違和感を感じたものです。
今年の7月にホルムズ海峡で、商船三井の原油タンカーが爆発による被害を受け、テロ攻撃も疑われ連日大きく報道され、政府が原因究明に当たるとされましたが、10月に爆発物の痕跡は見つからなかったとの発表が小さく報道されただけで、その後は何の発表もありません。この件については、柳瀬川通信:報道部は追跡中です)

今回の、タンカー爆発と海賊による拉致に関連して、政府の海賊対処、シーレーン防衛などの対応になにか動きが出るのではないかと、少し注意してみています。

 ちょっと出所のあやしいニュースで、政府は海上自衛隊の給油艦を派遣し、海賊対処活動に当たるNATO艦艇に給油活動をする用意があるなどの報道がありましたが、このニュースはその後全く聞かれなくなりました。しかし、なにか蠢いている感じはします。

あやしい報道と言えば、インド洋給油を中止した際には、海上自衛隊に代わって中国海軍が給油活動を継続するとの、産経新聞記事や、毎日新聞主筆の岸井成格氏のテレビ発言による捏造報道は、さすがに中国側からの反論を受けました。)
<参照>
反論:日本メディアはなぜ、「中国が日本の代わりに米軍に給油」と捏造したのか」

日本のメディアは、日本が15日にインド洋で給油活動を行っている海上自衛隊を撤収した後、中国海軍がこの国際反テロ活動を引き継ぐ意思があるようだと報じた。
実際、中国艦艇を外国の軍隊が指揮するのは不可能であり、後方補給の制度にしても同じではない。とすれば、これはまったく不可能なことのようであり、日本メディアが煽り立てた目的はどこにあるのか。
   国防大学の李大光教授に聞いた

――産経新聞は11日、日本が15日にインド洋で給油活動を行っている海上自衛隊を撤収した後、中国海軍がこの国際反テロ活動を引き継ぐ意思があるようだ、とスクープした。
実際、中国艦艇を外国の軍隊が指揮するのは不可能であり、後方補給の制度にしても同じではなく。
とすれば、日本メディアがこれを煽り立てた目的はどこにあるのか。

苦笑するのは、われわれ中国でさえこの問題を考えたことはなく、日本メディアがわれわれに代わって手配してくれたわけで、実に行き届いた考えだ。
実際、中国にはインド洋上で米軍に給油するいかなる理由も義務もない。
こうした時に、日本メディアがこの問題を煽り立てたのは、次のような問題があるからに他ならない。
第1は、インド洋での存在感喪失を懸念していることだ。
日本は原油の9割を中東から輸入しなければならないため、一旦、インド洋から撤退すれば、日本のシーラインにおける存在感は失われることになる。
東京はそれに警戒感を抱き、「中国海軍が活動地域としてインド洋に進入する」、とのトピックを利用することである種の雰囲気を醸成しようとした。

第2は、外交的な動静を探ることだ。
日本メディアが突然、根も葉もないことを大胆に推測したのは恐らく、一石を投じて探りを入れる戦略だったのではないか。
根拠のないことを大胆に推測することで、中国の動向を観察する。
日本側は明らかに「懸念」しており、一旦、中国が給油を引き継いでインド洋に進入するとなれば、日本は自国船舶の安全を保護する任務を他国に委託せねばならず、さらにテロ活動関連情報の収集の面でも制約を受けるのは明らかだ。

――アデン湾地域は、日本のエネルギー・シーラインにかかわっており、この点から考えると、日本は給油停止を発表しても、やはりこの地域で一定のシーパワーを維持するつもりなのでは。

アデン湾海域での商船護衛の問題、これはインド洋での海上給油とは別のことだ。
アデン湾での商船護衛は国連が主導する多国間の行動、日本が米軍へのインド洋での給油を停止したのは、日本の国自身による個人的な行為であり、国連主導の国際行動と同じ机上で論じることはできない。
従って、日本が米軍へのインド洋上での給油を停止しても、だからといって、それが日本のアデン湾での艦艇の配備に影響を及ぼすことはないだろう。

「チャイナネット」 2010年1月18日国防大学 李大光教授」 <参照終わり>



「IZUMI」拉致報道の1週間後、10月19日に、日本船主協会から、国交省の馬渕大臣宛、次のような要望書が提出されておりますが、これなどは、今回の拉致と関連してちょっと気になるニュースです。
日本船主協会が、要望書なり意見広告を出すにあたっては、関係省庁との事前の打ち合わせがあり、その後、連携行動のような動きを見せることがあるからです。

2010 年10 月19 日
社団法人 日本船主協会(海 務 部)

 ケニア・タンザニア沖を航行する船舶の安全確保について
本日、ケニア・タンザニア沖を航行する船舶の安全確保について、添付のとおり馬淵国
土交通大臣に要望書を提出致しました。
以上

船主海第143 号
2010 年10 月19 日
国土交通大臣・海洋政策担当大臣
馬淵 澄夫 殿
社団法人 日本船主協会
会長 宮原 耕治

ケニア・タンザニア沖を航行する船舶の安全確保について
平素より、わが国海運業界の活動に格段のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
ソマリア沖・アデン湾など世界各地で多発する海賊事件への対処につきましては、貴省
を始めとする関係の皆さまのご理解、ご尽力をいただいており、心より感謝申し上げます。
特に自衛隊によるアデン湾エスコート対象海域をモンスーン時期以外は東に100 海里延長する等より効果的な対応を頂き、安全確保に大きく寄与頂いております。
しかしながら、種々ご尽力にも拘わらず、海賊発生海域は益々拡がりを見せているのが実情です。
さて、去る
10 月10 日にケニア・モンバサ港沖約35 マイルの地点において当協会加盟船
社の運航する多目的船IZUMI が海賊によりハイジャックされ、現在ソマリア海域において
フィリピン人乗組員20 名と共に拘束されているものと見られています。


今回の事件がケニア国の最重要港であるモンバサ港までわずか2 時間ほどの海域、
まさしくケニア領海目前にて発生したことは極めて遺憾と言わざるを得ません。
また、この海域が多国籍軍による警戒区域とは言え、最近海賊事件が多発していることにも強い懸念を持つところです。
貴省におかれましては、事件の発生を受け、外交ルート等を通じ、直ちに関係各国に対
して当該海上交通路の安全対策の強化等を要請するなど迅速な対応を取っていただいているところですが、ケニア・タンザニア沖の海域を航行する船舶のより一層の安全確保のため、以下の内容について早急に関係省庁との調整ならびに具体的な対策の検討を進めていただきますようお願い申し上げます。

① ケニア、タンザニアなど関係沿岸国による周辺海域の警備強化

② 当該海域における警備強化に向けたEU NAVFOR (European Union Naval Force
Somalia) など関係諸国との国際的な協力体制の構築
③ 当該海域における安全回廊の設定、あるいはグループトランジット方式の導入など航行の安全を確保するための方策にかかる国際的な協議

以上

*今日は、ここまで。消えた貨物船「IZUMI]に関しては、今後も書くことにします。

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コメント

はじめまして。
この事件、ようやく解決みたいですね。
それは、それでよかったのですが、書かれているように、この五ヶ月ほどの間は、何も報道されていない。発表されていないのは、ほんと、謎です・・・。
今朝のUstで取り上げてみました。
http://www.ustream.tv/recorded/13009918
何が起きてるのでしょうねぇ・・。
ぜひ、その後の状況も何かわかったらブログによろしくお願いします。

投稿: 足立明穂 | 2011年3月 1日 (火) 06時30分

>足立明穂さま
海上自衛隊の海賊対処活動との関連があるのかもしれませんが、もし日本人船員が乗船している船だったらどんな対応をしたのでしょうか。韓国政府のの対応と比べると、こういった事件に対する日本政府の対応の悪さは際立っています。そのくせ、韓国、中国も持たない、活動拠点のジプチ基地などいつの間にか完成させてしまうなど軍事的覇権を拡大する事は忘れないのです。
今後も毎月書いている海上自衛隊の海賊対処活動の報告のなかで取り上げていきたいと思います

投稿: Souroku | 2011年3月 2日 (水) 20時45分

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