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2009年7月 1日 (水)

映画「剣岳点の記」を見ました

Turugi1_320 映画「剣岳点の記」を見ました
 「剣岳点の記」

 観客の入りも良く、評価も高いようですから、ここに書き難いのですが、僕の見た感想です。
山好き、剣岳に思い入れの深い僕でも、この映画を見る事を人には薦めません。
 
 いつもの星★☆採点を先に書きます。
   星★★★ 3個です
  文の最後おまけ星☆一つ    

 このところ、「グラントリノ」以来、映画採点をしていなかったので、僕なりの評価基準をあらためて書いておきます。 好き嫌いの多い、全くの素人評価と受けとってください。
 「映画評価」
 星★★★★★      5   傑作
 星★★★★    4  秀作    
 星★★★☆  3+1  佳作    
 星★★★      3  良作(まあ普通)
 星★★       2  凡作
 星★         1  駄作
 (全てに☆一つのおまけが付く事があります。今までに★5、★2や★1をつけた映画はありませんでした。すみません、星★★★3も少ないのです)
  
 さて、「剣岳点の記」です。
監督・撮影:木村大作
原作:新田次郎
製作:坂上順、亀山千広
プロデューサー:菊池淳夫、長坂勉、角田朝雄、松崎薫、稲葉直人
脚本:木村大作、菊池淳夫、宮村敏正
美術:福澤勝広、若松孝市
編集:板垣恵一
音楽:池辺晋一郎
出演:浅野 忠信 :柴崎芳太郎(陸地測量部測量手) 
     香川 照之 :宇治長次郎(測量隊案内人)
     松田 龍平 :生田 信(陸地測量部測夫)
     宮崎あおい :柴崎葉津よ(柴崎芳太郎の妻)
     仲村トオル :小島 烏水(日本山岳会)
     役所 広司 :古田 盛作(元陸地測量部測量手)
     小澤 征悦 :玉井要人(陸軍参謀本部大尉)
     笹野 高史 :大久保徳明(陸地測量部長)
     石橋 蓮司 :岡田佐吉(館山温泉宿主人)
     國村  隼 :矢口誠一郎(陸軍参謀本部中佐)
     井川比佐志 :佐伯永丸(芦峅寺衆総代)
     夏八木 勲 :行者
上映時間:2時間19分
配給:東映

 ストーリーや製作に関しては沢山の情報がありますので、省略します。
先ず、この映画、脚本の出来がとても悪いと思います。原作もただ、未踏の剣岳に登るだけの筋なので、ドラマにはならないとしても人物像が描かれていないし、予告編にある感動の人間ドラマもありません。
例えば、映画の主要なテーマである主人公の測量士、柴崎芳太郎が何故未踏の剣岳登頂者に選ばれたのかが、いまひとつ説明不足だし、山案内人の宇治長次郎と息子の軋轢が和解にいたる様子もしっくり伝わりません。

この映画の大事な要素の一つである、明治期の山案内人や黎明期の日本山岳会の事なども、その歴史を知らない人が見たら、この映画からは理解する事はできないでしょう。

 地図作成の為に、剣岳に登る過程はわかるのですが、映画を見る人には、地理的説明が不足して、登攀路を求めて、どう苦労しているかがわかり難いし、困難のわりには、最後に三の沢雪渓(その後、案内人、宇治長次郎の名をつけて長次郎雪渓と呼ばれている)から、なんともあっけなく頂上に到達してしまうのも合点がいかないでしょう。

 登山場面も、意味無く岩を攀じて、滑落したり、悪天候、暴風雨のシーンが多すぎたり、立ちはだかる岩壁に登路を求める困難さも伝わりません。
盛りあがってよいはずの、頂上に至る三の沢雪渓を抜けて、難しい岩場を登攀する場面もないので、頂上直下で長次郎が初登頂の順位を譲る場面の迫力がありません。
 後日、登頂した日本山岳会隊と山頂との間で手旗信号を取り交わす場面も、その文言もちょっと嘘っぽい設定で感動がわきません。

 伝えられるように、撮影にいかに苦労したかは、わかりますがその努力が映画から伝わってきません。

 評価すべきは、剣岳の美しい映像です。
望遠レンズを使っての登山シーンにも見るべき場面が多いし、これだけを見て満足すると言う人も多いと思います。

俳優の浅野忠信さんと香川照之さんは、役にはまって熱演です。

 映画としては、木村大作さんの記念すべき初監督作品であり、敬意を表すべきところですが、宣伝に自讃が多すぎるので、あえてきつく言わせて頂きます。
情熱の名カメラマンと言えども、優れた映画作りをする事は難しい事なのだと感じました。カメラに力量が傾きすぎたのかも知れません。よい映像を撮りたい気持が強く出すぎて、映画としての掘り下げが弱くなった作品だと、僕は感じました。

 首を傾げたくなるような個所がかなりある、粗い脚本ながら、美しい景色と共に、記憶に残る映画となった「おくりびと」は、人間が描かれていました。
監督としての評価は、この作品を見る限り、合格点はつけられません。本当に映画製作は難しく厄介です。

 剣岳の長次郎雪渓上部の岩場をうろついていた、若き日の想い出が強いので、つい厳しい評価になったかも知れませんが、この原作、また別の映画作品として登場する事を願っています。
実は同じような題材で、江戸時代に槍ヶ岳に初登頂した播隆上人の物語が、いつか映画化しないものかと期待しているものですから。

 やはり最後に、厳しい自然と戦って、渾身の映画作りをした「点の記組」の監督、スタッフ、俳優の皆さんに敬意を表して、おまけ星☆を加えさせて頂きます。
  剣岳の素晴らしい映像をありがとう。

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コメント

全くあなたに同感です。

投稿: | 2009年7月 9日 (木) 10時22分

11万人が見た富山県人ですが、私も全く同感です。人が全く描けてないし、立山信仰の事も説明不足だし、初登頂の時や、錫杖が見つけたときなど
ガーンとくる衝撃があってもいいだろうと思いましたが、残念です。 時間と映画代 もったいなかったです。

投稿: たま | 2009年8月 5日 (水) 15時44分

>たまさま
建築設計がその最たるものですが、著名な人の作品や演技には、提灯評論が多いのです。映画、特に演劇分野にも目立ちます。
この映画の場合も、名カメラマンの監督作品だというだけで、評論家が高得点をつけたため、多くの観客が惑わされてしまったと僕は思います。

投稿: Souroku | 2009年8月26日 (水) 12時16分

はじめまして、この作品を最近ようやく見て、かなり肩すかしをくらい、2年越しの想いを鎮めるために、ネットを彷徨っていたら、こちらに辿り着きました。(笑)

情熱を感じる映像だけに、歯痒く惜しい気持ちになってしまいます。
エピソードも話を拡げるには十分なものが幾つかあるのだから尚更その思いが強いです。

>>情熱の名カメラマンと言えども、優れた映画作りをする事は難しい事なのだと感じました。
ほんと、そうですね。 

投稿: | 2012年4月26日 (木) 05時25分

>さま
拙いブログをお訪ねいただきありがとうございます。
<肩すかし>との感想、この作品そのとおりだと今も思っています。日本映画も良く見ているのですが、ブログで紹介する気持ちの失せる作品、星印うんぬん以前、ようは肩すかしですが、それが多いのが残念です。

投稿: Souroku | 2012年5月 6日 (日) 11時04分

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