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2009年10月14日 (水)

海上自衛隊インド洋給油その20(9月)---インド洋給油の現状をマスコミは報道していない「その2」

Paki251_320 連載企画「インド洋給油その20です」---昨日の続きです

今、今日(10月13日)の毎日新聞夕刊を見ながら、このブログを書いています。(注:夜中の12時を過ぎてしまい、日付が変わってしまいました)
 紙面第一面に「インド洋給油」「海自1月撤収へ」の見出しがあります。

 記事はパキスタンを訪問した岡田克也外相が11、12日の両日、ギラニ首相、クレシ外相、ザルダリ大統領と会談した事が報じられています。
そのなかで、岡田氏は来年1月15日で期限が切れるインド洋での海上自衛隊の給油活動について、
来年1月の期限までに延長のための法案提出は間に合わない
▽連立相手の社民党が反対している

給油のニーズが減っている
などと説明したとされています。
これにたいしてパキスタン首脳からいかなる対応があったか、まったく書かれていません。
( 柳瀬川通信:報道部 注:(作山記者談)いくらなりたてとはいえ、日本の外相たるもの、なんとお粗末な説明をするのだろう。これ、本当だろうか。信じられん。
給油活動の経過、実績、その効果、現在の状況など、真摯に説明するなかで、給油活動から何故日本が撤退するのか、撤退する理由に事欠かないはずなのにである。代って説明してあげたい心境である。いくら日本、パキスタン両国とも米国の圧力に苦慮し、苦しい立場にあろうとも、信念は持たねばならない)

岡田氏はまた、パキスタンのテロ対策を高く評価。
4月に東京であったパキスタン支援国会合で日本が約束した10億ドル(約1000億円)の早期実行を約束したとあります。

ザルダリ大統領は「この8年のアフガンとイラクでの多国籍軍の活動が生産的だったとは思えない」と振り返り、日本の民生支援に謝意を表明したとあります。
柳瀬川通信:報道部 注:(デスク談) パキスタンの置かれた苦しい立場が、伝わってくる言葉だ)

この報道を見る限り、インド洋給油についてパキスタン首脳はどう考えているか、というよりほとんど認識していないのではと思えてしまいます。

 岡田氏は給油のニーズが減っていると説明しましたが、海自の過去6ヶ月間の給油量の約50%は、当事国パキスタン海軍への給油なのです。
この状況について、国家首脳は的確な報告を受けていないのかもしれません。
これがインド洋給油の一面なのでしょう。
パキスタンは、給油活動の継続より10億ドルの支援と経済基盤の強化への支援により関心があるとみます。

 海自の補給艦と護衛艦の2隻が、はるばる往復45日間もかけて灼熱のインド洋に出向き、タンクローリー30台分程度の給油活動、それも半分はパキスタン海軍への給油、給水とあれば、この国際貢献は民主党ならずとも再考の時期にきているとみて良いでしょう。

 実は対テロ海上阻止活動を任務とするCTF150の指揮権国がなかなか交代しません。現在はフランス海軍が今年(2009年)の4月よりドイツ海軍から引継いで担当しています。本来なら7、8月頃に交代する筈でしたが、インターネットでどんなに調べてもそのニュース資料が出てきません。
したがって現在もフランス海軍が指揮権を持っていると考えられます。
ちなみにCTF150発足以来の指揮権国はカナダ(1)、英国(4)、フランス(6)、パキスタン(2)、ドイツ(2)、スペイン(1)、デンマーク(1)、オランダ(1)が受け持ちましたが、現在、カナダ、スペイン、デンマーク、オランダは撤退したようです。

 僕は順番としては、8月にパキスタン海軍に引継ぐのが順当だと考えていたのですが、パキスタン側の何らかの事情で引継げず、多分10月頃に英国に引継がれる可能性があるとみています。
パキスタンでは、国民の8割が米国主導の活動に参加することに反対していると報道されています。ザルダリ政権も厳しい舵取りを要求されているのです。
インド洋における海上自衛隊の給油活動が停止すれば、パキスタン海軍がCTF150から離脱することも考えられます。

 いや、CTF150の活動そのものが、曲り角にきているのかもしれません。
最近米国第5艦隊ホームページにもその活動報告がめっきり減りました。
活動参加国による麻薬押収等の活動実績も、いま一つはっきりしません。

ともかく、今日の毎日新聞夕刊を読む限り、日本のインド洋給油継続は無くなったと結論付けて良いと思います。
 
 マスコミはインド洋給油もアフガニスタン支援の選択肢、そして多大な国際貢献との視点での報道を続けていますが、給油活動の真実の姿を伝えたことは、過去も現在も一度もないのです。
同じ事は、海上自衛隊によるソマリア沖の海賊対処活動にもそのまま、当てはまります。イラクでの航空自衛隊による空輸支援もそうでした。


 インド洋給油を中止するなら、それに代る具体的な支援策を早くまとめろなどと書きたてますが、僕はいままでの報道経過から、マスコミよ、なにを偉そうに言うかとの気持があります。
パキスタンについては、米国の「非軍事支援法案」の支援条件で、それでなくとも対米追従路線に反対する声が強い国内が大きく揺れそうで先が読めません。
これはアフガニスタンの安定とも密接な関連があり、予断を許しません。

 米国追従に終始してきた日本の姿勢を方向転換する難しさ、米国への配慮、アフガニスタン問題に関しては米国は一枚岩だと書いている右派系言論人がいますが、その説が疑問符などを超えている米国内の現実があります。
ドイツ、オーストラリアなどもアフガニスタン派兵に反対する国民の声が高まっています。

 日本の進むべき道について、いろいろ書きたい事はあるのですが、なかなかまとまりませんので、今日のところはここまでとします。

僕は7月29日のブログ「民主党のインド洋給油継続方針---その(3)派遣期間の考察。何故、第7次派遣部隊は出港しない」で、日本の給油活動継続は無いだろう。
海上自衛隊もそれを望んでいるとの大胆な、というよりかなり無茶な推測からその結論を出しました。

 「給油活動も残すところあと3ヶ月、長い連載もまもなく終ります。」

(写真は、パキスタン海軍が中国に依頼して建造し、就航している新型フリゲート艦の1番艦251Zulfiqar。
他に同型艦3隻を建造中で、2013年までに相次いで就航する。
その他にも、同クラス叉はもう少し大型の艦を4隻建造する予定がある。
各国、特に日本から多額の支援を受けている国が、一方で軍備増強を進める事への抵抗も感じる。
パキスタンと中国は、必ずしも友好関係にあるとは言えないのに、軍事力増強に協力するところなど、理解でき難い面もある。外交は難しい。
しかし、中国といえば、ソマリア沖で海賊対処の任務についている海上自衛隊の護衛艦が護衛に当てっている船舶の運航会社の国籍で、現在、
日本に次ぐ第2位は中国である。ほとんどこれも報道されることは無いが、これには複雑な思いの人達もいるだろう。
しかし、2年前にあれほど新聞、雑誌で給油活動継続を唱えた人達が、この時期まったく沈黙したのは奇異に感じられる。)

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