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2009年3月14日 (土)

海上自衛隊インド洋給油その13(2月)----海上阻止給油活動も曲がり角

428px1_320 海上自衛隊発表の平成21年2月1日から2月28日までの給油量です。

<その前に>

1月13日に、海上自衛隊が補給支援活動をしているCTF-150(第150合同任務部隊)の指揮権がデンマーク海軍からドイツ海軍に引継がれた事は、米国海軍のホームページからの引用で2月15日のブログに書いたとおりです。
 
 2月の給油活動の考察の前に、ちょっと書いておきたいことがあります。
日本政府は、給油再開以来、昨年9月に、給油支援国にデンマークが加わったと、そっけなく発表しただけで、補給活動の全容についてほとんど公開しません。

 海上自衛隊のホームページでも、毎月の「補給支援活動の実績について」で給油回数と給油量の報告があるだけで、後はいかに給油活動が必要か、世界か800px1_320ら感謝されているか、支援活動に従事する海上自衛隊の隊員の声などしか掲載しておりません。

 米国のイラク戦争への油の転用疑惑が、国会で問題になり、野党から追求を受けた時も、政府は機密事項保持を盾に曖昧な解答しかしませんでした。
 情報源は米国海軍のホームページその他の資料に、公開されていたにもかかわらずです。
 憲法違反の判決さえ出されたイラクへの航空自衛隊派遣も、その輸送活動の実態が国民にはほとんど知らされることなく、撤退しました。

 ブログに書いたり、どう書こうか温めている情報の、CTF-150のドイツへの指揮権委譲と、CTF-151(第151合同任務部隊)の新設、ニュージーランド、カナダの撤退、海賊対策(CTF-151)への任務のシフト、護衛艦、補給艦の寄港地情報など、皆米国や各国海軍などのホームページや海外からの報道で入手した情報です。

 日本政府、防衛省は国民に知られることを、避けているかのような対応ですし、マスコミもまた、なぜか報道しません。(報道で言えば、沖縄の基地反対運動などにも同じことが云えます。)

 今日の毎日新聞夕刊に、「護衛艦、午後出航」との見出しで、呉基地を出航する予定の護衛艦「さざなみ」「さみだれ」の様子が大きな写真付きで掲載されています。
 確かに遠洋で始めて行なわれる海上警備行動で、(過去2回の海上警備行動の発令は、①能登半島沖の北朝鮮不審船事件(1999年)と②沖縄近海の中国原子力潜水艦事件(2004年))
領海侵犯以外では始めての派遣となる事態ですから、ニュースで大きく取上げられるのもむべかなと思います。
 しかし、海賊対策と今後の別の支援との複雑な問題をはらんでおり、給油支援活動に見られる情報非公開とうってかわった、タンカーを守る護衛艦といった、シーレーン防衛的発想での浮わついたマスコミの取上げが心配です。

さて、少し脱線しましたので、2月の給油活動の考察に戻ります。

パキスタンフリゲート艦     2回 (39)  350KL  (5110KL)
  フランス駆逐艦       3回 (16)  225KL  (1635KL) 
  フランス補給艦       0回 ( 1)    0KL  ( 450KL) 
  ドイツ駆逐艦                  3回 ( 8)   380KL  (1340KL)
  カナダ駆逐艦        0回 (8)     0KL  (1915KL)
  米国駆逐艦         0回 (7)     0KL   ( 4230KL)
  英国駆逐艦         1回 (5)   160KL   ( 695KL)
  ニュージーランド駆逐艦  0回 (1)     0KL  (310KL)
  デンマーク艦         0回 (4)     0KL   (1130KL)   
                                                   合計 1115KL (16815KL)

やはり、指揮権任務を離れたデンマーク海軍の、軍艦とは思えない瀟洒な外観の多目的支援艦アプサロンはCTF-150から離脱して帰国したようで、補給に現れませんでした。

 デンマークに代って指揮権を持ったドイツ艦艇が3回と多いのは、任務上うなずけます。フランス、英国艦などへの補給が増えたのは、先月も触れたように、海上阻止活動に従事していた艦が、任務を海賊対策にシフトしてきている事と無関係ではないように思えます。比較的狭い海域で行われていた、給油活動範囲が広がってきたのだと思います。
 ゆえに、毎週のように給油に現われ、海上阻止活動任務が、いまひとつつかみ難かったパキスタン海軍の2隻のフリゲート艦(P181とP185)とは、補給地点の回合場所で折り合いがつかなかった為、少なかったとみます。
 各国艦艇の任務が海賊対策にシフトしてきていると書きましたが、海上自衛隊の補給艦はテロ対策を行っているCTF-150の各国艦艇には給油は出来ても、同じCTF-150であっても海賊対策に従事している艦艇には補給できないのです
それは新テロ対措法にはっきり謳っており、法律上出来ないのです。イラク戦争時に米軍艦艇への多量の給油と同じで、転用問題になるのです。

 この辺が曖昧なまま、補給艦の活用として、海賊対策で派遣される日本の護衛艦2隻への補給も始まります。
 テロ対措法で派遣されているインド洋の補給艦の活用は、自衛隊法82条の海上警備行動の発令に基づくもので、日本の護衛艦に給油することは法制上問題はないとされています。しかし海上警備行動が、海賊対処法案に引継がれた以後の場合のことに触れた報道は見当たりません。

 海上自衛隊のソマリア沖派遣は、まず派遣ありきの政治判断が優先されています。
その派遣護衛艦との連携が、インド洋給油支援活動に求められるようになり、また、各国艦艇への給油も新テロ対措法に違反する事態も生じており、最盛期の10分の1以下となった給油量の減少とともに、いま、海上阻止行動の給油支援を再考すべき曲がり角に差し掛かったと見るべきでしょう。
(写真上、ソマリア沖海賊対策のため、今日の午後、出航した護衛艦「DD-113さざなみ」
(写真下、同、護衛艦「DD-106さみだれ」

「追記」
インド洋給油とソマリア沖海賊対策が、ごちゃごちゃになった文になってしまったようですが、ソマリア沖海賊対策については、もう少し情報が集まってから書く事にします。
今日のブログにも書きましたが、先ず派遣ありきの対応で、
自衛隊法82条に基づく海上警備行動の発令で、今日の午後、2隻の護衛艦が広島・呉基地を出発しました。
政府は閣議決定した
「海賊対処法案」をなるべく早く国会成立させ、海上警備行動から、新法に派遣の根拠法を切りかえる方針です。しかし、新法の成立もまだ見とおしが立っておらず、曖昧、なしくずしと云われている現状です。
4月上旬から、アデン湾での日本船舶の護衛を開始すると言っておりますが、
2000隻以上にのぼる日本関係船舶を、1000km以上の海域で、いったいどの様に護衛するのか、船団方式といっても2隻の護衛艦での具体的な検討もなしに出航したのですから、混乱は必至だと思います。
インド洋の補給艦との連携とからんで、今後の対テロ補給活動への影響もまた必至と思われます。
<参考>

「自衛隊法」
(海上における警備行動)
第八十二条  防衛大臣は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。


「海賊対処法案の要旨」
一、この法律は海上輸送の安全確保のため海賊行為の処罰を規定し、海賊行為に効果的に対処することを目的とする。

 一、海賊行為とは、船舶に乗り組み、または乗船した者が公海またはわが国の領海・内水で行う次の行為をいう。

 (1)暴行などをして、航行中の船舶を強取したり、船内の財物を強取したり、船内の者を人質にし、第三者に対し財物などを要求する行為。

 (2)(1)の目的で航行中の船舶に侵入するなどの行為。

 (3)(1)の目的で航行中の船舶に著しく接近するなどの行為。

 (4)(1)の目的で、凶器を準備して船舶を航行させる行為。

 一、(1)の行為をした者は無期か5年以上の懲役。(2)か(3)の行為をした者は5年以下の懲役。(4)の行為をした者は3年以下の懲役。(1)を犯した者が人を負傷させたときは無期か6年以上の懲役、死亡させたときは死刑か無期懲役。

 一、海賊行為への対処は海上保安庁が実施。

 一、海上保安官または保安官補は警察官職務執行法7条(正当防衛、緊急避難)の規定により武器を使用する場合のほか、海賊行為を行っている者が制止措置に従わず海賊行為を継続しようとする場合に、船舶の進行を停止させるために他に手段がないと信じるに足りる相当な理由のあるときには、合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。

 一、防衛相は、海賊行為に対処するため特別の必要がある場合には、首相の承認を得て、自衛隊に海賊行為への対処を命じることができる。

 一、首相は(1)(自衛隊派遣の)承認(2)自衛隊の海賊対処行動が終了したときは国会に報告しなければならない。

 一、武器使用の規定は自衛官に準用する。

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