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2009年10月12日 (月)

海上自衛隊インド洋給油その20(9月)---インド洋給油の現状をマスコミは報道していない

連載企画「インド洋給油その20です」
海上自衛隊発表の平成21年9月1日から9月30日までの給油量です。

パキスタンフリゲート艦     5回 (58)  710KL  (8180KL)
  フランス駆逐艦       1回 (23)    55KL  (2415KL) 
  フランス補給艦       0回 (2)     0KL  ( 1370KL) 
  ドイツ駆逐艦                  0回 (11)    0KL   (1845KL)
  カナダ駆逐艦        0回 (8)     0KL  (1915KL)
  米国駆逐艦         3回 (11)  1195KL   ( 5575KL)
  英国駆逐艦         2回 (10)   275KL   ( 1500KL)
  ニュージーランド駆逐艦  0回 (1)     0KL  (310KL)
  デンマーク艦         0回 (4)     0KL   (1130KL)   
                                                  合計    765KL (24240KL)

800px1_320 インド洋給油継続をめぐり、原則的に中止の判断をしている民主党新政権の対応が連日報道されていますが、給油活動の現状については、何故かほとんど報道されません。(これは、海自艦が護衛している船舶の国籍など、意外な展開がみられる海賊対処行動についても言えます。)

 これから、給油継続の是非が論議される事が多くなることを踏まえて、最近の給油事情を少し書いてみたいと思います。

 このところ、毎月のように書いているので、また書くのかと言われそうですが、保守系の言論人がインド洋給油について「海上阻止行動に従事する米国を始めNATO諸国艦艇への給油、給水活動」などと書くのは、今やまったく間違いと言えるでしょう。

9月もまた、海上自衛隊の補給艦(現在は第6次派遣海上支援部隊の「おうみ」)からの給油はパキスタン艦艇へ5回、指揮権国であるフランス艦艇へ1回という状況でした。
そして給油量も765KLと少ない量でした。(かってイラク戦争当時、米国艦艇への1ヶ月の給油量が2万KLもあった事から考えると、隔世の感ありです。)
765KLというのは、町を走るタンクローリー車約30台分弱の量と考えるとわかりやすいでしょう。

そして、その給油量の93%がパキスタン艦艇へのものです。
確か、7月の報告でもパキスタン艦艇への給油が83%と書いたのですが、これが現在の給油活動の実態です。

 給水についても同じです。昨年(2008年)2月の給油活動再開以来の全給水量は3860t(トン)にもなります。
陸上自衛隊が保有し、災害などに派遣される3トン半型給水車に換算すると約800台分になりますが、その実に99%がパキスタン艦艇への給水です。はっきりいって給水活動についてはパキスタン艦艇だけのものといえるでしょう。(カナダ艦艇と、英国艦艇に各1回づつ、計30tの実績があります)

その、パキスタン海軍なのですが、米国の恫喝的な要求も(裏付け報道あり)あり、イスラム圏唯一の対テロ活動の参加国ですが、いまひとつ対テロ海上阻止行動の活動状況が掴めないのです。インターネットなどからも、情報が得られません。

 パキスタンの海軍力は海上自衛隊とは比較できないくらいの小規模海軍ですが、それでも保有する6隻のフリゲート艦のうちの1隻をCTF150に参加させているとしています。(これは自公政権時代に国会で報告されました)


 なぜ、フリゲート艦1隻の活動国が、全給油量の34%を占め、毎月6000万円にもなる援助を続ける状況にあるのか、そして皮肉な事に国民の8割が米国への協力に反対しており、日本の給油活動をほとんどの国民が知らないという厳しい現実もあるのです。
 
 今後のインド洋給油継続論議に欠かせない、日本のアフガニスタン、パキスタンへの民生支援をどう位置付けるかを考える際に参考になればと思い、少し脱線しますがパキスタン海軍について調べてみました。

パキスタン海軍はフリゲート艦6隻の保有といっても、全てイギリス海軍の古い払い下げ艦を修復した艦であり、性能的には新造艦が配備される日本の護衛艦の比ではありません
ただ最近は、インド海軍との対抗意識もあり、中国に建造を発注した新型フリゲート艦4隻のうち、1番艦Zulfiqarが2009年から配備され戦力増強がはかられています。

残る3隻のうち、2番艦Shamsheer、3番艦Saihの2隻は中国側の造船所で建造されますが、4番艦はパキスタンのカラチの造船所で、中国側の技術協力のもとで建造され2013年には就航の予定だそうです。
他にも、この4隻と同クラスまたはもう少し大型のフリゲート艦4隻も建造予定があるようで、この10年ほどで、多額の軍事予算の投入でパキスタン駆逐艦隊はかなり近代化され増強されるはずです。

そんなパキスタン海軍の中の、フリゲート艦1隻がCTF150に参加して、どんな活動をしているか掴めないまま、インド洋全給油量の34%もの補給をしているのです。
米国との複雑な利害関係に揺れるパキスタンです。今、補給が悪いとは断じないでおきましょう。
ただ、自国の海軍基地へ2、3日で戻れる場所で活動しながら、9月にみられるように5回の補給回数と710KLの給油量には疑問符がつきます。
1隻というのは、艦艇が任務を次ぎ次ぎに交代しながら補給を受けに現われると言う事でしょうか。

一昨年4月から8月にかけてOEF-MIOの指揮をとったパキスタン海軍イクバル少将からの「日本のパキスタン海軍への艦艇用燃料、航空用燃料、乗員の生活を維持する真水(飲料水)の補給に感謝する。パキスタン軍艦はガスタービンエンジンを運転するために高品質の艦艇用燃料が必要であり、ほぼ100%を海自補給艦に依存している。」との発言がこの状況を説明する鍵になると考えますが、検証はもう少し先にしましょう。

補給支援特措法に基づく海上自衛隊の海上阻止活動の支援は、海上自衛隊のホームページに次ぎのように書かれています。
「海上自衛隊は、国際テロを防止する艦艇が頻繁に寄港しなくても、長期間の活動が継続できるよう、燃料や水を洋上補給することで、海上阻止活動を支援します」‐‐‐原文のまま

この趣旨から言うと、自国海軍基地が近いながら、最大給油量のパキスタン艦艇は除外してもよい筈です。
すると米国と英国艦艇が集結した8月をのぞき、6月はパキスタンだけですから補給無し、7月、9月にフランス艦艇のみに補給するだけで良かった事になります。
このフランス海軍は現在のCTF150指揮権国です。
その旗艦は補給艦です。CTF151などの活動に従事しているフランス艦艇は、この艦から補給を受けています。
この補給艦がまた、海上自衛隊の補給艦から給油を受けているといった、ややこしいことにもなっているのですが。

「対テロ国際包囲網」にパキスタンを加えておきたいという米国の圧力による、パキスタン海軍への支援といった形での給油であれば、これからの給油継続の是非の論議の中で、別の支援策もあるのではと、この問題はいちど検証しなおす必要があります。   書きかけ-----明日に続く
(写真は、よくテレビの海上自衛隊による給油活動画面に登場する、おなじみパキスタン海軍フリゲート艦D-185チップ・サルタン)

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