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2008年10月16日 (木)

インド洋給油に異変?--9月給油実績発表なし

Harusame                            10月17日 20時追記:  
今日の国会での麻生総理の答弁を聞いても、今までの給油による国際貢献論一辺倒から、シーレーン防衛や海賊対策などにシフトしはじめている事が読み取れます。
ブログに書いた防衛大学校長や雑誌WEDGE記事、その他多数の同趣旨の記事、そして地図の上で、日本からインド洋に至る海上にタンカーをずらりと図示した海上自衛隊のホームページなど、かなり周到に連携をもって動いている事が分かります。
どうやら9月の給油実績の未発表も、事務的な処理の遅れなどではないようです。明かになにか意図的な対応が行なわれているとみます。
シーレーン防衛や、ソマリアの海賊被害などの対応には、自民党内でも、充分な議論や構想、枠組み作りに加えて新法成立などの課程が必要と云われています。
首相が海賊対応に自衛隊派遣と軽軽しく発言する段階ではないのです。
昨日の国会終了後、
麻生首相には、側近筋から発言には慎重にとの注意があったのではないかと推量します。
海賊行為の急増には、米国の対テロ戦争による、ソマリアの政変との深い関係があります。
ソマリアとイエメンに囲まれたアデン湾に出没する海賊は、
ソマリアの港が根拠地です。ソマリアが国として取り締まれなくなっている現状から、国連安保理は、6月にソマリア領内で外国船舶による海賊捕捉を承認する決議を採択していますが、海賊との戦闘はどこまで可能かという難しい問題があるのです。
もし、麻生首相が選挙後も首相の座にあるとすると、なにか
防衛問題での強気の失言が命取りになるような気がしてきました。
      追記終り 

毎月一回「海上自衛隊インド洋給油」と題して、海上自衛隊ホームページから、前月の給油実績データーを引用した記事を書いております。

ところが、9月分の給油実績がいまだ、発表されていません。
今年(平成20年)2月1日の給油活動再開以来、9月までに毎月10日を原則として7回の発表がありました。

10日より早かった事はありますが、発表が遅れたことは一度もありませんでした。
したがって、発表の無い今月は異常です

先月にも書きましたが、8月の給油実績カナダ駆逐艦とパキスタンフリゲート艦にそれぞれ2回だけの給油で、給油量も685KLと過去最低でした。

今日の段階ではまだなんとも云えないのですが(明日、発表されるかもしれないので)、最近の給油量から考えて、テロ対策海上阻止活動になにか変化が起きているのかもしれません。
かってあれほど訪れた米国、英国の艦艇はもう殆ど給油に現れなくなりました。

日本が参加している海上阻止活動の部隊はCTF-150と呼ばれ、米国中央軍海軍及び米国第5艦隊司令官が司令官を兼務している連合海上構成部隊[CFM]の指揮下にあります。CTF-150の司令官は、パキスタン海軍から出ています。

そのパキスタンですが、2月から8月までの総給油量7605KLの30%はパキスタンフリゲート艦に行なわれています。

(参考:海上自衛隊の最新の発表によると、1ヶ月平均5、300万円がパキスタン海軍向けに使われています。以前、政府答弁で、パキスタン海軍は、英国海軍払い下げの古いフリゲート艦1隻が海上阻止活動に参加していると答えていましたので、この燃料代金には疑問符がつきます。ーー駆逐艦(日本の護衛艦でもよい)1隻の1ヶ月の燃料代が、調べても分からないのです。ご存知の方がいらしたら教えていただけると嬉しいです。)

ところがムシャラフ大統領辞任以後、ますます混迷を深めてきたパキスタンの国内情勢とアフガニスタンのテロとの戦いの問題が複雑に絡んで、米国との関係がギクシャクしてきています。
米国は圧力をかけつづけているパキスタンから、テロ勢力に情報が漏れていると疑い、一方パキスタン側では、反米感情が高まっています。

その影響は、海上阻止活動にも及んでいるといわれ、その活動に複雑な影を落としています。

そんな中で、パキスタン海軍だけには給油量が増え続け、他の参加国への給油量激減はこれからも続くのでしょうか?。 

給油活動での米国協調と国際貢献でのテロとの戦いを、どうとらえて行けばよいのでしょうか?。

衆院解散前に、国会でのテロ特措法継続の審議と成立を急ぎたい政府自民党の思惑と、給油実績を公開しない事とは何らかの関係があるのでしょうか?。

9月から10月にかけて、急に多くなった海上自衛隊のインド洋給油の広報活動に、給油活動が日本のシーレーン防衛に貢献しているとの方向付けが目立つようになった事と、海上阻止活動の後退との関係をどうみたらよいでしょうか?http://www.mod.go.jp/j/news/hokyushien/pdf/tatakai_katsudou02.pdf 海上自衛隊資料

   これらの問題をもう少し追い続けて行きたいと思います。
写真は、もしインド洋給油が継続されたなら、現在派遣されている「護衛艦ゆうだち」と交代する候補艦と思われる、同じむらさめ型護衛艦「はるさめ102」

「参考」 前回の9月10日のブログです。
     
     海上自衛隊インド洋給油その7(8月)  9月10日
先月に続き海上自衛隊ホームページの8月分補給支援活動報告から引用します。

 8月1日から31日までの、給油状況です。 ( )内は給油再開の2月21日からの合計
パキスタンフリゲート艦     2回 (18)  200KL (2290KL)
  フランス駆逐艦       0回 (10)     0 KL (1215KL) 
  ドイツ駆逐艦                  0回 (3)       0KL  (  730KL)

  カナダ駆逐艦        2回 (7)   485KL (1515KL)
  米国駆逐艦         0回 (2)        0KL  (  800KL)
  英国駆逐艦         0回 (2)     0KL  (  295KL)
  ニュージーランド駆逐艦  0回 (1)     0KL (310KL)
                       合計  685KL (7605KL)

8月は、カナダ駆逐艦が2回と、パキスタンフリゲート艦が2回だけという実績で、給油量685KL(乗用車1万台分)と、僕の知る限り過去最低量でした。
2003年には1ヶ月の給油総量が20000KL(乗用車30万台分)(殆ど米国と英国海軍艦艇)といった月もあったのですから、今の補給活動は低調です。

相変わらず8月も米国、英国、ドイツ、フランスといった海上阻止活動の主用国は給油に現れませんでした。米国、英国はテロ対策海上阻止活動を休止中なのかもしれません。

今月、パキスタンをのぞくと唯一の補給国であるカナダ海軍も、2004年1月からは活動から撤退していたのですが、今年の給油再開以来、海上阻止活動に戻ったようです。
カナダ海軍の復帰をみると、先月も書きましたがパキスタン海軍を除くと海上阻止活動は当番制になっているのかも知れないのですが、この辺、情報が入手出来ません。

8月の給油実績を見る限り、インド洋における日本の給油活動は曲がり角にさしかかっているのかと思います。
はるばる遠い日本から、莫大な経費をかけて、遠いインド洋に、補給艦、護衛艦を常駐させている費用対効果に疑問符が付くからです。給油の燃料油単価が高くつきすぎています。
現在の日本の政局からして、テロ対措法の延長は不可能とみますので、インド洋給油活動はまた、中止の事態になると思います。
なんとか、それを防ぎたいと、政府、自民党から活動延長の声があがり、評論家諸氏も国際貢献を訴えています。
気になるのは、給油活動よりも、日本のエネルギー供給路を守るシーレーン防衛にシフトした論調が目立つ事です。
海上自衛隊の宣伝活動も、8月、9月と支援活動の動画、パンフレット、宣伝ポスターと矢継ぎ早に公開し始めました。そこにもシーレーン防衛の蔭がちらついています。

僕は、憲法解釈、自衛隊の国際貢献活動などに、賛否両論があるのはしかたない事だと思います。
どちらが絶対に正しいと結論づけらないからです。
ただ、テロ特疎法の給油活動を、シーレーン防衛などと簡単に結び付ける論調や、日本の石油供給を守る事は国際協力といった底の浅い理論には納得できません。

シーレーン防衛とはなにか、日本はどういう事をするのか、各国との連携はどうか、自衛隊の役割はどういったものになるのかなど、一度も具体的な構想や議論を聞いたことがありません。
多数のタンカーそれぞれを、海上自衛隊がどう護衛するのか、船団方式をとるのか、乗船護衛するのかなど、案を聞いてみたいものです。
それと、同じようにタンカー輸送している韓国との連携なども、防衛構想に入っているのでしょうか。国際連携が必要との論調に、韓国の名が出たことはありません。
   (以上9月10日のブログ再掲載)

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