« 寒い1日でした | トップページ | 柳瀬川の紅葉その1 »

2006年11月20日 (月)

大地震の時、超高層ビル、マンションは?

今日(20日)の毎日新聞夕刊に、「長周期地震動で重大損傷も」というショキングな見出しで、大地震で発生する長周期地震動により、超高層ビルが大きく損傷する可能性があることが日本の土木学会、建築学会の共同研究で分かったと報道されました。いまさらと言う感もしますが、研究データーの幅広い収集と、蓄積のもとに、然るべき研究機関が論文にしないと認められ難いという、学問的土壌の強い分野ですからやむを得ないでしょう。(同じような例は、地震の前兆現象観測や予知分野では一層顕著です。)
長周期地震動とは、ガタガタと揺れる通常の地震動ではなく、数秒から長いもので十数秒の周期でゆっくりと振動する揺れをさします。
勿論、以前から起きていた現象ですが、実際の被害が報道されるようになったのは割と最近です。北海道で石油タンクの液面と蓋の揺れから発火して火災が発生し長時間燃え続けた例や、遠隔地の地震で東京の超高層ビルのエレベーターが損傷した例などが良く知られています。
近年、次々と建設、販売される超高層マンションにも、この長周期地震動の構造的解析は加えられて設計されているのですが、発生した地震との距離や、震源の深さ、大きさなどとの関連と地殻の構造、伝播などからの影響がまだ完全に解明されていない未知の分野といえるでしょう。これから発生するであろう巨大地震からの生のデーターの蓄積が、これからの構造法規や構造設計に生かされてゆく分野です。今日の新聞記事は、長周期地震動によるエネルギーが、超高層建物の構造に重大な損傷を与える恐れがある、またそのエネルギーは現在想定しているものより巨大な応力になると警告しています
超高層マンションを購入する場合は、まだ実験的要素のある住居に居住するのだという心構えは必要でしょう。
鉄骨などの破断や、基礎の損壊などについては、あまりにも問題が大きいので、ここでは書きませんが、もし大地震が発生した場合、身近な被害としてエレベーターのレールの曲りや損傷による長期間の使用停止や、給水、排水などの設備配管の損傷は、超高層マンションにとって居住を続ける事が不可能な事態となり得ます。また、上層階の大きな横揺れの恐怖は、かなりの精神的ダメージを受けると思います。以前、日本海中部地震による揺れを、新宿の超高層ビルの43階で体験しましたが、青函連絡船で味わった水平線がせり上がり、また見えなくなるゆっくりとした横揺れと同じ状態でした。振幅がもっと大きくなるかも知れないという恐怖感のなか、窓の外に見える地平線が、長い時間、音もなく上下に動き続けました。
超高層マンションの販売宣伝は、眺望や夜景の美しさなどを強調しがちですが、低層建築にない危険性も含んでいる事の説明責任も必要です。
今日の新聞報道は、ブーム状態の超高層マンション販売に警鐘を鳴らすものでしょう。

|

« 寒い1日でした | トップページ | 柳瀬川の紅葉その1 »

コメント

 長周期地震動は地層の状況で増幅しやすい周期が決まって、その周期が建物の固有振動と一致すると倒壊の危険が増すというのは、かなり前から解っていることです。そのため、高層ビルは、ゆれやすくする代わりに、固有振動を地震動の主たるゆれである短周期地震動を避けて、長周期にしているわけです。それと、沖積平野では長周期地震動が大きくなりやすいというのも何年も前から解っています。
 ですから、良心的な設計者は、独自に調べてその地域で発生しやすい長周期地震動と固有振動をずらしているはずです。まぁ、大部分は、自分で調べることをせず、行政に基準を示せと責任転嫁をしていますけどね。

投稿: とをりすがり | 2006年11月22日 (水) 07時19分

>とをりすがりさま
超高層建築物に与える長周期振動の影響は、これからも解析が進むでしょう。しかし、次々に設計、建設される建物をみていると、同じ建築設計の仕事をしていても、かなり大胆な割切りができるものだと思う事も有ります。
これは、数日前に試験飛行で来日した、800人乗りのジャンボジェット機でも感じました。この飛行機が事故に遭ったらと考えると、よくぞこれを製造したものだと、その勇気?に脱帽します。

投稿: Souroku | 2006年11月22日 (水) 11時07分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/170544/12762654

この記事へのトラックバック一覧です: 大地震の時、超高層ビル、マンションは?:

« 寒い1日でした | トップページ | 柳瀬川の紅葉その1 »