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2009年9月11日 (金)

海上自衛隊インド洋給油その19(8月)---CTF-150指揮権国の交代は?

連載企画「インド洋給油その19です」
  海上自衛隊発表の平成21年8月1日から8月31日までの給油量です。

パキスタンフリゲート艦     2回 (53)  225KL  (7465KL)
  フランス駆逐艦       0回 (22)    0KL  (2360KL) 
  フランス補給艦       0回 (2)     0KL  ( 1370KL) 
  ドイツ駆逐艦                  0回 (11)    0KL   (1845KL)
  カナダ駆逐艦        0回 (8)     0KL  (1915KL)
  米国駆逐艦         3回 (11)  1195KL   ( 5575KL)
  英国駆逐艦         2回 (10)   275KL   ( 1500KL)
  ニュージーランド駆逐艦  0回 (1)     0KL  (310KL)
  デンマーク艦         0回 (4)     0KL   (1130KL)   
                                                  合計  1695KL  (23475KL)

Oumi_320 8月は、海上輸送阻止活動を行っているCTF-150(第150合同任務部隊)の指揮権国であるフランス海軍艦艇への補給がありませんでした。

 米国海軍第5艦隊司令部所属のCTF-150の指揮権は、以前は6ヶ月交代だったのですが、負担が大きい事を配慮して、今はだいたい3ヶ月毎に交代しています。
Suzunami 2008年2月3日~6月3日 フランス海軍
2008年6月3日~9月15日 カナダ海軍
2008年9月15日~2009年1月13日 デンマーク海軍
2009年1月13日~4月9日 ドイツ海軍
2009年4月9日~       フランス海軍


 この交代期限からいえば、フランス海軍も7月には交代すると思われていましたが、いまだ指揮権委譲の情報がありません。

米国艦艇には、昨年2月の給油再開以来、給油量は5575KLと全給油量の23%を占め、パキスタンの31%に次いで多いのですが、補給回数は11回と少なく、1回あたりの補給量が多い特徴があります。

 ちなみに今年の8月以前の米国艦艇への補給は、1月に1回、3月に1回と2回しかありません。
どちらも、バーレーンにおける指揮権国委譲のセレモニーと合致します。

 推測になりますが、英国艦艇が3ヶ月ぶりに補給を受けにきたこと、米国艦艇が集合した事などから、ことによると英国への指揮権委譲が行なわれたのかもしれません。調べてみることにします。

 常連、パキスタン海軍ですが、これについては、毎月同じような事を書いていますので、今月は別の資料の引用してみます。

「インド洋における協力支援活動に連絡官として従事した、バーレーンにある米海軍第5艦隊司令部に勤務していた経験のある海上自衛隊2等海佐 前田 嘉則氏がパキスタンについてこう語っています。」

「パキスタンはイスラム国家として初めてOEF-MIOに参加し、継続的に艦艇と航空機を派出しています。
パキスタンからはイムティアズ海軍少佐が連絡官として派出され、一緒にF2C2で勤務した友人です。
パキスタンは英国で建造されたガスタービン艦を6隻保有し、北アラビア海に交代で派出しテロ撲滅作戦に参加しています。
彼は、私の帰国直前のF2C2ミィーティングで海自の支援に感謝を表明するとともに昨年4月から8月にかけてOEF-MIOの指揮をとったパキスタン海軍イクバル少将からの
「日本のパキスタン海軍への艦艇用燃料、航空用燃料、乗員の生活を維持する真水(飲料水)の補給に感謝する。パキスタン軍艦はガスタービンエンジンを運転するために高品質の艦艇用燃料が必要であり、ほぼ100%を海自補給艦に依存している。」

この文章は、CTF-150に参加しているパキスタン海軍にたいする、日本政府の説明と異なる見解であり、かなり重要な問題が含まれています。海上自衛隊のバーレーン駐在連絡官だった2等海佐がこの程度の現状認識かと驚くのですが、これは後日検証しましょう。

9月9日に、米国防省のモレル報道官は記者会見で、海自のインド洋給油について「活動継続を望む。日本は大国であり国際的な責任がある」と述べたと報道されました。

これは、海自の補給活動の海上阻止作戦における貢献度の高さを述べたというより、日本の支援活動全体について語ったと考えます。

ひとつは、米国内のアフガニスタンにおける戦闘への厭戦機運の高まり、ドイツ、オーストラリアなど参加各国の派遣継続への黄信号点滅などあります。
ドイツの最近の世論調査では、約6割がアフガンへの軍派遣継続に反対し、賛成は約3割と報じられています。(9月9日毎日新聞朝刊)
このような情勢での、日本の海自撤退がもたらす「対テロ国際包囲網」からの日本の離脱への危惧、アフガニスタン支援国の減少の影響を警戒している事があります。

もうひとつの側面は、米政府が、昨年10月にアフガニスタン国軍育成のための費用として、少なくとも約70億ドル(約1兆7000億円)の負担をアフガンに戦闘部隊を派遣していない日本や北大西洋条約機構(NATO)加盟の同盟国に求めたことです

 この時も、同じモレル国防総省報道官が、日本にはすでに費用分担を要請しているとしたうえで、「170億ドルの費用について、だれかが費用を払わなければならない。アフガンに軍隊、特に戦闘部隊を派遣することに消極的な国は、財政的な貢献をすべきだ」と語っています。

社民党が民主党と連立を組むにあたり、インド洋に派遣されている海上自衛隊については「実状を速やかに検証」「期限内に撤収できるよう努める」をぎりぎりの譲歩としていたのを、最後の調整で海自の期限内撤退を削除したのは賢明なことと思います。
「実状を速やかに検証」は、民主党政権下で進められるでしょう。

このところ、何度も書いていますが、「民主党よ、多いにぶれなさい。野党の立場と政権を取った場合とでは、諸外国との関係が著しく変わります。主張する「対等な日米関係」にも難問が立ちはだかります。
短期、長期の政策を練り、いやらしいほど、柔軟に、粘り強く事に当りなさい。
二枚腰を使いなさい。開き直りなさい。
その基本は、国民の為の政治であり、イラク戦争、インド洋給油、海賊対処などで自公政権に見られた民意を問わない、説明しない、隠す、ごまかすなどがなければ、国民は理解します。

米国からのアフガニスタンへの支援費用負担については、福田内閣当時、前向きに検討するくらいの解答をしたかもしれません。僕は密約にいたるまでの接触は無かったと考えます。

しかし、米国のモレル報道官の記者会見での発言に、自民党政権のようにすぐ反応する事はありません。

国防省の報道官レベルが、他国の政権方針に対して、このような圧力的発言をするのは、いつもみられる米国のおごりです。新政権の対応として、ちょっとくぎをさすのも良し、無視するのでも良いでしょう。それよりは、
「真にアフガニスタン国民のために役立つ日本の貢献を、じっくり考えましょう。」


 インド洋給油については、僕は7月29日のブログ
「民主党インド洋給油継続方針‐‐‐その(3)派遣期間の考察。何故、第7次派遣部隊は出港しない」で結論を出しています。

(写真上、現在インド洋給油活動中の第6次派遣部隊の補給艦「おうみ」)
(写真下、同、護衛艦「すずなみ」)

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コメント

失礼ながら、実情を把握していないと思っていましたが、給油活動末期の状況、海賊対処活動がずるずると拡大される様子など、安保法案との繋がりを暗示していましたね。

投稿: | 2015年6月10日 (水) 22時49分

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