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2009年4月27日 (月)

ソマリア沖海賊---護衛艦の現状  乗艦隊員は3ヶ月で全員入れ替え---デンマーク海軍多目的支援艦アブサロンその3(4月26日の続き)

Absalon_320 「柳瀬川通信:報道部」
ソマリア沖海賊---護衛艦の現状


<4月26日の続き>

デスク「護衛船舶が、平均2.9隻か。おいおい、2隻の護衛艦で1隻の貨物船の護衛かい。確か、派遣前に、2隻ではローテーションが組めないから、4隻は出したいと言ったお偉いさんがいたよな。」

作山記者「派遣前の政府発表で計算すると、護衛対象の船舶は4日間の1往復で、20隻の船団になるはずでした。現800px1_320実にはその3割にも達していないのです。」

男川記者「作山さん、少ないわけを解説してください。」

作山記者「政府も海上自衛隊もこの件に関しては護衛船舶数以外の何の発表もしていないから、あくまで憶測ですが。

護衛艦派遣に関して、国土交通省の「海賊対策連絡調整室」の発表によると、「これまでに計2595隻から警護の希望が寄せられており、同省は、2隻の護衛艦では対応しきれないとして、P3C哨戒機による空からの警護を実施する方向で調整している。 」

ここまで、言ってたんだから、護衛派遣1ヶ月、10回の護衛活動の節目に、何らかの現状説明をしてくれても良いのですが、都合の悪い事は一切発表しないことは、対テロ対措法による給油活動で我々は身にしみて実感しているよね。

 さっきも言ったように、世界不況の影響で、運航される船舶の数が減っている。これは事実だと思います。
貨物等のデーターは入手していないのですが、自動車専用船に限れば、9分の1に減ったと教えてくれた船会社もあるんです。
それと船舶の運航と警護活動のスケジュール調整が出来ない。

 そんな事、なぜ、検討していかなかったんだと言えば、そのとおりなのですが、ともかく、派遣ありきで、法整備もせずに「海上警備行動拡大解釈」で飛び出してしまった。
 
ここから少し脱線するよ。
もちろん派遣の前提として、海賊対策を前面に出しているが、その裏には、自国の権益擁護の為の治安活動の拡大と、欧米と並んで、中国に対抗して中東での軍事的覇権争いへの参加など、極めて危険な性格を持つ、過去に例をみない自衛隊派遣に踏み出したと言えるのではないでしょうか。
P3C哨戒機による警護と言っているが、これについては、日本共産党の赤嶺政賢議員が4月22日の衆院「海賊対処」特別委員会で、海賊情報を上空から収集するとして政府がソマリア沖への海上自衛隊のP3C哨戒機二機の派遣準備命令を出したことについて、「情報は海賊だけにとどまらない。ソマリア沖で活動している米軍の軍事作戦全体を支援する危険がある」と追及したけれども、かなり核心を突いた質問でした。

 イラク戦争当時の、イージス型護衛艦派遣とまったく同じ構図で、本音と建前の使い分けは皆知っているのに、なぜかまかり通ってしまう現実があるのです。
この「海賊対策」の機会を逃すなといった、いけいけどんどん的風潮が強く感じられます。

さて、話しを戻すとして、海上自衛隊の護衛艦2隻は、常に組んで行動しています。
 アデン湾のサラーラ沖からジブチ沖までの往復1600kmに4日かけているんだが、護衛艦が到着するまで待機している船舶は少ないようで、護衛無しで航行したり、他の船団に追尾している船もあるらしい。
一部、喜望峰回りのルートに変えた船舶もあるという情報もありますが、確認が取れていません。
また、船の大小、速度も関係して一つの船団にまとまり難い事情もある。このあたりの事は、3月14日の記事(ブログ)で警鐘を鳴らしておいたんですがね。

 余談になりますが、船会社の運航担当者の話では、厳しい経済危機のなかで、燃料の節約は採算収支の重要なポイントで、燃費効率の良い速度で航行している船の速度を2倍に早めると、燃料消費量が4倍にもなるらしい。8倍にもなる船もあるそうだ。
これ、我々が使っている乗用車でも、経済速度があるのと同じだと言っていたよ。
 
 日本の港に入る際も、混雑していてすぐに入港できない場合もあるらしい。そんな時は、運航担当者が、船長に漂流に近い状態で燃料節約をして欲しいとお願いするそうだ。厳しいものがあるんだね。燃費など無関係の護衛艦と民間会社の違いは大きいよ。
もういちど、船舶の運航状態や護衛艦の単独行動なども考えて、護衛のあり方を再検討したほうが良いと思うよ。」

デスク「その一方、船会社側にも船舶の安全運航に対する自己責任が求められるね。
作山クンが言った、船会社の経済効率もわかるが、自主警備策や、航路の変更、船会社同士の連携、情報共有など、危険海域に船を運航させている以上、そのリスクを避けるための船会社の取組みも必要だね。

 デンマークの船会社は、タンカーをアフリカの喜望峰迂回に変更すると発表したが、船会社の強い要望による経済効率だけを取り上げて、自衛隊を出せば良いという論議ではなく、国益全体を考えた調整も必要だと思う。
さもないと、自衛隊の海外派兵や、武器使用などそうでなくとも、なし崩し的に危険な方向にもっていきたい勢力を勢いづかせるばかりだよ。この辺の論議はあまり報道されないが国民には是非知ってもらいたい事だよ。」

超美仁記者「いつのまにか、インド洋に4隻もの日本海軍じゃない自衛隊の艦艇が集結、行動するようになり、いつまでという期限もわからない
そのうえ、厚木基地第4航空群に所属するP3C哨戒機2機までが、ジプチ国際空港に派遣される事になった。
政府の2隻の護衛艦では対応しきれないとして、P3C哨戒機による空からの警護を実施する方向で調整している。 」この説明は、2隻の護衛艦による護衛が、当初予測の3割である現状からすると、充分対応できているになる。するとP3C哨戒機派遣の説明が成り立たなくなるわけです。でも、またしても派遣することに意味があるという事、すなわち海上に海上自衛隊の艦艇が存在するだけでリスク回避だという説で実施されてしまう。
インド洋給油に加えて、船舶護衛の為に莫大な税金が投入されるわけです。」

男川記者「ジブチを拠点に上空から周辺海域を監視し、海賊船の情報を民間船や護衛艦、他国艦船に提供する為という事ですが、もちろんそれだけじゃない。」

超美仁記者「さっき作山さんが言われたように、P3C哨戒機は以前は対潜哨戒機とも呼ばれていた超高性能機です。電子機器も使わない小さな海賊船相手ではもったいない使い方ですが、幅広い軍事情報収集が目的といえます。」

デスク「今や、インド洋付近は各国の情報収集の場となっている。これだけ各国海軍の艦艇が集結して行動するのは稀だからね。
少し前にも、中国駆逐艦を追尾したインド海軍の潜水艦が、逆に中国側に捕捉されて警告を受けて、浮上せざるを得なくなった事件が報道されたね。あの潜水艦の艦長は、首が飛んだろうね。
先日の北朝鮮のミサイル発射の際は、ロシアの情報収集機IL20が、日本海上空に飛来して日米両国のミサイル防衛システムの運用を、しっかりと集めていった。
ロシアにとっては、またとない機会を提供してしまったわけだ。日米両国のダメージは大きいと思うよ。
同じように、P3C哨戒機の目的もそこにあるわけだね。」

作山記者10回の船団航海で29隻の船舶を護したわけですが、そのうち日本籍船がたったの2隻という現状も、日本の海運を考え直す必要がある事を教えていますね。シーレーン防衛以前の問題ですよ。船会社の経済運航優先だけでは、危機管理できない。」

男川記者「護衛艦は常に2隻が一緒に行動する必要があるんですか。海賊対処行動の他の国の艦艇はどうなんでしょう。これは超美仁くんが詳しいよね。」

(写真上、デンマーク海軍多目的支援艦アプサロン)

(写真下、航空自衛隊のP3C哨戒機)

 書きかけ----その4(最終回)に続く。

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