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2006年4月27日 (木)

リーダー、ガイドの責任は重いー国立登山学校は夢に

Seltupi 昨日、僕も関心を寄せていた大日岳遭難の民事訴訟の判決が、富山地裁であり、引率講師のルート選定の過失を認め、国に1億6700万円の支払いが命じられた。事故は6年前に起きた。2000年3月5日午前、富山県の北アルプスの大日岳(標高2501m)山頂付近で、稜線から庇状に張り出していた雪庇が崩落し、雪庇上で休憩していた文部省登山研修所主催の「大学山岳会リーダー冬山研修会」の研修生ら、11人が滑落した。
 そのうち、9人が自力で這い上がって助かったが、横浜市保土ヶ谷区の内藤三恭司さん(22歳、東京都立大学生)と、兵庫県尼崎市の溝上国秀さん(20歳、神戸大学生)が行方不明となり、約2ヶ月後に遺体で発見された。(この遺体発見には、遭難者が持っていた雪崩遭難発見用の電波発信機(ビーコン)が2ヶ月後も作動を続けていて、発見に役立った。)
後に指導の講師二人は、業務上過失致死容疑で書類送検されたが、不起訴になっている。今回の判決は、遭難者二人の遺族が、民事訴訟で国に約2億円の損害賠償を求めた訴訟の判決である。焦点は、崩落した庇状に張り出していた雪庇の存在と大きさを、講師達が予見できたかどうかにかかっていたが、判決は雪庇を予見して回避する義務があったと言い渡された。原告、被告双方の立場から、さまざまな意見が出された後の判決に、ただ関心を寄せていただけである立場の僕が何も言う資格は無い。遺族が文部省(当時)が主催する講習会だから信頼できると考えたことも理解できるし、技術講習を委託された講師達も、長年奉仕活動的状況で、後輩指導にがんばってきた状況も知り得ている。事故後の文部省側の対応が、無責任と呼ばれてもしかたの無い官僚指導の典型的なものであった事もこの問題をこじらせた原因だとも思っている。
しかし、この判決が今後登山活動を指導しているリーダーやガイドの人たちに、いや日本の登山界全体に、高額の補償金の事例となった事も含めて、重いものを背負わせる警鐘となった事は認めざるを得ない。
富山県警のHPには、次の警告文が書かれている。
「ツアー登山参加者は、観光旅行型の「連れられ登山」にならないように事前の準備を十分行うとともに、ツアー登山を企画あるいは添乗する方は 、遭難防止の対策・事故発生時の対応(補償まで)について十分検討してください」

「登山研修所は、わが国における登山の健全な発展を図るため、登山指導者養成のための研修訓練を行い、あわせて登山に関する調査研究を行うことを目的に、昭和42年6月1日、文部省設置法施行規制の一部改正により、文部省体育局(現在の文部科学省 スポーツ・青少年局)の内部部局として設置されました。」
以上は、文部科学省のHPより。
僕は以前から、登山研修所を基礎として、日本に国立登山学校の設立される事を願ってきた。また、観測の役割を終え閉鎖された富士山山頂の測候所施設を高所登山研修施設に活用できないかとも思ってきた。しかし以前から、探検、冒険などの行動に我関せずな日本政府が、この判決により登山研修所の活動さえも制限、縮小するのではないかと心配している。また、登山研修所の講師達や、学校山岳部の指導者確保は、益々難しい事になりそうである。

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