« ジャガイモの葉が全部枯れた | トップページ | ブランデー仕込みに軍配あがる‐‐‐‐梅酒作り »

2009年12月22日 (火)

海賊対処法による船舶護衛その3‐‐‐護衛すべき日本関係船舶が遂に0隻

Politi1_320 12月6日に書いた「その2」の続編で、連載3回目です。
マスコミが、意図的とも思える報道無しを続けていますので「海賊対処法」によるソマリア沖派遣護衛艦の実情を書いています。(注:柳瀬川通信:報道部 唯一、ありのままの実情を報道したのは、東京新聞だけです)

今年も残り少なくなりました。この連載も12月実績分は年末、年始でデーター整理が遅れそうなので、とりあえず先週末までをまとめておきます。
*平成21年12月(18日発表分まで)の海賊対処法による船舶護衛実績(84回護衛~89回護衛の6回)
 護衛した船舶 日本籍船 1隻 
           日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船  9隻
                   合計10隻  1回平均1.7隻
           
               外国籍船 36隻  1回平均6.0隻

参考までに、海上警備行動による護衛から、海賊対処法に変わった平成21年7月28日~11月末までのデーターを書いておきます。(42回護衛~83回護衛の42回)

 護衛した船舶 日本籍船 2隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船 108隻
                   合計110隻  1回平均2.6隻
            
               外国籍船 200隻  1回平均4.8隻

12月の護衛船舶数をみて気づくのは、日本関係船舶が驚くほど少ないことです。
遂に護衛開始以来初めての、日本関係船舶で、2隻の派遣護衛艦が護衛すべき船が無い、すなわち0隻が起きてしまった事です。(第86回護衛船団)
6回の護衛活動でも合計10隻、平均して1回の護衛で、護衛する2隻の護衛艦より少ない1.7隻しかありません。

 これは、前回も書きましたが、ソマリア沖海賊が問題になり、中国が艦艇を派遣したのを追うように海上警備行動での派遣を決めた際に、護衛する日本関係船舶は約2000隻以上あり、1回の護衛で10隻の船団を組む必要が生じるといった論議とは、かけ離れた数字です。
一時は2000隻以上もある日本関係船舶を、海賊から守るには、護衛艦4隻が必要との論議まで出て、最終的に2隻の護衛艦と、それにP3C哨戒機の派遣を加える事で決着した経緯があるからです。
本来なら、これは国会で問題にされてもよい海賊対処の実情なのです。

(写真上、派遣された中国海軍補給艦「微山湖」のソマリア沖における駆逐艦への海上給油の様子。海上自衛隊と同じ給油方式で、補給艦と駆逐艦が並行して給油している。給油量は未発表だが、90分で補給作業が終了したと報道されているので、かなりの習熟ぶりと思える)


この日本関係船舶数に比べて、増え続けているのが外国籍船の数です。

 海上自衛隊護衛艦による6回の護衛で、36隻と日本関係船舶の10隻を大きく引き離しています。
そして、その半数近く、13から16隻くらいは中国の船舶運航事業者のタンカーと一般貨物船だと想像します。(データーは、未発表です。発表され次第追記します)
遂に護衛船舶数が日本関係船舶数より、中国の船のほうが多いという逆転現象が起きてしまいました。
でも、僕はこの数字を問題視するわけではないのです。
海賊対処法は、それ以前の海賊警備行動ではできなかった外国籍船が護衛できるようになり、各国との協調が可能とされたのです。それが想定以上に実績を挙げているとも考えられるからです。

しかし、ソマリア沖の海賊対処が問題になった際の、日本船舶協会やマスコミ、そして識者の論調にたいしては、一言、いや声を大にして言いたくなるのです。

 なにかせきたてるように大騒ぎしても、その後の経過を全く無視する、黙りこむ、報道しない、行動が起こされたことに意義があるかのような論旨を書くなど、言動に責任をとる態度が見られないのです。
これは、あとで書きますが、インド洋給油再開、普天間基地問題、漢方薬の健康保険除外問題などに、全て当てはまります

  書きかけ---続く   (12月23日22時30分追記)

前回も、海賊対処の護衛活動における韓国との協力に関して、次ぎのようなの朝日新聞記事(2009年2月9日)を紹介しました。

「韓国国防省によれば、ソマリア沖で護衛が必要な韓国の関係船舶は年間150~160隻。
韓国側が韓国人乗組員のいる日本の関係船舶を護衛する代わりに、海自に韓国船の護衛を期待する声もある。

しかし、海自が派遣する護衛艦は2隻で、保護対象に想定している日本関係船舶は少なくとも年間2300隻以上。
新法(柳瀬川通信:報道部注--海賊対処法)が成立して日本と無関係の外国商船を保護できるようになっても、日本船の護衛で手いっぱいなのが実情だ。」
(牧野愛博=ソウル、石松恒)

今日、紹介するのも当時海賊対処のための護衛艦派遣を求めた多くの記事と同じように、海賊対処の活動を急ぎ求める論旨で、元海上自衛官で現在、海洋政策研究財団主任研究員である秋元一峰氏が書いた文の一部を抜粋したものです。

「シーレーン安全保障への提言-日本孤立化の危惧-」 政策提言委員 秋元一峰

それは切実な訴えに聞こえた。「海賊の襲撃を避けるため、夜間に灯火を消して高速でソマリア沖を通航する船舶がある」「日本の船舶は、ソマリア沖に展開しパトロールする多国籍海軍部隊の防護優先順位の一番最後である「有志連合軍等の活動強化を働きかけ、日本としてもこれに貢献して欲しい」。
2008年11月14日(金)午後、都内で日本財団・海洋政策研究財団主催の「ソマリア沖海賊対策緊急会議」が開催された。
冒頭の言葉は、参加した
日本船長協会と日本船主協会の代表から語られたものである。

しかし、アデン湾からインド洋に抜ける回廊は長く、また、アデン湾を抜けたソマリア沖は広大なインド洋に面しており、多国籍海軍部隊はすべての海域ですべての船舶を守れているわけではない。
そこで、例えば、
EU艦隊では、警護対象を①フランス籍船、②EU籍船、③EU域外船の順に優先を決めており、日本籍船は優先順位が最後である。
自国艦艇が展開していない日本の商船は、最速で危険海域を通り抜けるしかない。
中には、他国派出の海軍艦艇を見つけてその後ろに付くようにして通航するものもある。


笑えない話である。現場海域を通航したことのある船長の話だが、夜間に海賊に見つからないように灯火を消して航行する船舶もあり、衝突の危険性があるという。冒頭の、「日本も有志連合軍に貢献して欲しい」は、命がけで日本に物資を運ぶ商船乗組員の生の声なのである。

台頭する中国海軍の外洋進出は目覚しく、2005年以降、着実に行動範囲を拡大している。2005年に、戦闘艦が補給艦を伴ってインド洋に展開し、パキスタン、インドおよびタイと共同訓練を実施したのを皮切りとして、2006年には、北米方面を巡航してアメリカとカナダを訪問、2007年になると、欧州への遠洋航海を挙行し、ロシア、イギリス、スペインそしてフランスと共同訓練を実施し、さらにオーストラリアとニュージーランドにも訪問している。
“ブラウンウオーターネイビー”を装ってきた中国海軍は、2005年以降、インド洋、太平洋、オセアニアそして大西洋と、その行動範囲を拡大し、“ブルーウオーターネイビー”に変身してしまったのである。まさに“七つの海”に乗り出す戦略的展開である。

そのような中国が、ソマリア沖の海賊対処多国籍軍に艦艇を派遣したら、どうなるであろうか?日本は、まさに”日本沈没“のように、アメリカと中国の狭間、列島線の海溝に沈んでいくことになる。 (注:このあたり、意味不明 柳瀬川通信:報道部)
今、シーレーン防衛のための国際的取組みの舞台に上がることがなければ、日本は孤立化の道を辿ることになるだろう。

言っている事は、必ずしも間違いではないと思うのですが、海賊対処をどうすべきか、現状分析、具体的な対処の方策は後回しにして、ともかく行動を促す、読売、産経、日経などに代表される、当時もっとも多く見られた論旨です。
また、中国の脅威に関しても、この論文も何を言いたいのかわかり難いと思いますが、海賊対処に絡んで、対中国を意識した論旨記事も多く見られたのです。

その後中国は、2008年の12月に補給艦1隻と駆逐艦2隻をソマリア沖に向け派遣したのですが、それを追うように米国に追従し、派遣法や護衛の具体的方策などを決めないまま、日本も護衛艦2隻が派遣されたのです。

その結果が、秋元氏の書くような「今、シーレーン防衛のための国際的取組みの舞台に上がることがなければ、日本は孤立化の道を辿ることになるだろう。」に日本がどれほど取組めたかの説明や情報もないまま、派遣された2隻の護衛艦が、もっとも多く警護しているのが中国タンカーという皮肉な結果になっているのです。

法の整備などより、海賊の恐怖を訴え、自衛隊の早期出動を求めた多くのマスコミは、その時点で、論議、検証の不十分さを問わなかった問題はあるのですが、それは百歩譲って見逃すとしても、以後の活動状況、問題点などは、海賊対処を連日報道した責任上、積極的に国民に知らせる義務があると思うのです。
それらを全く忘れたかのような現在の報道姿勢は、見逃す事はできません。

これは、護衛艦2隻では不足と派遣されたP3C哨戒機についても言えます。
このPC哨戒機部隊については、海賊対処の護衛艦2隻を助け、得た情報を各国に伝えるという目的で活動しているのですが、派遣前から対米追従、協力などの面が指摘され、現在も活動に不明の部分もあり、いろいろと問題が多いので、現在資料集めをしていますので後日まとめることにします。

対米追従という言葉が出たので、今日の記事とは外れますが、少し書いておきます。
普天間飛行場問題です。
マスコミはまたしても、同じ事を繰り返しています。
「日米関係の悪化」「対日感情悪化強まる」「両国関係に深刻な影響」「日米関係の危機」
連日新聞紙面を賑わす見出しです。週刊誌に至っては日本は米国の一州かと思わせる記事が並びます。
これはもう、明日にでも決着をつけないと大変なことになるぞと、日本のマスコミが日本国民を脅かしているかのようです
対イラク戦争、インド洋給油、海賊対処の時と同じではありませんか。
恫喝はアメリカのお家芸かもしれません。しかし、マスコミよ、そんなにせかさないでください。
長かった自民党政権から、民主党政権に変わったばかりです。
今、日米関係をじっくり論議するスタート地点に立ったばかりです。その中で普天間飛行場問題も時間をかけて論議すべきなのです。
日米合意を見直して、再交渉しても国民は反対しません。
海賊対処問題と同じで、「国際的取り組みに遅れるな、米国にもいい顔見せたいと、何はともあれ、急げ急げと出てみたら、どうも予想と違って様子がおかしい。」

普天間飛行場問題では「辺野古に新飛行場を作ったが、米国海兵隊はほとんどグァム島に移転して、たまの訓練用に使うには立派過ぎるほどの施設ができていた」
「防衛省が、共同使用に意欲的」

これ、ありえない話ではないですよね。

「マスコミよ、ともかく、少し冷静になりましょう。」
「米側の動きを、変に誇張した見出しで驚かせないでください。」
「米側発信の情報に、一言加えたり、意図的な誤訳をしないでください。」
「読者にいちいち、原文を探して参照する手間を押しつけるのは、報道の倫理に反しますよ。」
唯一、まともなのは東京新聞だけでは、情けない話です。

今や、日本のマスコミの過剰な反応を、米国側が心配し始めています。
米国が恫喝しているかのように受け取られて、沖縄県民の反米感情が高まり、しいては普天間飛行場問題から、今も、辺野古で連日行なわれている反対運動が拡大し、規模な反基地デモ闘争にでも発展する事態は、米国が全く望まぬ方向です。
外交は押したり引いたり、粘り腰が必要なことは、皆知っていることなのに。
再度言います。新政権の一からの出なおし交渉を、後押しし、見守る度量を見せなさい。

|

« ジャガイモの葉が全部枯れた | トップページ | ブランデー仕込みに軍配あがる‐‐‐‐梅酒作り »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« ジャガイモの葉が全部枯れた | トップページ | ブランデー仕込みに軍配あがる‐‐‐‐梅酒作り »