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2010年5月 9日 (日)

海賊対処法によるソマリア沖船舶護衛その8‐‐‐2日間の護衛で1隻あたり3000万円以上もかかる!ソマリア沖を海の有料道路にしますか?

派遣前には、あれほど大騒ぎしたマスコミが、その後まったく報じなくなった、海賊対処法によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。」

*平成22年4月の海賊対処法による船舶護衛実績(122回護衛~131回護衛の10回)
 護衛した船舶  日本籍船 3隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船  24隻
                   合計27隻  1回平均2.7隻
           
               外国籍船 59隻  1回平均5.9隻

Kousyu_320  4月の護衛実績も、日本関係船舶は27隻と少なく、1回平均は2.7隻でした。

このところ護衛する海上自衛隊の護衛艦のほうが多いという、平均2隻を割る月が続いていましたので、4月はやや増えたといえるでしょう。

それでも、護衛する日本関係船舶が0隻といった状態が1回あり、それは5月になっても3回のうち2回が0隻と続き、このところ日本関係船舶の数が増えているとは思えない状況が続いています。

昨年7月28日の海賊対処法による護衛活動開始から4月末までに、90回の護衛活動が行われ、合計で713隻の船舶が護衛されました。

 そのうち、日本関係船舶は207隻で、その他の外国籍船は506隻です。
今や護衛船舶の71%が、中国、ドイツ、デンマーク、シンガポールなどの外国の運航事業者が運航する船舶なのです。
しかしこれは、見方をかえて、海上自衛隊による護衛活動を、他国と協力しての国際貢献と捉えれば評価できることです。

 問題は、派遣前の想定の3割にも満たないという、あまりに想定とかけ離れた日本関係船舶の少なさです。

 しかも、日本関係船舶207隻といっても、本当の日本国籍船舶は、9ヶ月間、90回の護衛活動中、僅か8隻しかないのです。
残りの199隻は「我が国の船舶運航事業者が運航する船舶というわかりにくい船なのです。
これは、日本の海運事業者が海運事業のコスト削減競争の激化を理由にして、所有する船舶の登録料、固定資産税を払わずに済む外国に国籍を移す便宜置籍船化を進めてきたからです。

同じように日本人船員のリストラを進め、低賃金の外国人船員の雇用を図ってきた経緯もありますが、この日本の海運事業に関する件は別の機会に書くことにします。
参考までに乗組員について少し書いておくと、今や日本人船員数は壊滅状態で1975年(昭和50年)には5万人を数えた日本の外国航路船員は現在約2800人程度(2008年調査)に減ってしまいました。
海上自衛隊による90回の護衛活動で、護衛した713隻の船舶の船員数の合計16,439人中、日本人乗組員は僅か275人しかいません。この話題は書き出すときりがないので、このへんでおしまい。

さて話を本題の便宜置籍船に戻すと、207隻の日本関係船舶のうち、日本籍船は8隻で残りの199隻のうち、多分198隻はパナマ船籍です。
日本の大手海運事業者が、日本国に税金を払うのを避けて、外国、特に船舶の税金が安いパナマに移しているからです。

 日本船主協会は、今年の1月に前原国土交通相、北澤防衛大臣宛に、「船舶の護衛頻度を増加するなど護衛活動をより効果的に実施するために、あらゆる手段を検討して頂きたい」旨の要望書を提出しました。
要望書には、他国の護衛する艦艇の数が減少するなどと、
情報源の怪しい文言なども加えられており、これは、単なる海上自衛隊の護衛だけの問題にとどまらず、将来的に補給艦の派遣要請、ジプチの自衛隊基地の恒常化などの伏線も有ると思っています。

 関係者の話
によれば、他の国の護衛艦艇が減少するとの文言は、官僚側からの要請で加えたという説もあるそうです。加えられた情報は多分捏造でしょう。
これは、インド洋給油活動からの撤退時にも、
給油活動は中国海軍が引き継ぐなどの捏造情報を流し、援護射撃で毎日新聞の岸井氏などが、まことしやかに、テレビで語ったのと同じ種類の世論誘導でしょう。

 日本船主協会は、護衛艦派遣前にも、ソマリア沖を通過する2000隻の日本船舶を海賊から守って欲しいと政府に積極的な要望や、広報活動をした経緯があるのですが、想定の3割にも満たない現状については知らん顔で、その上、派遣する護衛艦を増やせというのはいくらなんでもおかしいという批判を浴びました。

 日本国籍船の極端な少なさと比較して、日本についで護衛船舶数の多い中国を調べてみると、殆んどが自国の国籍船を運用しています。
ドイツの船舶運航会社でさえ、運航させた68隻のうち、ドイツ船籍が9隻と13%を維持しています。
日本だけが、
極端に少ない異常な状況なのです。

海賊対処の為の政府予算額を、実際に護衛した日本関係船舶数で割ってみると、驚くべし、実に2日間の海上自衛隊の護衛艦による護衛に少なくとも、1隻当たり3000万円以上の税金が投入されています。

この数字は、今年の予算額を含
めないでかなり低めに計算してもこの金額です。
昨年5月28日の
外交防衛委員会での民主党の白石議員の質疑でも、政府資料から概算して、1隻当たりの2日間の護衛にかかる経費は5000万円という額があげられていますので、実情はもっと高額かもしれません。

<猪瀬直樹東京都副知事が、高速道路の料金制度に怒っています。>
「無料化は店で一人で食べたらタダと言われ、帰宅したら向こう三軒両隣含め十軒に一割ずつ請求書が来ること。税金で負担するのだ。高速利用者は十台に一台。食べた者(受益者)が払うべきだ。」と。

これを言うと船舶事業者からはすごい反撥があると思いますが、多額の税金を使って、強盗(海賊)から身(船)を守ってもらう特別警護(船舶1隻に護衛艦1隻が付く)を受けていながら、他の人のような税金は払いたくありません、すなわち船舶登録料は払いません、船舶固定資産税も払いません、日本人船員は使いません、その他、納税に関して少しでも支払いが少ない方法を常に研究、模索しています。
そして安全のため、アデン湾を避けて、喜望峰回りにすると、経費が1隻あたり700万円以上の負担増になるので、とても採用できませんというのでは、国民の納得が得られないのではないのでしょうか


 
日本船主協会、「政府がアデン湾は我が国の海運、海上交通にとって非常に重要なエリアと位置づけているので、これを特別海域航路として、日本の海運事業者が実質保有しながら、税金逃れのためにパナマ船籍にしている船は、経費の一部でも負担し、海上自衛隊員のご苦労に報いるためにも、本来支払うべき税金と同額の通行料を特別徴収してください」という要望書こそ提出したらどうでしょうか。

海賊行為の横行に世界が協力して対応し、日本もまたこれに参加し、各国の船舶を護衛している事は、インド洋給油活動のように、国際貢献の名のもとに限られた国に援助活動するよりずっと実のある事だと思います。

 ただ、我が国は輸入の殆んどを船舶に頼っているのだ、国益だ、日本の生命線であるシーレーンだなどという大義名分の陰で、実は
日本の小数の船舶事業者の利益のために、それも納税に非協力的な一部大手事業者が厚顔にも、もっと護衛体制を強化せよなどと言うのであれば、こちらとしても猪瀬さんではありませんが「受益者負担もありうる選択でしょう」と言いたくもなるのです。

<ところで、海上自衛隊のホームページから、海賊対処のページへのアクセスが出来なくなり、したがって護衛実績なども、3月23日の報告を最後に消えてしまったことについては、先月も書きましたがあらためて、別に書くことにします。>

Somaria(左写真は海上自衛隊のホームページにある海賊対処ページへの入口。クリックしても「Webペ-ジが見つかりません」と表示される。3月までは、ここに海賊対処関係の資料が掲載されていたのだが、全て消えてしまった)

(写真上、中国のミサイル駆逐艦広州。)

(4月28日に、中国海軍第5陣の護衛艦編隊の張文旦(大佐)指揮官が、旗艦であるミサイル駆逐艦「広州168」で、日本の第4次護衛艦隊の指揮官である海上自衛隊6護衛隊司令の南孝宜1佐と会談し交流しました。
日本の護衛艦が護衛している船舶のうち、日本関係船舶の次に数が多いのが、タンカーの多い中国船です。
そして、護衛活動もまた、中国海軍との協力関係を深めています。)

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コメント

日本船主協会に関係していますが、海運大手3社と自民党、官僚の癒着は目に余るものがありました。鳩山政権になって、民主党とは距離があるようですが、官僚との関係はより深まっています。

投稿: 登録料、固定資産税に代わる別な負担を、徴収しましょう。 | 2010年5月 9日 (日) 02時42分

>登録料、固定資産税に代わる別な負担を、徴収しましょう。さま
拙いブログを読んでいただき、ありがとうございます。日本の船舶事情は、調べるほどに怪しい部分が多いことがわかり、驚いています。何か、情報がございましたらお教え頂ければ、ありがたいです。

投稿: Souroku | 2010年5月 9日 (日) 10時14分

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