「柳瀬川通信:報道部」

デスク「日本の借金1日1260億円増。毎日新聞はかなり大胆な見出しをつけたね。」
毎日新聞6月28日朝刊より
◇自・景気戻れば/民・4年間凍結
◇日本の借金、1日1260億円増
1秒間に54万円、1時間で19億円、1日466億円……。ホームページ「リアルタイム財政赤字カウンター」の画面上で数字がめまぐるしく積み上がる。
「800兆円になるのも時間の問題やな」
兵庫県・但馬地域の山あいにある養父(やぶ)市立青渓中学校のコンピューター教室で社会科の西田浩二教諭(50)が3年1組の生徒23人に数字を示すと、「えー、何ですかこれ?」「どんどん増えてる……」と驚きの声が上がった。
国と地方の借金額「長期債務残高」を分かりやすく示すこのカウンターは、地方大学の研究者が、年末に発表される財務省資料をもとに秒単位の額に換算したものだ。
過去最大規模となった約14兆円の09年度補正予算を加えれば、1秒間に146万円、1日1260億円とさらに猛烈な速度で数字は膨らむ。債務残高は09年度末に816兆円。国民1人当たり約640万円の借金が重くのしかかる。
作山記者「衆議院選挙前にしては、かなりインパクトがありますね。論点は自民と民社の消費税に対する考え方の違いを書いたものですが。」
男川記者「5月21日に平成21年度の補正予算が、参議院本会議で否決された後、憲法の衆議院優越規定に基づいて成立しました。
この補正予算の一般会計総額は過去最大の14兆円です。3月末に成立した当初予算と合わせると、今年度予算は史上初めて100兆円の大台に達します。」
デスク「100兆円か。昭和30年頃に国の予算が1兆円を超えたと聞いて、すごい金額だなと思ったけれど、平成に入るとあれよあれよと云う間に60兆円を越え、遂に100兆円とはね。50年で100倍か。驚きだよ。」
男川記者「しかも、今回の補正予算約14兆円の財源は、約10兆8千億円の国債発行によるもので、そのうち約3兆5千億円は赤字国債です。」
作山記者「そうだね。補正予算だけでなく予算全体でみれば新規国債発行額が過去最大の44兆円になるよ。
今年度の税収がまず、見込みどおりにいかないだろうから、初めて国債発行額が税収総額を上回るという恐るべき異常事態です。」
デスク「それが、毎日新聞の今年度末の国と地方の債務残高見込み816兆円だね。それをリアルに表す財政赤字カウンターを、子供たちが見て驚いているわけだ。
次世代に付け回しされる借金だ。子供が見ているのが、何か象徴的だな。」
男川記者「そうです。借金時計とも言われますが、刻々と刻まれる時刻に併せて国の借金がめまぐるしく増えていく様が良くわかります。わかりすぎると云いましょうか。」
作山記者「この毎日新聞の記事によると、債務残高の対GDP(国内総生産)比は、2009年度末で168.5%、約1.7倍に倍増するそうだ。」
男川記者「国民一人当り約640万円の借金に相当するそうです。」
作山記者「この債務残高と主要7ヶ国で見ると、イアリアでさえ1.1倍で他の米国、英国、ドイツ、カナダ、フランスでは0.6~0.8倍に納まっている。」
男川記者「イタリアでさえは、ちょっとかわいそうですよ。僕はイタリアが好きですから。
国の借金と言ってもこの816兆円という金額も、どこからどこまでを国の借金に含めるかで大きく変わってきます。
1000兆円とも、学者によっては1300兆円と言う数字を挙げる者もいます。」
作山記者「イタリアというより、料理が好きなんだろう。
インターネットに幾つかある民間の借金時計サイトの金額が、それぞれ異なるのは、借金の範囲の取りかたの違いによるものです。」
男川記者「借金時計と言えば、東京タワーにあった内閣府の「感どうする経済館」にあった借金時計が消えましたね。というより「感どうする経済館」そのものが無いですよ。」
デスク「確か、今年の3月で廃止されたんだ。
国の借金の現状を生々しく広報しすぎると横やりが入ったらしい。補正予算が提出されたのに時期をあわせるようにね。」
作山記者「そうでしたか。やり方がきたないですね。
そうだ、それで思い出した。財務省ホームページの借金時計の件を忘れていた。」
デスク「おう、作山クンが追っていた記事だね。」
男川記者「2年前、僅か2時間でホームページから消された、公設借金時計ですね。」
作山記者「あの時の財務省のいい訳が気に入らない。こうだよ。」
財務省 「平成19年8月2日」
「借金時計の掲載の一時停止について」
8月1日、財務省ホームページの「日本の財政を考える」に掲載しました「借金時計」は、アクセスにより負荷がかかるため、公告等の掲載情報の円滑な閲覧を確保するため、一時掲載を取りやめております。
不都合をおかけしている点をお詫び申し上げるとともに、掲載の準備が出来次第、再度掲載いたしますのでご了承ください。
連絡先:電話(代表)03-3581-4111
財務省大臣官房文書課広報企画係(内線5946)
財務省主計局調査課(内線2328)
作山記者「もちろん、その後音沙汰無しだ。直後はすぐに再開にこぎつけるようなコメントを出していたがね。そのコメントも消したからね。
財務省がホームページで借金時計を作る、ジョークみたいな事など必要だとは思っていないけれど、公開たった2時間で急遽削除しておきながら、アクセスに負荷がかったなどという見え透いた嘘の言訳を書いたまま、国民を欺いたままにしているのが気に入らないよ。」
男川記者「我が柳瀬川通信報道部は、権力の嘘とジャーナリズムを標榜する組織の世論誘導や片寄った報道は、断固指摘するがモットーですからね。
作山さん、あの時書いた記事をまた再掲載しましょう。デスク、いいですよね。」
デスク「かまわんよ。今のままだと歳出の50%が借金の利息払いなどといった事態が起きかねない。
今度の衆議院議員選挙でも、消費税を含む財政再建問題は争点のひとつだ。
税金の無駄づかいに対して、国民一人一人が厳しい目を向けてもらう為にも、借金時計と言うより国の歳出入を知ることが大事だよ。」
作山記者「財務省の借金時計が復活する事は無いと思うし、その必要も認めないが、ホームページの借金時計掲載にかかった費用が、400万円とも700万円とも云われているのに、たった2時間で削除してしまった責任はどうなったか、説明責任はあると思うからね。よし、再掲載しよう。」
「記事の再掲載」
(2007年8月1日、財務省の一室)
HPの作成担当者「今日から、国の借金時計が当省のHPに掲載されます。作成依頼会社からも連絡が入り、私も確認しましたのでご報告します」
上司「そうか、ホームページで国民に厳しい国の財政状態を啓蒙するのに、かなりインパクトがあるでしょう。ご苦労でした」
担当者「国民に財政再建の重要性を訴える狙いで考えましたが、良いものが作れたと思っています。」
リンリン(電話)
上司の上司「おい、ホームページの借金時計のことで、上から苦情がきてるぞ。あんなもん誰が許可したんだ!」
上司「以前に、借金を知らせるHPの作成書案の中でご許可頂いていますが。」
上司の上司「私はそんな起案書は見てないぞ。ともかくまずいよ。財務省の借金、じゃない、国の莫大な借金は国民の借金だよ。せっかく、この借金の責任は国民の皆さんにもあります、皆で考えましょうと方向づけしているところじゃないか。」
上司「そのPRの一環でして」
上司の上司「おい、借金幾らとしたんだ?。まだ、私は見ておらんのだよ。」
上司「どなたが御覧になったのでしょう。」
上司の上司「わからんよ。どうせ誰かさんが御注進に及んだんだろう。」
上司「借金時計は国債発行残高550兆円に絞りましたが。」
上司の上司「財投債、政府短期証券などは入れてないのだね。」
上司「はい。それら粗債務を入れますと、850兆円になりますので、それではちょっと問題が。」
上司の上司「地方債務を入れると1200兆円か。よくも借りまくったもんだ。まあ、ともかく、掲載は止めろと言って来ているんだ。すぐに中止してくれ。」
上司「すぐにですか?。マスコミにも広報済ですが。」
上司の上司「なんとかしてくれよ。君の責任だぞ。午前中に外すと言ってしまったんだよ。国の借金が雪だるまみたいに膨らんでいく様子を、数字で刻々と知らせては逆効果なんだそうだよ。」」
上司「午前中は無理かと思います。急ぎますが。」
上司の上司「私の首を飛ばすつもりか。ともかくすぐ止めるんだ。」
ガチャン(電話)
上司「そういうことだ。すぐに連絡してくれ。」
担当者「作成側に連絡は出来ますが。外すのは簡単だと思います。しかしマスコミにどう言いましょうか?」
上司「壊れたとかなんとか言いたまえ。」
担当者「はあーー。」
リンリン(電話)
担当者「いろいろあって、借金時計を外すことになったよ。頼むよ。」
HP作成会社主任「まだ、公開してから2時間も経っていないですよ。」
担当者「ともかくまずいんだ。頼むよ。アクセスは多いかね。」
主任「マスコミ関係かもしれませんが、一時集中的にきましたが、今はほとんどありません。外す理由は書きますか」
担当者「うん。まかせるよ。お知らせ欄に簡単に出しておいてよ。」
主任「そうですね。アクセスが集中してサーバーに負荷がかかりすぎたので中止すると言うのはどうでしょうか。」
担当者「いいね、いいね。ただ、アクセス集中はどうかな?。どのくらいアクセスがあったかなどと聞かれるとまずいよ。」
主任「そうですね。実際、アクセスは少ないのですから、ぼやかしましょう。アクセスにより負荷がかかるとでもしましょう。これ、おかしいですか?」
担当者「いいよ、いいよ。なんだかわからないのが官庁語だよ。それと、中止はまずいな。」
主任「再開もあるんですか?」
担当者「無い、無い。借金が増え続けるカウンターはインパクトが強すぎるそうだとさ。
それでも一時掲載取り止めくらいにしようよ。そのうちに皆忘れてくれるからさ。」
主任「わかりました。すぐに処置します。確かに時計を作った僕らでさえ、1時間に何億円もがくるくる廻って増え続けるのには、ショックを受けましたよ。でも、惜しいな。借金時計のプログラミングに結構時間がかかったんですよ。」
担当者「せこいこと言わないの。借金時計プログラミングご請求では稟議おりないよ。いつものように、他の作業に上乗せしてよ。多目でよいからさ。」
主任「ありがたいです。じゃあ、作業終了後、文案と経過、メール入れますから。お知らせの文案チェックされますか?」
担当者「任せるよ。頼んだよ。お疲れさん」
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