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2009年2月 7日 (土)

ソマリア沖海賊対策ーー海上保安庁派遣が困難である検討内容の公表は? その2

Sikishima_320 前回(2月3日)は次ぎのような観点からソマリア沖海賊対策について書いてみました。

「今回のソマリア沖への派遣は、海上保安庁では対応が困難ということから、海上自衛隊の派遣の方針で進められいます。
しかし、海上保安庁では対応できないと言う具体的な検証が報道されたことがありません。
この際、派遣の是非は別問題として、海賊対策を任務のひとつとして取組んできた海上保安庁のどこに、対応困難な問題があるのか知らしめる事も重要だと考えます。
海上保安庁も、もし派遣要請の検討を求められたら、こういった具体作が可能だという案を出すくらいの心構えを求めたいのです。
先ず、海上自衛隊派遣ありきでなく、海上保安庁の対応など幅広い論議ががなされた後、結論にいたるのが正道だと思います。」

それでは、海上保安庁の派遣の可能性について、少し調べてみました。
 最初に、「写真上」の世界最大の巡視船「PLH31 しきしま」について書いてみましょう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%81%8D%E3%81%97%E3%81%BE しきしま

ーーー続きを書きます 
 
世界最大の巡視船「しきしま」など海上保安庁が派遣可能な艦艇について書きながら、海上保安庁では対応が困難という二つの説について検証してみます。

 その1、ソマリアはあまりに遠いので、海上保安庁の艦船では遠洋航海に向かない。
 その2、ソマリアの海賊は、重武装しているので、巡視船では対応できないから、海上自衛隊の護衛艦の派遣が必要である。

「その1について」

確かに、アデン湾のソマリア沖は、遠方ですが、海上保安庁の保有するヘリコプター搭載型巡視船PLHタイプ13隻は、全て、遠洋航海(国際航海)が可能であると発表されています。13隻のうち、3隻がヘリコプター2機搭載型、10隻が1機搭載型です。(搭載ヘリはベル 212または、AS332L1です。) 

配備状況 (13隻)ー
遠洋航海(国際航海)
第一管区 PLH01 そうや(釧路)、PLH02 つがる(函館)
第二管区 PLH05 ざおう(塩釜)
第三管区
PLH31 しきしま(横浜)、PLH22 やしま(横浜)
第四管区
PLH21 みずほ(名古屋)
第五管区 PLH07 せっつ(神戸)
第七管区 PLH06 ちくぜん(福岡)
第八管区 PLH10 だいせん(境)
第九管区 PLH08 えちご(新潟)
第十管区 PLH03 おおすみ (鹿児島)、PLH04 はやと(鹿児島)
第十一管区 PLH09 りゅうきゅう(第十一管区本部)

特に、2機搭載型3隻のうち、世界最大の巡視船PLH31「しきしま 」横浜海上保安部所属)は、総トン数約7000トンで、海上自衛隊のはたかぜ型護衛艦とほぼ同じ大きさで、平成4年11月から平成5年1月に渡って、フランスからのプルトニウム海上輸送の護衛のために特別に建造された巡視船です。テロリストの攻撃にも耐えられる構造、兵装を持ち日本-欧州間を無給油で行ける長大な航続力を持つと言われます。
他の2隻PLH21「みずほ」、PLH22「やしま」も4000トンの大型巡視船です。
この3隻は、ソマリア派遣に充分耐えられる艦艇です。フィリッピンやオーストラリア、シンガポールに派遣され、海賊対策で各国艦艇と協力した実績も持ちます。

ヘリコプター1機搭載型のうちPLH09「りゅうきゅう」PLH10「だいせん」などの新鋭艦も遠洋航海と海賊対策に派遣されても問題ないと思われます。

ヘリコプター搭載型でなくとも、3000トン型の巡視船PL21「こじま」PL22「みうら」等も、遠洋航海(国際航海)タイプと発表されています。

かように、海上保安庁には、ソマリア沖までの遠洋航海に不向きであるという指摘には、当てはまらない艦艇もあるのです。

Yashim1_320_2

 

Plhmi1_320_3

Plh101_320_2

Kojima1_320_2

書きかけーー続く   2月9日追記
「その2について」
その2、ソマリアの海賊は、重武装しているので、巡視船では対応できないから、海上自衛隊の護衛艦の派遣が必要である。

これは、おかしな論理です。
重武装といっても、実際に海賊が使用している武器がどの程度のものかを、
政府は数日前の民社党との質疑応答でも把握していないと答弁し、報道が重武装と書いていることは承知していると述べるに留まっています。

 マスコミの取上げる重武装とは、どの程度の武装なのかが明確ではありません。
通常、自動小銃などに加えて、ロケットランチャーも持つ重武装集団という表現が多いようですが、携行型のロケット砲を持つと重武装なのかという論議、すなわち武装程度の基準は見解が出ていません。
これは、海上自衛隊も海上保安庁も同じです。
対戦車、装甲車用のロケットランチャーは、今や香港の暴力団も持っているとされます。

そんな論議は意味がないという意見もあると思いますが、参考までに海上保安庁資料により
日本海で海上保安庁の巡視船「いさな」が撃沈した北朝鮮工作船の所有していた武器をあげてみます。
この兵器類を見ると、もはや不審船、工作船、いやテロ集団以上に、もはや軍隊です。巡視船で対応するには、危険過ぎるという意見に疑義はありません。

この事件以後、海上保安庁は北朝鮮工作船に対応する訓練、装備の拡充を図っていますが、工作船に対する、海上自衛隊との分担が明確に伝わってきません。
このへんが、今度の海賊の重武装との係りになってくると思いますし、今後の重要な課題だと思いますから、是非論議して欲しい事項です。
 
<参考> 
平成15年3月14日  海 上 保 安 庁
「九州南西海域における工作船事件の全容について」より

D) 犯罪供用武器その他の武器類について
  次の武器類を押収し、政府関係機関に鑑定嘱託した結果、いずれも殺傷能力のある武器等であり、特に以下のア~オに掲げるものには時期不明なるも使用(発射)した痕跡が認められることが判明した。
ア 自動小銃 4丁(一部分回収を含む。)
  口径5.45㎜、AKS-74銃と推定、北朝鮮製と推定
  実包 84発
  空薬きょう 5個
イ 軽機関銃 2丁(一部分回収を含む。)
  口径7.62㎜、7.62㎜PK機関銃と推定、北朝鮮製と推定
  実包 219発
  空薬きょう 10個
ウ 2連装機銃 1丁
  口径14.5㎜、対空機関銃ZPU-2と推定、ロシア製と推定
  実包 752発
  空薬きょう 6個
エ ロケットランチャー 2丁
  口径40㎜、85㎜ロケット弾PG-7系用弾薬の発射機と推定、北朝鮮製と推定
  弾頭 4個(一部分回収を含む。)
オ 無反動砲 1丁
  口径81.75㎜、82㎜無反動砲B-10と推定、ハングル文字の刻印あり
  砲弾は82㎜無反動砲用りゅう弾及び対戦車りゅう弾
  砲弾 6個
カ 携行型地対空ミサイル 2丁(一部分回収を含む。)
  口径56㎜、携行型地対空ミサイルIgla(イグラ)-9M「88」、ロシア製
  弾頭 2個
キ 手りゅう弾 8個(一部分回収を含む。)
  名称、型式及び製造国を示す刻印又は表示等はなく不明
ク 爆発物 2個
  名称、型式、製造国不明、装填火薬はTNT及びRDXによる混合爆薬(2個のうち1個の容器を除く爆薬重量は12㎏)
  また、銃撃時の状況、ビデオ解析結果、鑑定結果等から総合的に判断して、本件の凶器として使用された武器は、上記ア~エに掲げる武器であると特定した。
 これらの写真も発表されていますが、それよりも全体像が掴めるホームページを紹介します。  
 http://homepage3.nifty.com/tompei/NorthKoreaShip.htm とんぺいの機械博物館

書きかけーー続く(もう少し調べてから追記します)


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コメント

情報提供です。
>海保職員は既にソマリア周辺国に海賊被害調査に行ってます。結果は、海賊がRPG7(対戦車ロケット)を保有しているため、巡視船・海保職員の能力を超えるものと判断されています。※北朝鮮の工作船が保有し、東シナ海では巡視船に対して射撃しています。
>ヘリ搭載型の大型巡視船は、確かに遠洋の警備に適していますが、尖閣諸島の警備強化に配置されます。遠洋の警備よりも、自国領土優先です。
>周辺諸国の沿岸警備強化のため、政府開発援助(ODA)を使った巡視船3隻の供与が計画されています。ちなみに、
日本が厳しい制限を課している武器輸出にあたり、特例措置(目的外使用の禁止)となります。

投稿: 通りすがりの鳶 | 2009年2月 7日 (土) 10時29分

>通りすがりの鳶さま
コメントありがとうございます。このような多くの情報が国会、マスコミ等でで公にされ、海賊対策派遣の意味、海上自衛隊と海上保安庁の取組み、両者の軋轢、海賊とテロ集団の違い、重武装の認識、武器使用基準、派遣各国との協調、隣国韓国との協力、出したらいつ引くかの撤退の時期の認識、ソマリア政府への国際支援への取組みなど、今、護衛艦を出す為の法整備だけの論議にとどまらない総括的論議が国民に知らされる事を願っています。
また、護衛艦派遣後も、具体的活動情報の公開で、国民が派遣継続の有無の判断が出来る事を望みます。

投稿: Souroku | 2009年2月 8日 (日) 22時37分

上記の型と同じく、偶然通りすがりです。
海上保安庁、海上自衛隊それぞれに勤務する幹部クラスの友人がいます。学部時代からの付き合いですので、本音を語っていました。
保安庁は予算や人員、どれをとっても限界とのこと。海自の幕僚でさえ一回の派遣で予算編成から四苦八苦らしいです。
北朝鮮の工作船銃撃戦の後論議も、本庁での机上の空論と第一線で戦う者との温度差はかなりのもので、やはり沿岸警備に特化した組織として訓練体系もなされているので、たかがロケットランチャーと一言では済まないと思います。
政治判断に翻弄されるのは常に現場です。現状ありきの法であり憲法であると思います。

投稿: GINJJOU | 2009年10月 6日 (火) 03時15分

GINJJOUさま
拙いブログを読んでいただきありがとうございます。
僕は、いつまでの任務かもわからず、具体的な策や対処方針の無いまま、しかも休止は許されない状況では、海上保安庁がすばやく対応したソマリア沖派遣は無理だよとの判断は正しかったと思っています。
問題は、インド洋給油問題なども同じですが、政府に国民に対する説明をしようとする姿勢が見られなかったことだと思います。

「インド洋給油、第7次派遣部隊は出港しない」で詳しく書きましたが、僕も自衛隊関係者から、海上自衛隊が派遣しているインド洋給油、ソマリア沖の活動が、艦艇、人員ともに厳しい状況であり、とくに隊員不足は深刻で、量、質とともに長期的展望をたて、対処しなければ深刻な事態になると聞いています。
インド洋給油は、出来るだけ中止の方向に動いてくれる事ほうが望ましいとも語ってくれました。

投稿: Souroku | 2009年10月 6日 (火) 11時07分

ソマリア問題について改めて調べていたものです
昔、テレビを見ていて出演している識者のアホさにあいた口がふさがらず、閉口しました
いまさらですが気になったことや私は軍事おたくなものでそこからの視点を
1の巡視船の能力ですが外洋航海能力は確かにありますが大型の艦船が出はらうと国内での海保の活動に問題が出ないのでしょうか(万年人員不足の海自にも言えますが…)
2の対処能力ですが海賊がどんな装備を持っているか知らないという論外は置いといて(いいのかよ)、
巡視艇と護衛艦の単純な排水量の比較をしておられますがこの2つの船は大きく違う点があります
それは商船構造と軍艦構造です
簡単に言うと軍艦構造はいかに敵の攻撃を受けても沈没や誘爆延焼を防ぐかに重点が置かれています
隔壁の数、装甲の厚さ、バイタルパート(重要防御区画、爆薬や指揮所を船の中心に配置し装甲で覆う)、復原性の高さ(浸水した時、反対側のバラストに水を注水し転覆を防ぐなどの転覆対策)などがあげられます
また、船員の訓練の違いもあげられます
火災や浸水の時、それに対処する能力は海自のほうが高いと思われます。護衛艦にはダメコン(ダメージコントロール)のための人員がいます
また、装備としては火器管制能力やレーダーの能力や範囲が全く違います。その上、護衛艦は各艦の情報をリアルタイムで共有できます。敵の無線を妨害する程度はお手の物です
そして、しきしまとこんごう型ではその速力が違います
これらを鑑みるに海上自衛隊の派遣は妥当であるといえます
長文失礼しました

投稿: 霧島 | 2012年9月12日 (水) 00時49分

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