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2009年12月 6日 (日)

海賊対処法による船舶護衛その2‐‐‐中国船舶の護衛数が増加

11月10日に書いた「その1」の続編で、今後連載にする予定です。

海賊対処の為に海上自衛隊の護衛艦とP3C哨戒機が派遣される前には、連日のよう、海賊対処の問題を報道し続けたマスコミが、意図的とも思える程に沈黙してしまいました。そこで、海賊対処の現状を書いてみたいと思います。

はっきり言って、マスコミが取上げないのは ニュース性がないというより、政府やマスコミがあれほど騒いで、護衛艦を急遽派遣することになった日本関係船舶の護衛数が、実際には想定の3割にも満たないことや、海賊対処法の施行により、船舶の国籍を問わずに護衛を行う事が可能になって、中国の貨物船やタンカーの護衛が日本関係船舶数の半数以上の多さという事実を、国民にあまり広報したく無いという思惑が絡んでの事と思われます。
これは、イラクでの航空自衛隊の空輸活動、インド洋における給油活動、沖縄での反基地闘争、核持込疑惑などが、取上げられないのと同じ構図です。
110_320 155_320海賊対処のための海上警備行動による護衛が行なわれる前に、マスコミがあおった報道は多数挙げることが出来ますが、今日は韓国との協調に絡んで、朝日新聞記者が2009年2月22日に書いた記事を紹介します。

「韓国国防省によれば、ソマリア沖で護衛が必要な韓国の関係船舶は年間150~160隻。
韓国側が韓国人乗組員のいる日本の関係船舶を護衛する代わりに、海自に韓国船の護衛を期待する声もある。
しかし、海自が派遣する護衛艦は2隻で、保護対象に想定している日本関係船舶は少なくとも年間2300隻以上。
新法(柳瀬川通信:報道部注--海賊対処法)が成立して日本と無関係の外国商船を保護できるようになっても、日本船の護衛で手いっぱいなのが実情だ。」
(牧野愛博=ソウル、石松恒)

この記者は、柳瀬川通信:報道部の記者諸君と違い、記事書きの基本である5W1Hを、叩きこまれていないようで、保護対象船舶が「少なくとも」と書いた根拠が曖昧なこと、日本船の護衛で「手いっぱいなのが実情」と言うが、その実情は想定である事など、お粗末な提灯記事に分類されます。
実は、この記者だけでなく、ろくな調査もせずに推論を事実のように書いた記事がとても多かったのです。ちなみに、現在は韓国貨物船、タンカーも護衛しています。

それでは平成21年11月の船舶護衛実績です。(海上自衛隊と国土交通省海事局資料による)
その前に、10月までの実績を再掲載しておきます。

海上自衛隊による船舶護衛は、2つの時期に分けられます。
(1)海賊対処の為の海上警備行動による護衛 
       2009年4月1日(第1回)~7月22日(第41回)
(2)海賊対処法(海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律)による護衛 
       2009年7月28日(第42回)~10月31日現在まで

(1)護衛した船舶 日本籍船 6隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船 115隻 
               合計121隻  1回平均2.95隻
(2)護衛した船舶 日本籍船 2隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船 84隻
               合計86隻  1回平均2.6隻
            外国籍船 150隻 1回平均4.5隻
(1)の海賊対処の為の海上警備行動では、護衛できなかった外国籍船が(2)では、護衛が可能となった。

平成21年11月の海賊対処法による船舶護衛実績
(75回護衛~83回護衛の9回)

  護衛した船舶  日本籍船 0隻 
             日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船 24隻
               合計24隻  1回平均2.7隻
           外国籍船 50隻  1回平均5.6隻

日本関係船舶は、当初の想定が1回平均10隻でしたから、想定の27パーセントと、増加傾向は見られません。
それに対して、護衛する外国船籍は増える傾向が見られます。

また、外国籍船50隻の内、16隻が中国の貨物船、タンカーで占められています。
日本関係船舶の全数が24隻ですから、16隻というのは驚きます。
これも、我国の国際貢献ですが、でも日本関係船舶の護衛数より中国貨物船のほうが多い事にでもなったら、これはやはり当初の保護対象船舶数の把握がお粗末だった事になり、問題視されることになるでしょう。
当初、政府、自民党は護衛艦派遣が2隻では、対処しきれないとして、3~4隻を検討したが、インド洋給油も継続すると、護衛艦が不足するので、最終的に2隻の派遣で落ちつき、変わりにP3C哨戒機の派遣がなされた経過があるわけですから。

写真上、現在船舶護衛活動中の護衛艦DD110たかなみ)
(写真下、同じく護衛艦DD155はまぎり)

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