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2008年12月16日 (火)

海上自衛隊インド洋給油その10(11月)の続き

0811031_320 12日に成立した新テロ対措法延長に関しては、マスコミもほとんど話題にしませんでした。
 昨年はは政府・与党が臨時国会を再延長し、異例の越年国会にしてまで、なんとか成立に持ちこもうとしたこともあり、マスコミの報道や識者の意見発表も数多くありました。
そんな中で毎日新聞が行った世論調査ではインド洋での給油活動をめぐっては「再開すべきだ」が41%だったのに対し、「このまま中止すべきだが」が50%の結果が出ています。
また、今国会でも当たり前のように行なわれた、法案が参院で否決されるか参院が送付から60日以内に議決しない場合、与党が衆院の3分の2の賛成で再可決することに対しては、「支持しない」が57%に上り、支持するの32%を大きく上回りました。
もし今回、昨年のように世論調査が行なわれていたとしたら、きっと同じような傾向が見られたと思っています。
新テロ対措法延長法案可決は、説明不足であり世論を無視しているのです。

 しかし防衛大学校長である五百旗頭 真氏は右派系言論人が好むシーレーン防衛に結び付けて毎日新聞でこう述べています。

「日本の安全と、生存のための経済活動は、国際的な連携によらずして全うしえない。
それにしては、日本の国連平和維持活動(PKO)を含む国際協力活動は極めて低調である。
国際的な連携を失った状態で危機を迎えれば、日本は孤立感の中で自前軍備に傾く他はなくなるだろう。
国際的な連携を支える日本の数少ない手段であるインド洋給油活動の放棄は、日本の安全と生存の根幹にかかわることを忘れてはならない。
 昨年の参院選で多数を獲得し、
政権を手にする日が近づいたとはずむ民主党に、この国家的安全の根幹を政争の具とする動きがやまない。どの党が政権をとろうと、日本にとり国際的連携の中で生存を全うすることが不可欠である。そのために残された貴重な手段であるインド洋給油活動を破壊する党に、政権担当の資格があるだろうか
 また、連立政権を組む公明党にも、選挙近しの想いが募る中、インド洋給油の延長を嫌う機運が生じているのも気がかりである。
平和を望む公明党が、国際連携を壊し孤立と軍拡への道を開く近視眼に陥れば、やはり自党の存在理由を否定する結果となろう。」

 首相の靖国神社参拝に異を唱え、歴史認識も誤まっていると右派から激しく批判されている五百旗頭校長です。しかしこの程度の論文が「広い視野を持て」、「文民統制を尊重せよ」と教え、田母神発言を取上げた、先日のクローズアップ現代の番組中でも、なにやら意図的とも思えるほど持ち上げられていた校長の論旨なのです。
 自分の都合のよいように解釈して論旨を展開する右派系言論人に似た論文を書く事が多い五百旗頭氏ですが、公立である大学校の校長として、ここまで政党批判が出来るのかと疑問に思えます。
田母神氏のような人物が、航空自衛隊のトップにいたことにも驚きましたが、この校長の論旨も防衛庁内部ではまったく問題にされないことに、組織の持つゆがみを感じます。

次ぎにブログトップに、前回と同じイージス艦の写真(あたご型のあしがら。韓国の新造艦が就航するまでは世界一の大型イージス艦)を持ってきたのにはわけがあります。
 雑誌「WEDGE」10月号「海上自衛対隊の給油活動 実はローリスク ハイリターン」なる論文を書いた、谷口智彦氏(前外務副報道官・慶応義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授)もまた、わざとわかり難い引用をしたり、(給油の総量価格を、国内の一般家庭の使用する熱量と比較して、微々たるものと断じている)不適切と思われる参照をして(アフガニスタンの各国戦死者数から、日本の貢献度の少なさを論ずる)、シーレーン防衛と給油活動を関連させて評価しています。
そのなかで、次ぎのように書かれている部分もまた、誤まった情報です。

[つとに日本は「現行防衛計画の大綱」において、自らの防衛力を世界の「公共財」に供し、遠隔地の安全も自国の安保に直結する関心対象としてとらえる視点を獲得していた。アラビア海、インド洋を舞台とする海自の活動はそれを地で行くものと言え、その意味でもあくまで自律的な行動である。加えて活動は、海自関係者の予測をすら超える副次効果を生み「リターン」の高さを一層浮き彫りにしている。
 その一つは、作戦任務期間を終えて帰る部隊、任務に就く途上の部隊が1度は必ず交錯するため、
高い能力を備えた海自のイージス型護衛艦が往路に1隻、復路に1隻、相当頻度でシーレーン上を行き来する光景が現出した事だ。」

 海上自衛隊のイージス型護衛艦がインド洋の作戦に従事したのは、イラク戦争に関連したと思われる2004年まで、日本政府は認めていませんが米国の要請により、情報収集に協力した時だけであり、給油活動に従事する補給艦の護衛は2005年以降通常型の護衛艦により行なわれています。
谷口氏が通常型とイージス型護衛艦の区別がつかないとは思えませんので、時期を書いていないとは言え、海上自衛隊の高い能力の艦艇が常にシーレーンを守っているとしたかった為と思われます。
これなども誤まった情報の引用で論旨を展開する例です。
同じような論旨を展開する右派系論客の方々の論文には、誤まった情報操作が見られることが多いのです。
田母神論文などはその最たるものです。

前回も書きましたが、現在の給油活動は1ヶ月1500KL平均で推移しています。これは米軍に貢献を感謝された当時の1ヶ月20,000KLの給油量の10分の1にもなりません。
1500KL程度、しかもその3分の1は自国の港湾基地が近いパキスタン海軍への給油量です。
これは、遠路インド洋まで補給艦、護衛艦が出かけてゆく経費対効果からいうと疑問符がつく貢献です。
いまや給油活動は、日本が国際貢献をうたうほどの効果を挙げていない事は米国も承知で、給油活動も結構だが、もう少しアフガニスタンでの米軍を援助する策を模索しなさいと言ってくるはずです。
勿論、すでに申し入れられている1兆7000億円の援助要請とのからみもあるでしょう。
いまや米国の進めるアフガニスタンでの軍事行動は行き詰まっています。なんとか日本には、あまり効果のあがらない非戦闘地域への少数の陸上自衛隊派遣などではなく、幅広い分野での貢献を求めて、軍事面での泥沼状況を解決する方向の一翼を担わせようと圧力をかけてくることでしょう。

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