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2007年9月 9日 (日)

中華航空機炎上ーワッシャーではなかった

Hikouki_320_2  沖縄那覇空港における中華航空機炎上事故原因の報道の経過を興味深く見てきました。何故なら、ワッシャー一枚をつけ忘れたのが原因とする見方に納得がいかなかったからです。

1.当初の報道では、右主翼の高揚力装置「スラット」のアーム(駆動機構)先端部の穴につけられていたボルトのナット側のワッシャーが外れていた為、ボルトが抜け落ち、燃料タンクのトラックカン部分のアルミ板(厚2mm)を突き破った。
 Nennryoutannku
 「感想.1」
 ワッシャー1個つけ忘れたくらいで、大事な部品の組みこまれたボルトが、簡単に抜け落ちるものだろうか。僅か数百円(?)と思うワッシャーの付け忘れで、80億円の飛行機が燃えてしまうとは。
 
 2.ボルトが破断せず、締め付け具のナットもボルトに付いていたため、事故調はアームの穴や周辺が破損して脱落した可能性が高いとみていたが、Tuutatu回収したアームには目立った損傷はなかった。
 アームの飛び出しを防ぐナット側の「ダウンストップ」と、ボルト側にある「ストップロケーション」と呼ばれる部品も外れてトラックカンに落ちており、それぞれ回収した。

 
 「感想.2」
 通常、ボルトが破断することはあっても、ボルトを取りつけてある穴が、破損するとは考えられないが、それでもボルトを取りつけてある金属板の穴が大きく損傷すれば、ボルトは部品ごと穴を通り抜けて落ちても不思議はない。
 しかし、穴が損傷してないとすれば、穴の径はナットより大きく明けられていてナットはすり抜けたのだろう。
 ボルト穴より小さいナットを付けて、ワッシャーで持たせていたのかな。しかしなぜ、取り付け忘れてボルト抜け落ちの原因と見られていたワッシャーだけでなく、ナット側の「ダウンストップ」と、ボルト側にある「ストップロケーション」も外れていたのだろう。

 3.燃料タンクに突き刺さっていたボルトは、当初ボルトの頭側と思われていたが
燃料タンク内部から見ると、ボルトのナット側だった。

 
 「感想.3」
 俄然、わからなくなったぞ!。いくらワッシャーが無いからといって、ボルトが脱落した時にナット側を頭にして突き刺さったとするなら、ナットの反対側、すなわちボルト側についているワッシャーが、アーム穴をくぐり抜けられる筈が無いではないか!。
そうか、はっきりした事は、ボルトが脱落した衝撃で、燃料タンクに突き刺さったのではないのだ。
 脱落した際に突き刺さるとしたら、それはボルトの頭側しか考えられない。
それと、ナットは、落ちていた3点セットのうちの、ダウンストップとストップロケーションの内径をくぐり抜けて脱落したのではない。ワッシャーと同じように、
始めから取りつけてなんかいなかったんだ。
ナットはストップロケーションの内径より小さかったとしても、ダウンストップの内径より小さい事は多分無く、くぐり抜けることは出来なかったのではないか。
ネットでは、それぞれの部品の内径が、ナットより大きいため、ワッシャーだけが命綱だったのように書かれている記事が多いが、違うのではないか。

そして、取りつけられていなかったか、または部品3点を付けずに取りつけたボルトと部品が落ちてゴロンと転がっていた。
僕はボルト一式を取りつけていなかったと推測するが。(結論の項、参照)
スラットは、離着陸時に主翼の前側にアームで押し出され、その後に格納される。
格納時には、アームがトラックカンの中に引き込まれるため、トラックカン内に落ちて転がっていたボルトがアームに押されて燃料タンクに突き刺さったのだ。

4.ここで、8月30日に航空局航空機安全課より、写真付きの次ぎのような発表があった。
「中華航空機事故に関連した我が国航空機に対するスラット機構部取付け状態の一斉点検における不具合の発見について」
ANAの同型機にワッシャーの装着されていないダウンストップ取付部が1ヶ所発見されたというものだ。

Sp09001_512 「感想.4」
この写真を見て、全てがわかったような気がした。
ワッシャーが無くとも、ダウンストップはナットから外れないようなのだ。
左写真のオムスビ型のワッシャー状のものはナットが締めているダウンストップの一部なのだ。なにかもやもやしていた事が、一時にすっきりとした。
 
「結論」

中華航空側の事故調査報告がないと結論は出ないが、今の僕の推測はこうだ。

整備の時、ダウンストップを取りつけるボルトを外した際、ワッシャーとナット側のダウンストップとボルト頭側のストップロケーションを落としてしまった。
取合えず他の部品が落ちないようにナットをボルトにねじ込んでから、(機械作業では、ナットを紛失しないように、ボルトにねじ込んでおく事は、よく行なわれる)ボルトをそこに置き、落とした3点の部品を探そうと思ったが、何らかの事情で、作業を中止しなくてはならなくなった。そして作業再開の時、このダウンストップ取り付け部の整備を忘れて、他の作業に移ってしまった。
こうして、ダウンストップが取りつけられないまま、飛行機は飛んでいたのだ。

(この推測は、ダウンストップを取りつけた片側のボルトが無い場合、スラット・トラックが作動せず、機体の故障として認知されるとしたら成り立たない。
また、ワッシャー、ダウンストップ、ストップロケーションが取りつけてない状態で、スリーブにボルトを当てた状態の取りつけで、整備を終らせたとしたら、これまた成り立たない。
ただ、作業途中で、忘れることは万分の一の確率で起こったとしても、スリーブにナットを当てた状態で、締め付けを終了させるなどの整備能力しかなかったとは、考えたくないのである。)

そして、運命の沖縄那覇空港で、この見捨てられたボルトは、アームに押される位置に入り、燃料タンクを突き破ってしまったのだ。

それにしても、こんな小さなボルト1本で、簡単に大きな穴が開いてしまう燃料タンクの脆弱さに、改めて驚かされ、航空機整備の重要性を認識した事件だった。

 (写真上から、1. 炎上した中華航空 B737-700型機、犠牲者が出なかったのが不幸中の幸いです)
 (2. トラックカン部分を突き破ったボルト、明かにナット側が突き刺さっている。ナットの後ろに見えるのは、スリーブとボルト頭側のダウンストップと思われる)
 (3. ダウンストップ取付け部の詳細、ワッシャーを忘れたからといってボルト頭側のストップロケーションまで外れる事は考えられない)
 (4. 航空局航空安全課発表のレポート資料、ワッシャーの有無が良くわかる写真である) 

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