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2009年11月10日 (火)

海賊対処法による船舶護衛その1

海上自衛隊派遣前にはあれほど騒がれた海賊出没報道と、その海賊対処の為の護衛艦派遣ですが、最近はまったくといってよいほど報道されません。
そこで、今年の4月1日より開始されたアデン湾における船舶に対する護衛の活動の、7ヶ月間をまとめてみました。(海上自衛隊と国土交通省海事局発表資料による)

 海上自衛隊による船舶護衛は、2つの時期に分けられます。
(1)海賊対処の為の海上警備行動による護衛 
       2009年4月1日(第1回)~7月22日(第41回)
(2)海賊対処法(海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律)による護衛 
       2009年7月28日(第42回)~10月31日現在まで

(1)護衛した船舶 日本籍船 6隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船 115隻 
               合計121隻  1回平均2.95隻
(2)護衛した船舶 日本籍船 2隻 
            日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船 84隻
               合計86隻  1回平均2.6隻
            外国籍船 150隻 1回平均4.5隻

(1)の海賊対処の為の海上警備行動では、護衛できなかった外国籍船が(2)では、護衛が可能となった。

Dd102h1_320 この数字を初めて見て驚かれる方もいると思います。
えっ!日本の船がこんなに少ないの。

そうなんです。7ヶ月間に護衛した船舶357隻の内、日本籍の船が8隻だけなのです。
この、日本籍船と日本人船員の激減していった背景を考えると、日本政府と大手海運会社との対応が問われる事になるのですが、とても複雑な問題になりま
すので、これは後日に譲ります。


Dd154a1_320
 日本の船舶運航事業者が運航している外国籍船に乗っている日本人船員も、それこそ数えるほどしかいない事も報告しておきます。

次ぎに、護衛した船舶数の少なさについてですが、この事は何度もブログで書いてきたのですが、改めて統計数字を見て、やはり首を傾げざるを得ないのです。

 この点を指摘したマスコミ報道は、僕が調べた限り皆無に近いというより、報道自粛しているのではないかと勘ぐりたくなるほどです。
唯一、東京新聞が次ぎのように報道して、問題提起した記事があります。

<平成21年4月19日 東京新聞記事より>
「対ソマリア沖海賊、海自警護平均3隻。不況で運航減、日程も合わず」という記事で護衛した船舶数が予定の3割だったとして、次ぎのように書いている

「政府は、アデン湾を航行する日本関係船舶は年間ニ千隻、1日平均して五隻が通過すると説明していた。説明通りなら、警護対象の船舶は四日かけた一往復で二十隻に上り、往路、復路で分けると船団にはそれぞれ十隻の船舶が加わる計算になる。

だが、実際にはその半数にも達していない。日本船主協会によると、昨年、アデン湾を通過した船舶は、コンテナ船と自動車専用船で約千五百隻を占めた。しかし、世界不況の影響で自動車専用船の運航が半減するなど激減した。」

現実は半数ではなく、3割にも満たない、2隻の護衛艦による1回の護衛航海に平均2.7隻です。

もう一つ。
海賊対処法(海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律)により、船籍、積荷などが日本と関係の無い船舶の護衛が行なわれるようになり、2009年7月28日(第42回)~10月31日(第74回)現在までに24ヶ国、150隻の外国船籍の船舶を護衛しました。
国別内訳で、以外なのは中国がタンカーを含む32隻と、だんとつの1位なのです。
日本関係船舶数の総数86隻と比較して、中国の船舶が多い事に驚きます。
中国タンカーを、日本の護衛艦が護衛する状況が生まれています。


 勿論、中国も海賊対処の艦艇を派遣している国の一つです。
国の一つというより、中国が総合型補給艦1隻と駆逐艦2隻をソマリア沖に展開すると知って、米国に追従し、派遣法や護衛の方針などは中途半端なまま、あわてて海上自衛隊派遣を決めたのが我国なのです。
艦艇を派遣する中国の狙いが、アフリカへの権益確保にあるとみたからです。

早急な派遣を模索する政府の後押しをしたのが、多数のマスコミの海賊出没報道や日本船主協会の「日本の海運会社は、EU軍頼み」「民間自助の海賊対策」などの状況説明、そしてソマリア沖を通過する日本関係船舶は2100隻などの、現状を把握していない情報だったのです。
少し、中国の艦隊派遣の状況を調べてみました。
  書きかけーーー続く

「追記」

 中国海軍は、昨年の12月に補給艦「微山湖」と「武漢」「海口」の2隻の駆逐艦を、アデン湾、ソマリア沖に向け派遣しました。
以後2次、3次と交代し、現在第4次派部隊の駆逐艦「馬鞍山」と「温州」が同海域に向け航海中とみられます。
補給艦は多分第3次の「千島湖」が引続き旗艦として任務に当ると思われます。
その強力な艦隊の、海賊対処の護衛活動の情報が得られないのですが、日本と同じ船団護衛の形で活動していると報じられています。
 
さて、そこで日本関係船舶の話しに戻るのですが、同海域を通過する2000隻の日本関係船舶の護衛が必要という、当初の想定は論外としても、統計からみて、海上自衛隊の護衛船団に日本関係船舶は平均して2.7隻しか参加してくれません。(想定10隻)

 少し大袈裟に言うと日本関係の自動車運搬船、貨物船、タンカーなどの1隻(実際には1.35隻ですが)を海賊から守る為に1隻の護衛艦がついてくれるという、手厚い護衛活動?がなされています。

 護衛艦派遣前に、「日本船主協会」が訴えていた、多くの日本関係船舶が他国の護衛船団にくっついて、肩身の狭い思いで航海している現状だというのは、どうなってしまったんだと思わずにはいられません。

 2009年7月28日(第42回)~10月31日(第74回)までの33回の海上自衛隊の護衛船団に、中国はタンカーを含む32隻の船舶が加わりました。

 それでは、逆に日本関係船舶が、どのくらい中国護衛船団に加わって警護されているのか、中国以外の各国の船団とはどういう状況にあるのか、そして他の多くの日本関係船舶の海賊対策はどうなっているのか、何故、海上自衛隊の護衛船団に加わらないのかなどの航海事情を、自衛隊派遣を強く要請した「日本船主協会」は、ホームページなどで国民に知らせるべきだと思います。(政府の国会報告の義務などの、詳しい事はまだ調べていないので、まだ、書くことができません)

 航海日程が合わない、船足の違いがあるなどの理由が報道されたこともありますが、海上自衛隊の派遣の前提条件の一つに挙げられ、そこで想定された年間2000隻の同海峡通過船舶の半数近くが新車や中古車の自動車運搬船であった筈で、国益に適う商業活動保護とはいえ、少数のメーカーの商業活動に、多額の税金が支出されようとしているわけですから。
(写真上、現在船舶護衛活動中の護衛艦DD102はるさめ)
(写真下、同じく護衛艦DD154あまぎり)

 参照「politics_1231_001.jpg」  
中国海軍補給艦「微山湖」の海上給油の様子。海上自衛隊と同じく補給艦と駆逐艦が並行している。90分で補給作業が終了したと報道されているので、かなり訓練されている事がわかる。

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