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2008年4月13日 (日)

タイガー計算機が凶器になる?

Tiger_320  4月10日のブログで、志木市郷土資料館で見た、和文タイプについて書きましたが、今日は同じ資料館に陳列されていたタイガー計算機のことです。
 始めて設計事務所に就職して、途惑ったのは設計上の全ての計算が、手計算で行なわれている事でした。
電卓の無い時代ですから、当たり前といえばそうなのですが、大きなビルの面積計算など、何度やっても違いが出ました。
計算が上手い奴は、面積計算ばかりやらされるから、皆、わざと間違えているのだと、まことしやかに言う先輩もいました。
 経理事務などには「そろばん」の上手い人がいるのですが、デザイン系の設計事務所にいる所員にはそろばんは無縁でした。
所内に1台だけ古いタイガー計算機があったのですが、扱いが面倒なので、誰も使いません。
僕もタイガーを使いこなす事など出来ませんでした。
 ただ、このタイガー計算機、実はそれまでに僕は使っていたのです。
当時、一般公道で良く行なわれていた、自動車ラリーに友人の運転する車のナビゲーターとして、出場していたのです。
その時の武器がこのタイガー計算機です。
じゃあ、計算機は使えるのだろう?
 違うのです。主催者からラリースタート前に、地図と速度、走行距離などを書いたラリー指示書が与えられます。
地図といっても、普通の道路地図ではなく、交差点とか主要な目標物だけが書かれた、断片的な案内図のようなものが、進行順に沢山書かれていて、ともかくその目標を探して一つ一つの地図をつぶして走行するしかありません。
そんな、小さな案内図の寄せ集めのような指示図を見ただけで、これは、どの方面を走るのかがわかるベテランもいたのですから驚きで、とても僕らの歯の立つ相手ではなかったのですが。

スタートして最初の仕事が、主催者側の指示走行距離の根拠になる車、例えば日産ブルーバードの何年型、タイや空気圧2.0などの情報と、その車で、スタート地点である、神宮外苑から、多摩川大橋まで、時速40kmで走行し距離は25kmでしたなどのデーターが与えられます。
まず、そこまで走って、自分の車との距離を比較する。
勿論、車種もタイや空気圧も違えば数値は異なります。自分の車は、距離が多めにカウントされるとなれば、補正係数を求める。
そこからが、いよいよタイガー計算機の出番です。
助手席に座る僕の膝の上に、タイガー計算機を、よいしょと載せて、与えられた指示速度での1分間の走行距離を補正した数字で算出して(手計算です)1分ごとにタイガー計算機のハンドルをカチャンと廻して、変わる数字が、車の積算距離計と合致するように走るのです。計算機はただただ、1分ごとにハンドルを廻して数字を加算してゆくだけの使い方です。

その間、地図も見る。次々とこの速度でこの距離を走りなさいという変更指示がある、その都度、計算機の基礎数字を入換える。車には、積算距離計は付いていても、今のような数字を0に戻せるトリップメーターなどは、ついていませんでしたから、道を間違えてバックになると、もう距離計と計算機の数字は絶対に合わない。ドライバーはあせって怒る。なんとも情けない状態になってしまうのです。
当時でもハルダツインマスターなどの、トリップメーターがついた車と争うわけですから勝ち目などありませんでしたが、貧しい若者にはそんな高価な機器を付ける事など出来なかったのです。
それでも、出場する事が嬉しくて友人と何度か走りました。

さて、タイガー計算機ですが、膝の上に鉄の塊を置いているのですから、なにか事故にあえば、計算機が車内を転げまわることになる。
まさに計算凶器です。今から考えると危ないことをしていました。
そんなおっかない計算機に換えて、当時販売されていたラリー用の計算円盤も使ってみましたが、どうも使いこなせなくて、あいかわらず、チェックポイントで、減点が加算されるばかりのラリーをやっていました。

このタイガー計算機は、1970年に生産販売が終了するのですが、その時の価格が3万5千円で、当時発売されていた、電気メーカーの卓上電子計算機と比べたら、嘘のような安さでした。
設計事務所における僕の手計算も、1967年に発売されたSONY製の卓上電子計算機の購入によって終りを告げるのですが、そのあたりの事はまた書くことにします。
Sony1_320

(写真上、タイガー計算機、事務所に合ったのは黒色だった記憶がある)

(写真下、SONYのSOBAX卓上計算機、事務所で購入した時の販売価格が26万円。当時としては機能は素晴らしかったが、いかんせん大卒給料の10ヶ月分は高すぎた。)

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