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2009年1月10日 (土)

鉄道石綿被害に思う

 一昨日のブログで、古い山の友人がアスベスト(石綿)による中皮腫で亡くなった事を書きましたが、同じような就労状況で死亡した旧国鉄職員2人が、損害賠償を求めた訴訟が、昨年12月25日に、旧国鉄側が遺族の主張を受け入れる形で和解したとの報道がありました。
気にかけていた裁判でしたので、良かった、ともかく少し前進したとの思いがあります。
旧国鉄の石綿関連職場で働いた人は約10万人以上だといわれ、友人も旧国鉄の大井工場の車両検査関係の職場で、作業中に飛散した石綿を吸いこんだのが発症の原因でした。
その職場に勤務したのは3年ほどで、病気との因果関係を説明されても、自分は僅か3年間だ、もっと長期に在職した仲間も多い、なぜ自分がと信じられない気持だったようだと後日、家族からお聞きしました。
友人が、吸入から40年後に発症したという状況が、この病気の被害の複雑さと深刻さを表していると思います。

 毎日新聞2008年12月26日の朝刊に、この問題が大きく取上げられており、旧国鉄の石綿関連職場だけでなく、鉄道車両メーカーや車両関連の石綿除去業者でも被害が表面化しており、問題の拡大が懸念されると書かれています。

 建築関係者と石綿製品製造工場、及びその周辺の住民の石綿被害については、大きな社会問題になりましたが、この鉄道石綿被害もこれを契機に、今後大きな展開をみせる事でしょう。
石綿被害のことについては、以前にも駐留米軍の建築関連工事においては、工事中の作業者、及び工事現場周辺の人達の石綿被害を防ぐために、いかに注意深く配慮しているかについて書いた事があります。日本の現状に比べて、その差の大きさに驚いたからです。
駐留米軍工事では、かなり前から石綿の危険性について認識し、工事による被害予防のマニアルなども完備されていました。
しかし日本では、石綿対策は大きく遅れをとってしまいました。以前からその危険性については懸念されていたのですが、実際に大きな社会問題化したのはこの10年ほど前からでしょう。
僕が20年ほど前に入手した石綿スレート協会発行「石綿スレートと健康」という小冊子でも、石綿の健康被害については、驚くほど過小に解説されています。

 メーカー側が、石綿製品の製造、販売を優先した内容ですが、この時点でもう少し前向きに健康被害に警鐘を鳴らしてくれていたら、被害状況も変わっていたと思います。
これは石綿メーカーだけでなく、人や動植物、自然環境に被害を与える恐れのある、危険な事業や製品作りをすすめる側がいつも犯す過ちです。まず、危険性を隠そうとする、過小評価する、問題をすりかえる、そして悲惨な結果が生じても責任を曖昧にして、時間ばかりが経過していく。
 この小冊子なども、生産者側が製品に対する危険性の認識を、誤まった方向に向けさせた教材の一つと言えるのではないでしょうか。
B5版で16ページほどの内容ですから、近いうちに主要な部分を書き写してお知らせしたいと思いますが、今日はその小冊子、石綿スレート協会発行の「石綿スレートと健康」の[あとがき]だけを書き写します。この文章に当時のメーカー側の石綿製品に対する認識が凝縮されていると感じるからです。でも、現在読むとウーンとうなりたくなる内容です。
 
〔あとがき〕
がんの実態は未だ解明されていません。世界中の科学者達がその正体を明ら
かにすべく凡ゆる角度から、アプローチしていますが、石綿とがんとの関連に
ついても多くの人が研究を続けています。
然しこれ迄の調査研究は、その殆んどが過去の高濃度の職業上の石綿ばく露を
長期問受けた人々についてでありました。
従って現在の整備された作業環境で働く労働者、更にはそれよりも格段に
低濃度の一般環境にあっては、石綿とがんとの関連は全くないと云うのが
私共の考えです。
然し中には「石綿に被曝する度合が少ければ少い程がんの危険性は
減少するが、いかに低濃度であっても危険性がゼロになることはない」と主張
する科学者もあります。然しこの様な考えを認めたとしても、これによる危険
は、前に述ぺました如く我々が日常生活に於いて遭遇するいろいろな危険に比
ぺてもはるかに小さく、云はば「許容される危険」の範囲に入るものではない
でしょうか。
一方石綿スレートは重要な建設資材として凡ゆる方面に数多く使用され、特
に代表的な不燃建材として毎年多くの人命、財産を火災から守ることに犬きく

貢献していることは御承知の通りであります。
消防白書によりますと昭和59年の全国の建物の出火件数は38、254件で、これ
により1354人の尊い人命が失われて居りますが、この内950人(70.2%〕が木
造建物で亡くなられた方々でありました。
若しこの木造建物に不燃建材がもっと使用されていたならばこの内何割かの
人命を失はずに済んだかと思はずにはいられません。
以上いろいろ申し述ぺましたが、石綿スレートの安全性について皆様の十分
な御理解を得られたものと確信致します。

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