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2006年12月18日 (月)

映画「硫黄島からの手紙」

Nv16_001_320_1 映画「硫黄島からの手紙」を見ました。クリント・イーストウッド監督が硫黄島での戦いを日米双方の視点から描いた2部作の「父親たちの星条旗」に続く第2弾です。
前作が、アメリカ側を描いた映画で、硫黄島の戦いで擂鉢山に星条旗を掲げた6名の兵士のうち、生き残った3名が故国に戻され、政府が苦しい戦費を賄う為の戦時国債を売るために、英雄扱いされてその宣伝活動に利用されてしまう。友を失った戦場の苦しい記憶と各地を巡る宣伝の道具でしかない虚しさに、次第に心が蝕まれていく様を描いています。戦場でのシーンも勿論多いのですが、どちらかといえば、硫黄島よりもアメリカ本国での話が中心でした。それにたいして「硫黄島からの手紙」は、アメリカ映画でありながら、全編、硫黄島で米軍を相手に、絶望的な戦いを繰り広げた日本軍を描いています。
内地でパン屋を営んでいた、二宮和也演ずる西郷という若き一兵士が、望まぬ召集令状で、硫黄島の戦いに送りこまれます。お腹に子供のいる、裕木奈江演ずる妻、花子に、絶対に死なないで戻ると誓う西郷の姿や、妻、花子にきつい言葉を吐く、国防夫人会の女性など、戦争に国民を総動員し、物資までを調達した国内の状況がリアルに描写されています。そして島での彼の行動を追いながら、過酷な戦場における日本軍の兵士達の人間像を、内地での回想場面をまじえながら、家族への手紙や戦場での言動から描いています。
実際の戦闘は、もっと悲惨でむごいものであり、日本軍のこもった壕は、赤土の地肌から硫黄のガスを含んだ蒸気が立ち上り、熱と湿気とガスで、人間が生存できる環境ではなかったと伝えられています。ここで、水も食料も無く、5日で終わるといわれた戦闘を36日間も継続した、その激戦の様子や、壕の状況、食料事情、時間の経過などを、あえて強調せずに、映画が見せてくれるのは、精神的にも、肉体的にも死しか残された道の無い極限の兵士の姿です。両軍の善悪や、英雄的な行動を賛美するシーンはなく、監督が伝えたかったという、闘わざるを得なかった兵士達に対する感謝と、戦争の虚しさ、戦争には勝者も敗者も無いという思いです。
映画は指揮官の渡辺謙が演ずる栗林中将と、オリンピック馬術競技の金メダリストで戦車隊指揮官の男爵、西中佐(伊原剛志 )を軸に、展開しますが、筋は省略します。
ともかく戦争と人間について、考えさせられる作品で、その感想を書くのが、なんとも難しい映画です。アメリカ人が描いた日本軍という視点が、戸惑わせるのかもしれません。しかし、映画の内容や映像で、今まで変な日本を見せられてきた外国映画とは別物で、違和感は全くありません。よくぞ、これほどの作品が作れたと感動するとともに、クリント・イーストウッド監督の次回作が楽しみです。
映画とは話が変わりますが、国が人の精神までコントロールし、軍事力を背景とした外交で、破滅に突き進む道を歩んだのも、全て誤まった思想をもった人達のなせる事でした。この反省無く、いままた戦争を肯定する人達が声を大きくしてきています。戦争を知らない世代が、軍備増強、国民の愛国心教育など、危険な方向に向きつつある日本の状況を、なんとか歯止めをかけたいと、強く思います。この事は、これからも書き続けます。もっと具体的に。
映画硫黄島2部作は、クリント・イーストウッド監督と一流のスタッフが作り上げたことが伝わる力作であり、星★★★★4つとします。
 
 「硫黄島からの手紙」がオスカー前哨戦を制した。ニューヨークの映画評論家約120人の投票によって決められる全米映画批評会議(ナショナル・ボード・オブ・レビュー)で2006年の最優秀作品に輝いた。」

「6日(日本時間7日)米ニューヨークで行われた全米映画批評会議で最優秀作品に選ばれた。同会議の賞はアカデミー賞の前哨戦として注目されている賞で、同作品のアカデミー賞候補入りはほぼ当確。」

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