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2010年1月 7日 (木)

海賊対処法による船舶護衛その4‐‐‐ソマリア沖の日本関係船舶はどこが守っているのか

Sinsen_320
マスコミがこのところ全く報じない、「海賊対処法」によるソマリア沖派遣護衛艦の毎月の活動を書いています。

(写真左、第2次派遣艦隊として、ソマリア沖に派遣された中国ミサイル駆逐艦「深せん」。第1次の駆逐艦「武漢」「海口」は情報収集の為に追尾して来たインド海軍潜水艦を捕捉して、攻撃警告したとのニュースが報道された。ソマリア沖波高し。)

*平成21年12月の海賊対処法による船舶護衛実績(84回護衛~92回護衛の9回)
 護衛した船舶 日本籍船 1隻 
           日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船  14隻
                   合計15隻  1回平均1.7隻
           
               外国籍船 55隻  1回平均6.1隻

参考までに、海上警備行動による護衛から、海賊対処法に変わった平成21年7月28日~11月末までのデーターを書いておきます。(42回護衛~83回護衛の42回)

 護衛した船舶 日本籍船 2隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船 108隻
                   合計110隻  1回平均2.6隻
            
               外国籍船 200隻  1回平均4.8隻

昨年の12月22日に、12月18日までのデーターをまとめましたが、今回はその後の3回の護衛活動を加えた12月分のまとめです。

 12月には、護衛活動開始以来、初めてとなる護衛船団に日本関係船舶が0隻、すなわち護衛する船舶が集まらないという異例の事態(第86回護衛船団)が生じましたが、その後も日本関係船舶は増えず、1回の護衛船団に平均1.7隻という状況が続いています。

(柳瀬川通信:報道部注 何度も書きますが、海上自衛隊の護衛艦派遣前には、政府・自民党、船主協会、マスコミは、海賊対処の護衛に急務を要する日本関係船舶は、一船団あたり10隻近くになると想定し、護衛艦2隻では不足するとの論調もあったのです。P3C哨戒機の派遣も、これに関連します。
護衛艦派遣に関して
、「国土交通省海賊対策連絡調整室」も次のように発表しています。
「これまでに、計2596隻から警護の希望が寄せられており、2隻の護衛艦では対応しきれないとして、P3C哨戒機による空からの警護を実施する方向で調整している。」
今や、空からの警護とはいえ、、P3C哨戒機の飛行任務の一つに、米軍の情報収集への協力が欠かせないものとなっていますが、このあたりを反省し、自ら検証するつもりなど、毛頭無いことはいうまでもありません。
任務があいまいになると、論評する人たちが、そこに派遣されていることに意味がある、例えば外国に飛行基地が確保できた意義が大きいなど、問題のすり替えが行われることも正論としてまかりとおります。

道路や橋、建物、鉄道建設、博覧会、テーマパークなどの事前の利用者数などのリサーチの場合、4割ほど水増しするのは、通常行われるのですが、想定10隻に対して、2隻の護衛艦より少ない1.7隻平均というのは、派遣根拠の検証により、責任が問われてもおかしくない数字です。
マスコミが、海賊対処の護衛の報道を避ける原因もここにあります。)

それにたいして中国を筆頭とする外国籍船は増える傾向で、、日本関係船舶15隻の3.6倍になる55隻が海上自衛隊の護衛艦に守られて航海しました。

(1月9日、国土交通省発表資料により追記)
中国は12月こそ、船舶運航会社の国籍では全55隻中、シンガポールの12隻に次ぐ9隻でしたが、そのシンガポール運航船も7隻以上は、中国関連の船舶です。
それよりも、問題なのが船籍です。12月までの護衛船舶数380隻中、日本船籍の船は僅か3隻しかありません。

日本の運航会社は、自国の船舶を保有せず、ほとんどパナマ船籍の船(86%)を使用していますが、中国の運航会社が使用するのは、ほとんどが中国の船籍です。
自国の船舶をほとんど持たずに、全て外国の安い船舶を運航する日本の海運業界の姿が浮かび上がります。

自民党政権は、日本籍船と日本人船員が、激減した原因と責任を明確にすべきと云われながら、何らの検証も具体化せずにきたのです。
日本の海運事業者は、海運事業のコスト削減競争の激化からやむを得ないとして、税金の安い外国に所有船の国籍を置き、日本人船員を排して低賃金の外国人船員の雇用を進めてきました。
政府も海運事業の規制緩和の促進として、大手海運事業者の優遇処置を講じてきたのです。
その結果が、今度の海賊対処法による船舶護衛の実情に如実に表れてきたといえるでしょう。この問題は、保守系言論人が深い考察も無しに、何かと言えばシーレーン防衛を語ることに、大きな問題が隠されている事がわかります。
ソマリア沖の船舶護衛活動から、今まで具体的な策もなしにシーレーン防衛という言葉だけが一人歩きしてきたことにたいして、初めてその難しさや問題点がいかに多い事かをわからせてくれたと思います。
どんな状況下で、どこの国から、また誰から、どんなふうに、日本の海上輸送を守るのかを具体的に検証しながら、シーレーン防衛が論じられる事を、新政権が進めてくれる事を願うのです。(以上、追記)


 「追記で少し脱線しましたが、本題に戻します」
なにゆえに、日本の護衛船団に、護衛する2隻の護衛艦より少ない日本関係船舶しか集まらないのか、(柳瀬川通信:報道部注 通常、護衛の任に当てる武装船より、護衛される船舶が少ない場合は、船団とは表現しません)
中国海軍は駆逐艦2隻を派遣して船団護衛をしていながら、日本関係船舶より多いタンカー、貨物船が日本の護衛船団に加わるのか、疑問が沸いてくるのですがその解答となる情報が入りません。
EU軍艦頼みで肩身の狭い思いで、危険な航海を強いられていたと言う日本関係船舶はどこに消えたのか、逆に中国駆逐艦による護衛船団には、どこの国の船舶が加わっているのか、
各国ごとの護衛船団方式に対して、海域を分担して警護しようという中国の提案はどうなってしまったのか、ソマリア沖の海賊対処のための多国籍艦隊である第151合同任務部隊(CTF-151)との連携はどういう状況なのか、などなど、わからない事が多すぎるのです。
しかし、このところ、かっての大騒ぎはなんだったのかと思えるほど、マスコミも日本船主協会も沈黙を守っています。
そんな事からも、なるべく情報を集めてこれからも、連載を続けることにします。

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